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第二章 追放奴隷のシルバーウルフ
第42話 エヴァの過去
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零夜達は5人目の珠を持つエヴァと出会い、彼女と話をしていた。因みにアイリンはエヴァの傷を回復術で治している。ボロボロだとは言え、ここまで逃げていたのは凄いと言えるだろう。
「なるほど。奴隷として扱われていて、ここまで逃げたという事か……」
零夜達はエヴァの話に納得の表情をしていて、彼女はコクリと頷く。その目には涙が浮かんでいるので、余程辛い思いをしていたに過ぎない。
「ええ……。私はかつてペンデュラスにあるギルドで働いていたわ。前はS級パーティーで活躍していた筈なのに……。仲間の裏切りで追放されてしまったの……」
エヴァは当時の事を思い出しながら、零夜達にその時の事を話し始めた。転落してから奴隷になった当時の事を……。
※
それは2週間前の事。エヴァはペンデュラスにあるギルドで働いていて、S級パーティー「オパールハーツ」に所属していた。服装も当時はチューブトップとミニスカとなっていて、動きやすさ重視となっていた。その分パンツが見えてしまうのが難点となるが。
ここでの彼女は前衛としての格闘家で頑張っていたが、ある理由を境にクビになってしまったのだ。
「クビ!? どういう事よ!」
エヴァはパーティーをクビにされた事で納得できず、怒りの表情をしていた。自分も懸命に頑張っているのに、いきなりクビにされるとはあり得ないのだ。
それに対して剣士の男のハインは、エヴァに近付いて彼女の顎をグイッと上げる。
「お前な。今の状況を分かっているのか? 俺達オパールハーツはS級ランクの戦士達として、精一杯頑張っているんだぞ。なのにお前は本来の力を発揮できておらず、ランクもA級なのが現状だ」
ハインの鋭い意見に対し、エヴァは何も言えなくなる。エヴァは格闘術も人並み離れた実力を持つし、力持ちである事が判明している。しかしランクとしてはS級まであと一歩のところ。皮肉と言えるが、これが現実としか思えないのだ。
すると仲間の一人である重戦士のクルーザが、エヴァに近付いてきた。
「ハインの言う通りだ。後衛であるビショップのザギル、盗賊のルイザも思う存分活躍している。お前も活躍しているのは分かるが、A級止まりのお前にはこのパーティーに向いてないだろう」
クルーザもハインと同じく鋭い意見を出していて、エヴァは俯きながら何も言えなくなる。その様子を見たザギルとルイザも真剣な表情をしていて、エヴァを鋭く睨んでいた。彼等もまたハインやクルーザと同意見で、A級ランク止まりの者がこのパーティーには必要ないと感じているのだろう。
「そういう理由でお前はクビだ。しかし、俺が新たな仕事を見つけてきた」
「新たな仕事?」
ハインはエヴァをクビにするが、彼は新たな仕事を提供する。それにエヴァが疑問に感じる中、ハインはすぐに説明を始めた。
「領主様のペンデュラス伯爵が、息子であるアリウスの面倒を見てくれとの依頼だ。ギルドを辞めなければ、正式にその仕事が受けられないみたいだがな」
「ペンデュラス伯爵様が?」
ハインの説明にエヴァがキョトンとする中、彼はその内容を説明する。
ペンデュラス伯爵には息子の一人であるアリウスがいるが、彼が領主になる為には付き添いが必要との事。そこでこのギルドにもお知らせが来たが、ギルドに所属している者は受ける事は不可能。それによってギルドを辞めなければ、この仕事は受けられないのだ。
「なるほど。でも、そのアリウス様と言うのはどんな人なの?」
「それは僕の事だ」
突然声のした方を全員が見ると、なんと金髪の若い男性が兵士達と共に姿を現した。彼こそペンデュラス伯爵の息子であるアリウス・ペンデュラスであり、彼の姿にギルド内は騒然としてしまう。
「アリウス様! 何故ここに!?」
「何時まで経っても候補者が出ないから、わざわざここに来ていたのさ。色々考えて見たけど、そこにいる君を指名する事にしたからね」
アリウスはエヴァを指差しながら、彼女を自身の付き添いに指名する。それにギルド内は騒然としてしまい、一斉にエヴァに視線を移してしまった。
「私で……、良いのですか?」
「ああ。君の活躍を見て不憫だと思っていたからね。だからこそ、指名する事にしたのさ」
アリウスの説明に皆が納得するが、騒然となるざわつきは止まらずにいた。あのA級ランクのエヴァがアリウスから指名される事はあり得ず、むしろシンデレラストーリーを突き進んだじゃないかと思っているだろう。
それを聞いたエヴァは納得したと同時に、アリウスに対して一礼をする。
「分かりました。この仕事、引き受けさせてもらいます」
「いい返事だ。宜しく頼むよ」
エヴァはアリウスの付き添いを受ける事になり、ギルド内は拍手喝采に包まれた。しかしそれを見ていたハイン達四人は、ニヤリとあくどい笑みを浮かべていた。これは自身達がエヴァに対し、こっそりと仕組んでいた事を隠していたまま……。
※
「そして私は伯爵家の付き添いになったけど、待っていたのは奴隷としての地獄の日々だった。殴られたり、胸を触られたり、玩具として存分に扱われてしまった。それで私は決意をしたと同時に……」
「脱出して今に至るという事ね」
エヴァの話を聞いたアイリン達は、真剣な表情をしながら納得の表情をしていた。話し終えたエヴァは我慢できずに泣き出してしまい、ヒックヒックと嗚咽を漏らしていた。かつての仲間から追放されただけでなく、アリウスにも騙されてしまった。この事を思い出すと泣かずにはいられなかったのだろう。
その様子を見た零夜はエヴァに近付き、彼女をムギュッと抱き締めた。それにエヴァは泣くのを止めてしまい、思わずキョトンとしてしまう。
「大丈夫。今まで辛い思いをしていた気持ちは伝わった。けど、今度は俺達が側にいる!同じ珠を持つ仲間として、見過ごす理由にはいかないから!」
「零夜……」
零夜は笑顔でエヴァを励まし、彼女の目に再び涙が浮かび上がる。更に倫子達もエヴァの元に駆け寄り、次々と励まし始めた。
「あなたも八犬士の一人である以上、放って置く事は出来ないからね」
「私達はハインとは違い、あなたに酷い事は絶対しないから!」
「だから心配しなくても大丈夫よ」
倫子達も笑顔を見せながら、次々とエヴァを慰め始める。彼女達の支えを感じたエヴァは我慢できず、大粒の涙をポロポロと流してしまったのだ。
「ありがとう……。うわああああ!!」
エヴァは我慢できずに大泣きをしてしまい、せき止めていた物が溢れ出してしまった。これまでの辛い日々が解放された事で、大泣きをしてしまうのも無理なかった。
零夜達はエヴァの背中をポンポンと叩いたり、頭を撫でたりしながら慰めていた。この様子だと泣き止むのに時間が相当掛かるだろう。
(八犬士達は何よりも強い仲間の絆がある。それは誰にも止める事は不可能であり、途切れる事はないからな……)
この様子を見たヤツフサは心から思いながら、零夜達の元へと近づき始める。こうして5人目の八犬士であるエヴァが仲間に加わった事で、残りのメンバーは3人となったのだった。
「なるほど。奴隷として扱われていて、ここまで逃げたという事か……」
零夜達はエヴァの話に納得の表情をしていて、彼女はコクリと頷く。その目には涙が浮かんでいるので、余程辛い思いをしていたに過ぎない。
「ええ……。私はかつてペンデュラスにあるギルドで働いていたわ。前はS級パーティーで活躍していた筈なのに……。仲間の裏切りで追放されてしまったの……」
エヴァは当時の事を思い出しながら、零夜達にその時の事を話し始めた。転落してから奴隷になった当時の事を……。
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それは2週間前の事。エヴァはペンデュラスにあるギルドで働いていて、S級パーティー「オパールハーツ」に所属していた。服装も当時はチューブトップとミニスカとなっていて、動きやすさ重視となっていた。その分パンツが見えてしまうのが難点となるが。
ここでの彼女は前衛としての格闘家で頑張っていたが、ある理由を境にクビになってしまったのだ。
「クビ!? どういう事よ!」
エヴァはパーティーをクビにされた事で納得できず、怒りの表情をしていた。自分も懸命に頑張っているのに、いきなりクビにされるとはあり得ないのだ。
それに対して剣士の男のハインは、エヴァに近付いて彼女の顎をグイッと上げる。
「お前な。今の状況を分かっているのか? 俺達オパールハーツはS級ランクの戦士達として、精一杯頑張っているんだぞ。なのにお前は本来の力を発揮できておらず、ランクもA級なのが現状だ」
ハインの鋭い意見に対し、エヴァは何も言えなくなる。エヴァは格闘術も人並み離れた実力を持つし、力持ちである事が判明している。しかしランクとしてはS級まであと一歩のところ。皮肉と言えるが、これが現実としか思えないのだ。
すると仲間の一人である重戦士のクルーザが、エヴァに近付いてきた。
「ハインの言う通りだ。後衛であるビショップのザギル、盗賊のルイザも思う存分活躍している。お前も活躍しているのは分かるが、A級止まりのお前にはこのパーティーに向いてないだろう」
クルーザもハインと同じく鋭い意見を出していて、エヴァは俯きながら何も言えなくなる。その様子を見たザギルとルイザも真剣な表情をしていて、エヴァを鋭く睨んでいた。彼等もまたハインやクルーザと同意見で、A級ランク止まりの者がこのパーティーには必要ないと感じているのだろう。
「そういう理由でお前はクビだ。しかし、俺が新たな仕事を見つけてきた」
「新たな仕事?」
ハインはエヴァをクビにするが、彼は新たな仕事を提供する。それにエヴァが疑問に感じる中、ハインはすぐに説明を始めた。
「領主様のペンデュラス伯爵が、息子であるアリウスの面倒を見てくれとの依頼だ。ギルドを辞めなければ、正式にその仕事が受けられないみたいだがな」
「ペンデュラス伯爵様が?」
ハインの説明にエヴァがキョトンとする中、彼はその内容を説明する。
ペンデュラス伯爵には息子の一人であるアリウスがいるが、彼が領主になる為には付き添いが必要との事。そこでこのギルドにもお知らせが来たが、ギルドに所属している者は受ける事は不可能。それによってギルドを辞めなければ、この仕事は受けられないのだ。
「なるほど。でも、そのアリウス様と言うのはどんな人なの?」
「それは僕の事だ」
突然声のした方を全員が見ると、なんと金髪の若い男性が兵士達と共に姿を現した。彼こそペンデュラス伯爵の息子であるアリウス・ペンデュラスであり、彼の姿にギルド内は騒然としてしまう。
「アリウス様! 何故ここに!?」
「何時まで経っても候補者が出ないから、わざわざここに来ていたのさ。色々考えて見たけど、そこにいる君を指名する事にしたからね」
アリウスはエヴァを指差しながら、彼女を自身の付き添いに指名する。それにギルド内は騒然としてしまい、一斉にエヴァに視線を移してしまった。
「私で……、良いのですか?」
「ああ。君の活躍を見て不憫だと思っていたからね。だからこそ、指名する事にしたのさ」
アリウスの説明に皆が納得するが、騒然となるざわつきは止まらずにいた。あのA級ランクのエヴァがアリウスから指名される事はあり得ず、むしろシンデレラストーリーを突き進んだじゃないかと思っているだろう。
それを聞いたエヴァは納得したと同時に、アリウスに対して一礼をする。
「分かりました。この仕事、引き受けさせてもらいます」
「いい返事だ。宜しく頼むよ」
エヴァはアリウスの付き添いを受ける事になり、ギルド内は拍手喝采に包まれた。しかしそれを見ていたハイン達四人は、ニヤリとあくどい笑みを浮かべていた。これは自身達がエヴァに対し、こっそりと仕組んでいた事を隠していたまま……。
※
「そして私は伯爵家の付き添いになったけど、待っていたのは奴隷としての地獄の日々だった。殴られたり、胸を触られたり、玩具として存分に扱われてしまった。それで私は決意をしたと同時に……」
「脱出して今に至るという事ね」
エヴァの話を聞いたアイリン達は、真剣な表情をしながら納得の表情をしていた。話し終えたエヴァは我慢できずに泣き出してしまい、ヒックヒックと嗚咽を漏らしていた。かつての仲間から追放されただけでなく、アリウスにも騙されてしまった。この事を思い出すと泣かずにはいられなかったのだろう。
その様子を見た零夜はエヴァに近付き、彼女をムギュッと抱き締めた。それにエヴァは泣くのを止めてしまい、思わずキョトンとしてしまう。
「大丈夫。今まで辛い思いをしていた気持ちは伝わった。けど、今度は俺達が側にいる!同じ珠を持つ仲間として、見過ごす理由にはいかないから!」
「零夜……」
零夜は笑顔でエヴァを励まし、彼女の目に再び涙が浮かび上がる。更に倫子達もエヴァの元に駆け寄り、次々と励まし始めた。
「あなたも八犬士の一人である以上、放って置く事は出来ないからね」
「私達はハインとは違い、あなたに酷い事は絶対しないから!」
「だから心配しなくても大丈夫よ」
倫子達も笑顔を見せながら、次々とエヴァを慰め始める。彼女達の支えを感じたエヴァは我慢できず、大粒の涙をポロポロと流してしまったのだ。
「ありがとう……。うわああああ!!」
エヴァは我慢できずに大泣きをしてしまい、せき止めていた物が溢れ出してしまった。これまでの辛い日々が解放された事で、大泣きをしてしまうのも無理なかった。
零夜達はエヴァの背中をポンポンと叩いたり、頭を撫でたりしながら慰めていた。この様子だと泣き止むのに時間が相当掛かるだろう。
(八犬士達は何よりも強い仲間の絆がある。それは誰にも止める事は不可能であり、途切れる事はないからな……)
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