147 / 239
にゃんにゃんにゃん
1
しおりを挟む
「ねぇ、翼君、あの白い……あれ?」
良く晴れた日曜日、私は翼君とショッピングに出掛けた。
翼君が夏物のシャツがほしいというので探してたんだけど、翼君はいつの間にかいなくなってて……
(あ、いた…!)
来た道をゆっくりと引き返しながらあたりを見回していると、一軒の雑貨屋さんで翼君をみつけた。
「翼君!」
「あ、カナ!見て見て!これ、めちゃめちゃ可愛い!」
翼君はぬいぐるみの前で、とても幸せそうに微笑んでいた。
「れんた君とりんこさんね。」
「えっ!カナ、この子達のこと知ってるの?」
「え…う、うん。人気の漫画でね、確か、もうじきアニメが始まるらしいよ。」
「そうなんだぁ。」
翼君は、当然、その二体のぬいぐるみを買い、シャツのこと等忘れたみたいに上機嫌になっていた。
*
「はい、カナにはりんこさんをあげるね。」
「あ、ありがとう!」
立ち寄ったコーヒーショップで、翼君はピンクのりんこさんのぬいぐるみを私にくれた。
「この子達、アニメではどんな声になるんだろうね?」
「マンガでは割りとりんこさんはクールで、れんたくんは甘えん坊で…」
「りんこさん、遊びに行こうにゃん。」
翼君は青いれんたくんを持ち出して、ぴょこぴょこ動かしながら高い声でそう言った。
(……え?)
「ほら、カナもりんこさん、やってよ。」
「え、えぇっと……」
「もうっ!…りんこさんはクールなんでしょ?だったら……」
翼君はもたもたしてる私からりんこさんを奪って、れんたくんと向かいあわせにし……
「仕方ないわね。つきあってあげるにゃん。」
「こんな感じじゃない?」
自信満々のスマイルで翼君は笑った。
「りんこさんは何を飲むにゃん?
僕はブラックにするにゃん。」
「じゃ、私はメロンソーダにしようかな……」
「もぅ~…ちゃんとりんこさんになりきって話さなきゃ!」
って、翼君……
さっきから、にゃん、にゃん言ってるけど……まさか、りんこさん達を猫だなんて思ってないよね?
ほら、良く見て!
猫とは顔も体つきも違うよ。
だって、彼らはフェレットなんだもん。
「はいっ!もう一回やり直し!」
「え……」
私…一体どうすれば……
「カナ!早く!」
「わ、私はメロンソーダにする…にゃん。」
……私にはやっぱりそう言うしかなかった。
良く晴れた日曜日、私は翼君とショッピングに出掛けた。
翼君が夏物のシャツがほしいというので探してたんだけど、翼君はいつの間にかいなくなってて……
(あ、いた…!)
来た道をゆっくりと引き返しながらあたりを見回していると、一軒の雑貨屋さんで翼君をみつけた。
「翼君!」
「あ、カナ!見て見て!これ、めちゃめちゃ可愛い!」
翼君はぬいぐるみの前で、とても幸せそうに微笑んでいた。
「れんた君とりんこさんね。」
「えっ!カナ、この子達のこと知ってるの?」
「え…う、うん。人気の漫画でね、確か、もうじきアニメが始まるらしいよ。」
「そうなんだぁ。」
翼君は、当然、その二体のぬいぐるみを買い、シャツのこと等忘れたみたいに上機嫌になっていた。
*
「はい、カナにはりんこさんをあげるね。」
「あ、ありがとう!」
立ち寄ったコーヒーショップで、翼君はピンクのりんこさんのぬいぐるみを私にくれた。
「この子達、アニメではどんな声になるんだろうね?」
「マンガでは割りとりんこさんはクールで、れんたくんは甘えん坊で…」
「りんこさん、遊びに行こうにゃん。」
翼君は青いれんたくんを持ち出して、ぴょこぴょこ動かしながら高い声でそう言った。
(……え?)
「ほら、カナもりんこさん、やってよ。」
「え、えぇっと……」
「もうっ!…りんこさんはクールなんでしょ?だったら……」
翼君はもたもたしてる私からりんこさんを奪って、れんたくんと向かいあわせにし……
「仕方ないわね。つきあってあげるにゃん。」
「こんな感じじゃない?」
自信満々のスマイルで翼君は笑った。
「りんこさんは何を飲むにゃん?
僕はブラックにするにゃん。」
「じゃ、私はメロンソーダにしようかな……」
「もぅ~…ちゃんとりんこさんになりきって話さなきゃ!」
って、翼君……
さっきから、にゃん、にゃん言ってるけど……まさか、りんこさん達を猫だなんて思ってないよね?
ほら、良く見て!
猫とは顔も体つきも違うよ。
だって、彼らはフェレットなんだもん。
「はいっ!もう一回やり直し!」
「え……」
私…一体どうすれば……
「カナ!早く!」
「わ、私はメロンソーダにする…にゃん。」
……私にはやっぱりそう言うしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
君に恋していいですか?
櫻井音衣
恋愛
卯月 薫、30歳。
仕事の出来すぎる女。
大食いで大酒飲みでヘビースモーカー。
女としての自信、全くなし。
過去の社内恋愛の苦い経験から、
もう二度と恋愛はしないと決めている。
そんな薫に近付く、同期の笠松 志信。
志信に惹かれて行く気持ちを否定して
『同期以上の事は期待しないで』と
志信を突き放す薫の前に、
かつての恋人・浩樹が現れて……。
こんな社内恋愛は、アリですか?
愛想笑いの課長は甘い俺様
吉生伊織
恋愛
社畜と罵られる
坂井 菜緒
×
愛想笑いが得意の俺様課長
堤 将暉
**********
「社畜の坂井さんはこんな仕事もできないのかなぁ~?」
「へぇ、社畜でも反抗心あるんだ」
あることがきっかけで社畜と罵られる日々。
私以外には愛想笑いをするのに、私には厳しい。
そんな課長を避けたいのに甘やかしてくるのはどうして?
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる