ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!

あんり

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第1章 カイト、五歳までの軌跡

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◾︎11:00~
(森の中)
ねぇ、って話しかけたいけど、無理っ。
軍馬に揺られてる。
口を開けちゃえば、振動で舌を切ってしまうじゃん。

ね、騎士さん?名前、なんだっけ?
えっと、え?なんて言ったっけ。
ハーレン、なんとか?でも思い出せない、ゆれるっ、ガタガタゆれるからね、考えがまとまらないよね。

んと、さっきから森の中を走り抜けてるけど、これ、王都に向かってるの?それともマーシュ領?
王都ぽくはないかな?じゃ、マーシュ領かな?マーシュ領からは陛下のおじいちゃんの転移魔法で来ちゃったから、途中の道なんて分からない。もし1回通ったとしても似た様な森の景色なんて、多分同じ景色に見えてしまうはず。

なのに、軍馬は躊躇うことなく走り続けている。

怖い場面で切羽詰まった勢いでハーレン団長にしがみついちゃってついてきちゃったけど、今、どこに向かっているのかさえ分からないよ。

ドドドドッ、ドッドドドドッ
風を切って駆け抜ける。

ボクは聞きたい。今、どこに向かってるの?
そして、ボクは聞きたい。他には誰もいないけど、どうして?

知りたい、けど今は喋れない。
だから、ボクは休憩するのを待つしかないみたい。

深くなる森の様子と、話せない不満と、どこに向かっているのかの疑問と、深くなる心の不安。

ちょっとハーレン団長?馬を止めて話ができないかな?そういう思いでハーレン団長を見上げたんだけど、えーっ、そこでボクは見てしまったよ。

うそでしょ?ハーレン団長の目の奥になんだかチラチラ見える金色?
もしかしたらこの人がジョージ王子の本当のお父さんって事?
瞳の奥の金の光。今、馬の揺れで、ハーレン団長の瞳の奥の光をちゃんと確認できないけど、それがもしジョージ王子と一緒なら、この人がジョージ王子のお父さんじゃん。うわーっ。

なんだっけ?なんだっけ?
思い出せ、カイト。

ほら、さっき馬車からボクを助けてくれた時、なんって言った?

『私は王宮騎士団第二団長のハーレン·ボルド·ルドンでございます。』

ハーレン·ボルド·ルドン?え?ルドン?
え。まさか、あのルドン?
ルドン公爵んとこの?アーシャっていう勘違いおばさんのいるあのルドン?

え?もしかして、これヤバい状況とか?
でも、今は何も出来ない。
「うっ、うっ、あっ、あっ、あっ。」
ダメだ、やっぱり喋れない。

森に入ってしばらく走った。誰かが追ってくる様子もない。1度休憩するか?
なんだ?なんか、喋りたいのか?
「うっ、うっ、あっ、あっ」とか言ってるな、トイレじゃないだろうな?
いや、生暖かいこいつの小便なんか掛けられたらたまらんな。少し、休憩するか。

馬にスピードを落とすように手網を引き合図を送る。

ヒッヒッヒーン、ブルッブルッ。

馬の走りがゆっくりになったから少し話せるな。

「カイト様、どうしました?用を足したいのですか?」

用?あ、トイレね。そうだね、そうしよう。

「うん、少し止まって欲しいの」

ああ、やっぱりな、子どもだ。そのへんでさせればいいだろ。

「かしこまりました。ただし、森の中、魔獣達もいますので、私からは離れては行けません。宜しいですか?」

「う、うん」

考えろ、どうする?どうしたい?
この人が悪い人なのか分からない。
もしかしたら、本当にボクを助けてくれたのかもしれない。
ちょっと様子みた方がいい?

少しだけ開けた場所に馬が止まり、ハーレン団長が先に降り、ボクを抱えて下ろしてくれた。
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