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隔世遺伝
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「書けたぞ!」
思わず、声に出してしまった。
それ程までに、今回の出来栄えは良かったんだ。
『冬瓜』
この瓜の字が、けっこう難しい。
でも、上手く書けた。
まさに、自画自賛状態だ。
「ねぇ、秋の季語を書いてよ。」
母が唐突に、僕にそんな依頼をした。
僕は、子供の頃から書道を習っていて、字にはそれなりの自信がある。
それに、書くことはストレス発散にもなるから、その依頼を引き受けることにした。
母は最近、俳句にハマっている。
僕が半紙に書いた季語を、母は部屋に所狭しと貼りたくっている。
「こんなもんで良いだろ?」
「あと一枚!ほら、ここだけスペースが空いてるじゃない。
ここにも貼らなきゃおかしいじゃない。」
「じゃ、何か言ってよ。」
秋の季語は、僕がネットで検索した。
あまりにたくさんあったから、母親に使えそうなものを選ばせた。
「う~ん、何が良いかなあ?」
母は大袈裟に頭をひねる。
「ただいま~」
息子の大翔が帰って来た。
現在、小学4年生だ。
「あ~~っ!」
突然の母の叫び声に、僕も大翔もびっくりして固まった。
「母さん、何なんだよ。」
「これ、これ!」
母さんは、大翔の胸に付けられた赤い羽根を指さした。
「どういうこと?」
「だから、赤い羽根よ、赤い羽根!」
「赤い羽根も季語なのか?」
念の為、ネットで調べてみたら、確かに『赤い羽根』も、秋の季語だった。
「じゃあ、赤い羽根にしよう。」
「僕、習字の時間に赤い羽根、書いたよ。」
「そうなの?じゃあ、見せて。」
「うん、持って来るね。」
大樹は、自分の部屋から、赤い羽根と書かれた半紙を持って来た。
残念ながら、大翔に字の才能はなさそうだ。
亡くなった妻も、それほど字は下手ではなかったはずだが…
「大翔の字は、私似だね。」
苦い笑みを浮かべながら、母は、大翔の半紙を壁に貼り付けた。
大翔は、貼り付けてもらってなんだか嬉しそうだ。
「ねぇ、パパ!
赤い筆で花丸描いてよ。」
「もうちょっとうまくなったらな。」
「え~~…」
「書道の練習しようか?」
「やだよ。僕、遊びに行って来るから~!」
大翔はバタバタと駆け出して行った。
「あ、出来た!」
『赤い羽根
胸に駆け出す
孫の声』
短冊に書かれた文字は、確かに大翔と同じく下手だった。
思わず、声に出してしまった。
それ程までに、今回の出来栄えは良かったんだ。
『冬瓜』
この瓜の字が、けっこう難しい。
でも、上手く書けた。
まさに、自画自賛状態だ。
「ねぇ、秋の季語を書いてよ。」
母が唐突に、僕にそんな依頼をした。
僕は、子供の頃から書道を習っていて、字にはそれなりの自信がある。
それに、書くことはストレス発散にもなるから、その依頼を引き受けることにした。
母は最近、俳句にハマっている。
僕が半紙に書いた季語を、母は部屋に所狭しと貼りたくっている。
「こんなもんで良いだろ?」
「あと一枚!ほら、ここだけスペースが空いてるじゃない。
ここにも貼らなきゃおかしいじゃない。」
「じゃ、何か言ってよ。」
秋の季語は、僕がネットで検索した。
あまりにたくさんあったから、母親に使えそうなものを選ばせた。
「う~ん、何が良いかなあ?」
母は大袈裟に頭をひねる。
「ただいま~」
息子の大翔が帰って来た。
現在、小学4年生だ。
「あ~~っ!」
突然の母の叫び声に、僕も大翔もびっくりして固まった。
「母さん、何なんだよ。」
「これ、これ!」
母さんは、大翔の胸に付けられた赤い羽根を指さした。
「どういうこと?」
「だから、赤い羽根よ、赤い羽根!」
「赤い羽根も季語なのか?」
念の為、ネットで調べてみたら、確かに『赤い羽根』も、秋の季語だった。
「じゃあ、赤い羽根にしよう。」
「僕、習字の時間に赤い羽根、書いたよ。」
「そうなの?じゃあ、見せて。」
「うん、持って来るね。」
大樹は、自分の部屋から、赤い羽根と書かれた半紙を持って来た。
残念ながら、大翔に字の才能はなさそうだ。
亡くなった妻も、それほど字は下手ではなかったはずだが…
「大翔の字は、私似だね。」
苦い笑みを浮かべながら、母は、大翔の半紙を壁に貼り付けた。
大翔は、貼り付けてもらってなんだか嬉しそうだ。
「ねぇ、パパ!
赤い筆で花丸描いてよ。」
「もうちょっとうまくなったらな。」
「え~~…」
「書道の練習しようか?」
「やだよ。僕、遊びに行って来るから~!」
大翔はバタバタと駆け出して行った。
「あ、出来た!」
『赤い羽根
胸に駆け出す
孫の声』
短冊に書かれた文字は、確かに大翔と同じく下手だった。
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