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新月の闇に紛れて
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「ルティア、また泣いてるの?」
「だって…あそこのパン屋の家族が可哀想で……」
「パン屋の?」
ジョイスは、不思議に思いました。
当然、ジョイスもあのパン屋のことは知っています。
お母さんは病気だけど、子供達がパン屋の仕事や家事を手伝い、貧しいながらも、皆が助け合い、支え合い、仲良く暮らしている家族です。
「僕にはどうして君が泣くのか、またわからないよ。」
「あなたは本当に薄情ね!」
(あのパン屋は、お母さんは病気にかかってなかなか良くならず、薬代をひねりだすのが精一杯。
せっせとおいしいパンを焼いたって、あの家族の口に入るのは焼きすぎて黒こげになったり、失敗したものだけ。
小さな子供達は、朝から晩まで店と家事の手伝いをさせられて…それなのに、ジョイスは、それをなんとも思わないなんて…)
ルティアとジョイスは、普段はとても仲が良いのですが、新月の闇に紛れて人間の世界に降りて来ると、いつもこんな風に小さな喧嘩をしてしまうのでした。
(人間の世界は悲しいことや辛いことだらけ…
みんなあんなに傷付いて……)
ルティアは人間達を想い、真珠のような涙を流します。
(人間達は本当にたくましいや!どんな困難に遭っても何かを学び、そして必ず立ち上がるんだから!)
ジョイスは、にこにこと微笑みながら、真っ暗な空を踊るように飛び回ります。
二人の見る人間やその世界はまるで違うものだけど、だけど、それらは同じもの……
「だって…あそこのパン屋の家族が可哀想で……」
「パン屋の?」
ジョイスは、不思議に思いました。
当然、ジョイスもあのパン屋のことは知っています。
お母さんは病気だけど、子供達がパン屋の仕事や家事を手伝い、貧しいながらも、皆が助け合い、支え合い、仲良く暮らしている家族です。
「僕にはどうして君が泣くのか、またわからないよ。」
「あなたは本当に薄情ね!」
(あのパン屋は、お母さんは病気にかかってなかなか良くならず、薬代をひねりだすのが精一杯。
せっせとおいしいパンを焼いたって、あの家族の口に入るのは焼きすぎて黒こげになったり、失敗したものだけ。
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