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あなたの側にいたい
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「どうして!?
パパやママはお兄ちゃんが可哀相じゃないの?」
「……マルセル…そのことは何度も話したでしょう?」
真っ直ぐな視線で見上げるマルセルに、その母は諭すように声をかける。
「だって…お兄ちゃん、また泣いてるんだよ。
お兄ちゃんは、寂しいんだよ…ひとりぼっちなんだもん……
だから、お兄ちゃんもこっちに連れて来てあげようよ!」
「マルセル…おまえがいくらそう望んでもそんなことは出来ないんだよ。
神様が……」
「だから、神様に会わせてって言ってるじゃない!
僕が神様にお願いするから…!」
興奮するマルセルに、父親は瞳を伏せ、何も言わずに頭を振った。
「そんなことは出来ない。」
「酷いよ!
パパやママは、お兄ちゃんを放っておいてなんともないの?
僕はいやだよ。
お兄ちゃんが可哀相だ。
こっちに来たら、また前みたいにみんなで幸せに暮らせるのに、どうしてお兄ちゃんを呼んであげられないの!?
ひとりぼっちにしておくなんて可哀相だよ!」
マルセルの声は次第に震え出し、母親にすがりついたまましゃくりあげる。
母親は、そんなマルセルの頭を優しくそっと撫でた。
「フランツはひとりぼっちなんかじゃないわ。
施設の人達はみんな親切だし、お友達だって出来たじゃない……」
「……で、でも、学校で苛められてたよ…
親なしっ子だって、いじめられてたよ……」
「大丈夫だ。
フランツはそんなことに
くじけるような弱虫じゃない。
マルセルだって、わかってるよな?」
「だ、だけど……」
マルセルは両手で涙を拭いながら何かを話そうとするが、出て来るのは苦しい息遣いだけだった。
「マルセル…私達はフランツと離れてしまったが、家族であることには何の変わりもない。
私やママがフランツの親であり、おまえがフランツの弟であることは、住む世界が違っても変わることはないんだ。
……わかるかい?」
マルセルは俯いたままで小さく頷いた。
「で、でも……僕の声はもうお兄ちゃんには届かない!
触ることも出来ない!」
「そうね…それはとても辛いことだけど…でも、ね、マルセル……私達の心はいつもフランツと一緒よ。
そして、フランツの心の中で私達は生きている……
それはね、私達は以前よりもずっと近い存在になったって事なのよ。」
マルセルは優しく微笑む母に困惑した顔を向け、唇をきつく噛み締めた。
(お兄ちゃん…ごめんね。
こっちに呼んであげられなくて……
でも、僕はいつでも側にいるよ。
お兄ちゃんを護ってあげる。
あの時、流れ星に願った通り、お兄ちゃんが幸せになれるまで、僕はずっと……)
~fin
パパやママはお兄ちゃんが可哀相じゃないの?」
「……マルセル…そのことは何度も話したでしょう?」
真っ直ぐな視線で見上げるマルセルに、その母は諭すように声をかける。
「だって…お兄ちゃん、また泣いてるんだよ。
お兄ちゃんは、寂しいんだよ…ひとりぼっちなんだもん……
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「だから、神様に会わせてって言ってるじゃない!
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「そんなことは出来ない。」
「酷いよ!
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こっちに来たら、また前みたいにみんなで幸せに暮らせるのに、どうしてお兄ちゃんを呼んであげられないの!?
ひとりぼっちにしておくなんて可哀相だよ!」
マルセルの声は次第に震え出し、母親にすがりついたまましゃくりあげる。
母親は、そんなマルセルの頭を優しくそっと撫でた。
「フランツはひとりぼっちなんかじゃないわ。
施設の人達はみんな親切だし、お友達だって出来たじゃない……」
「……で、でも、学校で苛められてたよ…
親なしっ子だって、いじめられてたよ……」
「大丈夫だ。
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くじけるような弱虫じゃない。
マルセルだって、わかってるよな?」
「だ、だけど……」
マルセルは両手で涙を拭いながら何かを話そうとするが、出て来るのは苦しい息遣いだけだった。
「マルセル…私達はフランツと離れてしまったが、家族であることには何の変わりもない。
私やママがフランツの親であり、おまえがフランツの弟であることは、住む世界が違っても変わることはないんだ。
……わかるかい?」
マルセルは俯いたままで小さく頷いた。
「で、でも……僕の声はもうお兄ちゃんには届かない!
触ることも出来ない!」
「そうね…それはとても辛いことだけど…でも、ね、マルセル……私達の心はいつもフランツと一緒よ。
そして、フランツの心の中で私達は生きている……
それはね、私達は以前よりもずっと近い存在になったって事なのよ。」
マルセルは優しく微笑む母に困惑した顔を向け、唇をきつく噛み締めた。
(お兄ちゃん…ごめんね。
こっちに呼んであげられなくて……
でも、僕はいつでも側にいるよ。
お兄ちゃんを護ってあげる。
あの時、流れ星に願った通り、お兄ちゃんが幸せになれるまで、僕はずっと……)
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