1ページ劇場⑤

ルカ(聖夜月ルカ)

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海開き

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「マジかよ……」



俺にはもう、空を見上げて苦笑いするしかなかった。



今日は、待ちに待った海開き。
この日のためにいろいろと準備をして、まだかまだかと待ち続けて来た。
なのに、それが、こんな土砂降りなんて。
しかも、なんだか薄ら寒い。
もう梅雨も明けたというのに、全くなんて天気なんだ。
神主さんも、苦笑いだ。



「とにかく始めましょう。」

土砂降りの雨を恨めしく感じながら、俺達は海開きの神事を行った。



(今日は、お客は来ないな。)



当たり前だ。
こんな天候の日に、海に来るような変わり者はいない。



昨年、俺は親父さんからこの海の家を譲り受けた。
まだやりたいのは山々だが、体の具合が悪くて、続けるのは不可能だ、と。
出来ることなら、この海の家のことをよく知る俺に引き継いで欲しいと言われた。



俺も迷った。
昔から夏は毎年ここに来てたし、親父さんとも懇意にしてた。
バイトをしていたこともある。
だけど、俺には仕事がある。
夏だけとはいえ、海の家をするのは簡単なことではない。



家族とも話し合い、妻に背中を押される形で、海の家をやることになった。
それからはいろんな準備に駆けずり回った。
そして、ようやく海開きといったその日がこんな天候とは…
俺は自分の運の悪さに、頭を抱えた。



(今日は、早じまいだな。)



バイトには今日は来なくて良いと連絡した。
騒がしい雨の音を聞きながら、俺は、不貞腐れて寝転んだ。







「初日からサボって、どうすんだよ。」

「……ん?」

突然聞こえた声に、目が覚めた。



「え……」

そこにはたくさんの人々がいた。
海の家でよく顔を合わせていた、ここの常連達だった。



「おい、いらっしゃいませもないのか?」

「え?」

「俺、腹減ってるんだ。
何か食わしてくれよ。」

「あ、あぁ。」



海の家は、大賑わいだ。
俺は駒ネズミのように働いたが、なかなか手が回らない。
そんな時は客たちが手伝ってくれた。



温かい常連客のおかげで、海開きの初日は大盛況だった。



「こんな日に無理しなくて来なくて良いのに。」

「やっぱ、初日は景気よく盛り上げたいからな。
この夏は、頼んだぜ!」

「あぁ、もちろんだ!」

海の家を引き継いで良かった。
俺は、じんわりと胸を熱くした。
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