1ページ劇場⑤

ルカ(聖夜月ルカ)

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愉快な仲間たち

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「どぅりゃあああ~~!」

源さんが力を込めると、庫内にへばりついていた霜がめきっと取れた。



「ありがとう!
源さんなら、出来ると思ってたよ。」

「こんなことならお安い御用だ。いつでも言ってくれ。」

「本当にありがとう!」

本村さんは、何度も頭を下げていた。
本村さん家の冷蔵庫は、本村さん同様、かなり年季の入ったものだ。
そのため、冷凍庫に霜が付きすぎて困っていたのだ。
一度、電源を抜いてみたらどうかと言ったのだけど、そしたら、アイスクリームが溶けてしまうからいやだと言う。
だけど、庫内に付いた霜は簡単には取れない。
老人の本村さんはもちろんのこと、同じアパートに住む僕もやってみたけど、全然だめだった。
あの霜をはがすには、かなりの力が必要だ。
そうだ、もしかしたら、源さんなら…そう思い、頼んでみたら、いとも簡単に霜が取れたのだ。



源さん…本名・高木源五郎は町内に住む自衛官だ。
自衛隊で鍛えた体力や知恵を持つだけではなく、人のためなら一肌もふた肌も脱いでくれる善意の人なんだ。
何か困ったことがあったら、源さんに相談するんだ。
たいていのことなら、解決してくれる。



そんなある日のこと…
僕らの溜まり場、みやこ食堂で、源さんがちびりちびりと酒を飲みながら、深い溜め息を吐いていた。



「源さん、どうかしたのか?」

「実は俺、子供の頃は体が弱くて…」

そうか、今は11月、あの話だなとみんなピンと来た。



「わかってるよ。
当日、熱出して、七五三のお参りに行けなかったんだよな。」

「婆ちゃんが羽織、袴も仕立ててくれてたのに。」

「千歳飴も食べられなかったんだよな。」

源さんは項垂れたまま、何度も頷く。
七五三は、源さんのトラウマなんだ。
毎年、この季節になると、源さんは酷く落ち込む。



(……そうだ!)



次の日、僕は近所の人達に声をかけた。
みんな、僕の提案を受け入れてくれた。



そして、11月の半ば、僕らは源さんを呼び出した。



「今日は一体何なんだ?」

「いいから入ってよ。」

「え!?」

太田さんが借りてきてくれた羽織と袴を源さんに着付けた。



「おぉ、よく似合うぜ。」

「な、なんなんだよ、これ…」

「七五三をやるんだよ。源さん、今年45だろ?
40年遅れの七五三だ。」

「えーっ!」

そのままみんなで近くの神社に行った。
子供達に混じって、角刈りのでっかい源さんもご祈祷をしてもらう。



「さ、源さん、これ持って。」

仕上げは、千歳飴を持っての記念撮影だ。



「みんな…ありがとう!」

最初は戸惑ってた源さんだったけど、最後は笑顔になっていた。
僕らの顔もみんな笑顔だ。
これで源さんのトラウマが解消されたなら、そんな嬉しいことはない。
その晩の酒は格別に美味しかった。
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