1ページ劇場①

ルカ(聖夜月ルカ)

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センチメンタルは似合わない

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はぁぁぁ~~…



自分でも呆れるような深い溜め息。



(私、そんなにあの子のこと好きだったのかな?)







「う、嘘っ!」

「本当だってば。
さ来月には二人でアメリカに行くらしいよ。」

「そ、そうなの?」

「ショックだよねぇ…」



三日前の朝、同僚の靖子に聞いたのは、同じ職場の若林君が結婚するという話。
若林君は、言ってみれば職場のアイドルみたいな子で…
カッコイイだけじゃなく、屈託のない明るい性格で、私達みたいな年増のOLにもとても親切で…
彼が入って来てから私は会社に行くのが楽しみになった程だった。
もちろん、それは恋愛感情とは違うもので、ただ彼の爽やかな笑顔を見たり、たまに話したりするだけで、私は十分幸せだった。

だけど、彼が結婚するというニュースは思いの外ショックが大きくて……
この二日間、仕事も手につかずミスばかり…
そして、今日はどうにも会社に行く気になれず、体調が悪いとずる休みをしてしまった。
休んだのは良いものの…一人で家にいるとどうにも気持ちが塞がるから私は町へ繰り出した。
買い物でもすれば気が晴れるかと思いきや、何を見てもほしいと思えない。







(私にこんな乙女心がまだ残ってたなんて…)



ベンチに腰を降ろし、ふとそんなことを思った時、私の目の前に一枚の落ち葉がひらひらと舞い降りた。



そうだ…きっと、これは秋っていう季節のせい…
秋は誰しもが感傷的な気分になる季節なんだ。



私はゆっくりと立ち上がり、さほど込んではいないショッピングセンターを歩き始めた。



(……ん?)



私の鼻が良いにおいが嗅ぎ付けた。



「いらっしゃいませー!」



(わっ!)



新しいレストランの前で、呼びこみをしている男性は私好みのイケメンで…



「あ、おねえさん!
今、秋の味覚フェアをやってて、料理には栗のたっぷり入ったモンブランパフェがついてますよ!」

「えっ!モンブランパフェ!?」



呼びこみの彼の笑顔と「モンブラン」という言葉に、最近乏しくなってた私の生命エネルギーが急に活気を取り戻した。







「とってもおいしかったわ!」

「ありがとうございます。
ぜひまた来て下さいね!」

「ええ、もちろん!」



食事を終えて、身も心も満たされていることに気がついた。
ちょっと惜しい気もするけど、靖子達にもここのことを教えてあげよう。
料理はおいしいし、彼は可愛いし、ここに来たら元気が出そうだもの。



店を出た私は、足取りも軽くスーパーに向かった。 
 
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