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第1章 カイト、五歳までの軌跡
82 アリ、スライム飼いたい
しおりを挟む心配してるんだけど、ちょっとドキドキ。
だって、アリのバンツが見えたから。
やー、可愛い。きっとあれはトレーニングパンツだねっ。
ボクは普通のパンツ。エッヘン。
ボクはお兄ちゃんだからねっ。
マールに抱っこされたアリのところに行かなきゃ。
「アリ、だいじょーぶ?」
泣くの我慢してるアリ。
お目目いっぱい涙ためてるアリ。
うー、この涙目、庇護欲そそるー。
けど、なんだろ、胸騒ぎ。
ボクが泣きそうなアリを慰めなきゃ。
「おいで、アリ」
両手を広げで待つボク。
マールに抱かれたアリはボクに手を伸ばす。
マールは膝を折りアリを僕の前に下ろしてくれた。ボクに抱きつくアリ。
「痛かったね?でもよくガマンしたね、エラいよ、アリ。はしっちゃだめだよ。ちゃんと言うこと聞いてね?」
「あい、おにーちゃま、アリ泣かない。がまんしてるの、アリえらいっ?」
「うんうん」
今にも泣きそうなアリをぎゅっと抱きしめるボク。そんなボクの背中のシャツを両手で握りしめるアリ。
よし、アリ大丈夫みたいだ、よかったー。
そう思うけど、そう思うんだけど、ボクの脳裏にははっきり残像が。
アリのパンツはピンクだったなっ~
アリ、頑張って早くトレーニングパンツ終わるといいね。
普通のパンツは快適だよ~。
力説するよー。大事なのよ。
アリはトレーニングパンツ。
ボクは普通のパンツ。
大事だから2度言うよ。
アリはトレーニングパンツで、
ボクは普通のパンツ。
それだけでボクは、お兄ちゃんの威厳を保てた気がした、よ?
あ、そうだ!
大丈夫よ、さっきから謝ってばかりのルーク団長。団長は悪くないからね。
「ねー、ルーク団長、ボクたちを呼んでいたよね?なんだったのー?」
「あぁ、さっきこいつを見つけたんですよ、ほら」
「これなあに?」
さっきまで泣きそうだったんじゃないのー。アリさーん、おーい。
「これはスライムでございます。弱い魔物ですよ、簡単に捕まえることができます。小さな子どもでも簡単にやっつけられますよ。カイトおぼっちゃま、やっつけてみますか?」
ハンス副団長、やけに進めるねー。
これがスライムなんだねー。
「これ触ってもいいの?」
スライム触ってみたい、どんな感じ?
「大丈夫ですよ、中心の目と口、中に見えますか?核を触らなければ、他は触っても大丈夫ですよ」
「へー、ハンス副団長は物知りだねー」
「いや、それほどでもっ」
って満更じゃないでしょ?鼻の穴膨らんでるよー。
「こわくない?」
「大丈夫でございます。ほら、端の方を私が触りますね、ほら、大丈夫でしょ?」
「アリ、触ってみるっ」
あ、めちゃくちゃ目がキラキラだよ、アリ。
「ボクも触ってみるー」
あ、これあれだ、ぐにゅぐにゅしてるー。
たのしー。
「おにーちゃま、楽しいねっ」
「うん、楽しいねっ」
「では、そろそろスライムとはお別れしましょうか?」
「やっ!」
え?アリ、どーしたの?
「アリ、スライム飼いたい」
え?え!え?え?なんで?
「なんで?」
「だってかわいいんだもん」
「だめ?」
あ、出たー、ママ譲りの必殺コテッ。
もう、ルークも、ハンスも、マールも、それと今、そこで(うっ、かわいい)って今言ったよね?小さい声でも聞こえたよ。
今、そこに、いるよね?見えないけどいるって事は、シャドー?シャドーがいるの?
あれ?バレちゃだめじゃん?
「まずは旦那様に許可をとらなければなりませんね。旦那様、ダメって言えますかね?言わない気がします。いえ、言えないかもしれません。お嬢様のかわいいお願いですからねー」
マール、パパの事よく知ってるね、さすがマール。
「では、私が旦那様の許可をもぎっとって参ります。お嬢様のためならこのルーク必ずや旦那様を説得してきますね。お待ちいただけますか?」
本当はボクも飼いたい。
「「あいっ」」
うん、ボクとアリ、いいお返事。
「「「「「「「「「うっ♡」」」」」」」」」
ね、みんな大丈夫?
あのー、屋敷からロープを持ってきてくれた方ー、唖然としてますね、大丈夫ですよ。
だってかわいいは正義!だよね。
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