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第1章 カイト、五歳までの軌跡
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(ダウニーside)
兄上っ!!!
兄上は、いつも笑顔だった。
年の離れた兄上は、優しくもあり、厳しくもあり、兄らしく弟の私を可愛がってくれたり、勉強を教えてくれたりしてくれた。
私にとって兄は教師であり、目標であり、憧れる対象だった。
沈着冷静、貴族そのもの、王太子に相応しい人物。
そんな兄上が、見せた一面。
私が知らなかった兄上の憎しみや、悲しみ、絶望、そして嫉妬を見てしまった。
それは一瞬の表情のこと。
手がかすかに震え、握る拳には力が入り爪が手の平にくい込み、血が滲んでいた。
あの一瞬の憎悪は、私に向けられたものだろうか?
私が兄上を裏切ったと思われたのだろうか?
戸惑う気持ち、複雑な気持ちだ。
兄上には誤解されたくない。
私は、私に起きた真実を伝える。
小さい頃、兄上に教えられた事の1つ。
【間違った事をしていないのなら、疑う奴の目を見てはっきり間違いはないと伝えろ。絶対に目を逸らすな】
それは今でも守っている。
だから真実を伝える時、間違いがない事は疑う奴の目を見て話すのは、今でもこれからも守ること。
兄上は義姉上の犯した事を真実かどうか確かめるために私の目を見ていた。
私も兄上からの視線を外さなかった。
兄上から向けられる疑惑の視線。
けど私はまっすぐ兄上の視線を受止めた。
兄上はすぐに理解をしてくれた。
同時にそれは兄上が、自分自身の妻に裏切られたことを確定することだ。
兄上の、かみ締める唇に血が滲む。
その瞬間、この場が凍ったように緊張が走る。
兄上を裏切った義姉上を許せない。
しかし、兄上の心情を思うと、胸が酷くギシギシと痛む。
兄上が義姉上に憎しみのこもった目を向け言い放った。
「シルビア、罪を償って貰う。何もかも話してもらおうか?そして、その後、私の手で、私はこの国の王太子として、君を裁こう」
兄上を思うと胸が痛むと同時に、義姉上に憎悪が増すばかりだ。
騎士に連れて行かれるあの人を、私はただ見ているだけ。
ジョージの行く末を案じるなら、そこには母親としての愛情はあるのだろう。
なぜ、罪を犯してまで、兄を裏切り、王家を欺き、私を陥れようとしたのか分からない。
義姉上の愛の果て。愛が間違った結末を生み出したことが残念でならない。
義姉上を見つめる兄上を私はこれからも支える、そう心に誓う。
そして私は告げる。
「シルビア嬢の処遇は陛下、王太子にお任せします。王太子妃の私兵及びメイド、待女についての事情聴取や処分もお任せ致します。私は息子の元へ参りますが、宜しいでしょうか?」
「ああ、すぐに行くが良い。お前の話はカイトを無事に連れ戻してから聞くことにする」
「ありがとうございます。では、ルーク行くぞ」
「はい、ダウニー様、カイト坊ちゃんを助けに参りましょう。」
「ああ、ダウニー。カイトを連れ去ったハーレン団長も連れてこい。」
「承知しました!」
「ルーク行くぞ」
私の言葉にしっかり頷くルーク、そして我らがマーシュ領の兵士たち。
カイトを救う、その思いの頷きが私たちの気持ちをひとつにした。
「ダウニー様、行きましょう。カイト坊ちゃんがダウニー様を待ってます」
私はルークとその部下らを引き連れ軍馬に跨り、砂埃を背にして王城を後にした。
ダッダッダッダッダッ
ブルッブルッ
聞こえるのは馬の蹄の音と息遣い。
カイト、頑張るんだ。
パパが助けに行くからな。
私の脳裏に、愛する息子の笑顔が浮かぶ。
カイトに何かあったら、そいつら絶対に許さんぞ。
待ってろ、カイト。
待ってろよ、悪党共。
孤高の大魔神と言われた、私が出向くんだ。せいぜい今のうちに息を整えておけ。
息子に害をなすもの達、すぐに行くから首を洗って待ってろ。
兄上っ!!!
兄上は、いつも笑顔だった。
年の離れた兄上は、優しくもあり、厳しくもあり、兄らしく弟の私を可愛がってくれたり、勉強を教えてくれたりしてくれた。
私にとって兄は教師であり、目標であり、憧れる対象だった。
沈着冷静、貴族そのもの、王太子に相応しい人物。
そんな兄上が、見せた一面。
私が知らなかった兄上の憎しみや、悲しみ、絶望、そして嫉妬を見てしまった。
それは一瞬の表情のこと。
手がかすかに震え、握る拳には力が入り爪が手の平にくい込み、血が滲んでいた。
あの一瞬の憎悪は、私に向けられたものだろうか?
私が兄上を裏切ったと思われたのだろうか?
戸惑う気持ち、複雑な気持ちだ。
兄上には誤解されたくない。
私は、私に起きた真実を伝える。
小さい頃、兄上に教えられた事の1つ。
【間違った事をしていないのなら、疑う奴の目を見てはっきり間違いはないと伝えろ。絶対に目を逸らすな】
それは今でも守っている。
だから真実を伝える時、間違いがない事は疑う奴の目を見て話すのは、今でもこれからも守ること。
兄上は義姉上の犯した事を真実かどうか確かめるために私の目を見ていた。
私も兄上からの視線を外さなかった。
兄上から向けられる疑惑の視線。
けど私はまっすぐ兄上の視線を受止めた。
兄上はすぐに理解をしてくれた。
同時にそれは兄上が、自分自身の妻に裏切られたことを確定することだ。
兄上の、かみ締める唇に血が滲む。
その瞬間、この場が凍ったように緊張が走る。
兄上を裏切った義姉上を許せない。
しかし、兄上の心情を思うと、胸が酷くギシギシと痛む。
兄上が義姉上に憎しみのこもった目を向け言い放った。
「シルビア、罪を償って貰う。何もかも話してもらおうか?そして、その後、私の手で、私はこの国の王太子として、君を裁こう」
兄上を思うと胸が痛むと同時に、義姉上に憎悪が増すばかりだ。
騎士に連れて行かれるあの人を、私はただ見ているだけ。
ジョージの行く末を案じるなら、そこには母親としての愛情はあるのだろう。
なぜ、罪を犯してまで、兄を裏切り、王家を欺き、私を陥れようとしたのか分からない。
義姉上の愛の果て。愛が間違った結末を生み出したことが残念でならない。
義姉上を見つめる兄上を私はこれからも支える、そう心に誓う。
そして私は告げる。
「シルビア嬢の処遇は陛下、王太子にお任せします。王太子妃の私兵及びメイド、待女についての事情聴取や処分もお任せ致します。私は息子の元へ参りますが、宜しいでしょうか?」
「ああ、すぐに行くが良い。お前の話はカイトを無事に連れ戻してから聞くことにする」
「ありがとうございます。では、ルーク行くぞ」
「はい、ダウニー様、カイト坊ちゃんを助けに参りましょう。」
「ああ、ダウニー。カイトを連れ去ったハーレン団長も連れてこい。」
「承知しました!」
「ルーク行くぞ」
私の言葉にしっかり頷くルーク、そして我らがマーシュ領の兵士たち。
カイトを救う、その思いの頷きが私たちの気持ちをひとつにした。
「ダウニー様、行きましょう。カイト坊ちゃんがダウニー様を待ってます」
私はルークとその部下らを引き連れ軍馬に跨り、砂埃を背にして王城を後にした。
ダッダッダッダッダッ
ブルッブルッ
聞こえるのは馬の蹄の音と息遣い。
カイト、頑張るんだ。
パパが助けに行くからな。
私の脳裏に、愛する息子の笑顔が浮かぶ。
カイトに何かあったら、そいつら絶対に許さんぞ。
待ってろ、カイト。
待ってろよ、悪党共。
孤高の大魔神と言われた、私が出向くんだ。せいぜい今のうちに息を整えておけ。
息子に害をなすもの達、すぐに行くから首を洗って待ってろ。
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