１ページ劇場①

星々の川

１

「今日はどのあたりにしましょうかねぇ？」

柄杓を手にした若い女性の神様は、そう言ってにこやかに微笑みました。



「またそんなことを……
さっさとやらないと、間に合わないぞ！」

「はい、はい。わかってますよ。」

船を操りながら険しい顔で小言を言う男性の神様をものともせず、女性の神様はまだ柄杓を使いません。



「さぁ、早く早く！」

「はいはい。」



けしたてられて、女性の神様はようやく柄杓を川に沈めました。
掬いあげたのはきらきら光る拳ほどの大きさのものでした。



「あら、まだ新しいものだわ。」



地上から見ると、白く濁った川のように見えるこの場所に集められているのは人間の魂でした。
数えきれない量の魂が、地上からはまるで川のように見えるのです。
つい最近ここに運ばれたものもあれば、ずっと昔からあるものもあります。



女性の神様は毎日決められた数の魂を掬いあげ、それらはまた新しい身体をもらって人間として地上に生まれます。



けれど、どれだけ掬っても、また同じくらいの魂が運ばれてくるので、川の様子は少しも変わらないように見えました。



「時間がないぞ。急いでおくれ。」

「はいはい。」



真面目で少しせっかちな男性の神様と、のんびりした女性の神様は、今日もせっせと魂を掬うのでした。