ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜

蒼月丸

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第三章 幕張の隠された秘宝

第98話 デスマッチバトル

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 リング内ではエヴァの猛攻が始まりを告げられ、次々と打撃技を繰り出していく。しかしブラックファントムは鋼の肉体を持っているので、そう簡単には倒せないのが現状だ。

「くっ!私の打撃が全然効かないなんて!これは手強いとしか言えないわね……」

 エヴァは焦りによる冷や汗を流した状態で、ブラックファントムを見つめている。彼はレスラーだからこそ身体は丈夫であり、今の打撃では普通に倒す事が出来ないのだ。

「その通りだ。プロレスラーは鍛え上げた鋼の肉体を持っている。例え相手が八犬士であろうとも、この俺は倒せない!」

 ブラックファントムはエヴァに宣言した直後、リング下に降りてパイプ椅子を一つ掴む。そのままパイプ椅子をリング内に入れた後、自身も転がりながらリングインした。

「エヴァ、パイプ椅子が来るぞ!すぐに回避だ!」
「今更アドバイスしても遅い!叩きのめしてくれるわ!」

 零夜がエヴァに向かって真剣な表情で叫ぶが、その前にブラックファントムがパイプ椅子を両手で掴み、彼女に振り下ろそうとしていたのだ。いくら回避しようとしても、素早さがなければ無理と言えるだろう。

「そんな攻撃はお見通しよ!」

 しかしエヴァはパイプ椅子を片手で止めてしまい、強烈な前蹴りをブラックファントムに放つ。彼女の強烈な蹴りは大きい相手を勢いよく飛ばす為、ブラックファントムは当然後方に飛んでしまった。

「ぐお……(あの女、こんな力があるとは……甘く見ていたのも無理ないか……)」

 ブラックファントムは後方に飛ばされながら、ロープを背に耐えきっていく。しかしその反動で弾き飛ばされてしまい、彼はそのまま場外へと向かおうとしていた。

「はっ!」

 しかしブラックファントムはロープを掴んで跳躍し、そのままリングの外に着地する。すると竹串を掴んだと同時に、転がりながらリングに戻った。

「まずい!あれは竹串だ!あれを喰らったら流血確定だぞ!」
「「「ええっ!?」」」

 零夜は真剣な表情をしながら説明し、その内容にマツリ達が驚いてしまう。彼女達は竹串の恐ろしさをあまり知らないので、驚いてしまうのも無理なかった。
 竹串は本来料理などに使う事が多いが、同時に武器としても使われる事がある。それによってハードコアプロレスで使われる事が多いのだ。

「貴様は竹串によって血まみれになる。大人しく覚悟してもらおうか!」

 ブラックファントムはあくどい笑みを浮かべながら宣言した後、エヴァを掴んで前方のロープへと投げ飛ばす。しかしエヴァは勢いよく跳躍したと同時に、ロープの上に着地したのだ。

「なんだと!?勢いよく飛ばした筈なのに……」

 この光景にブラックファントムは驚きを隠せず、エヴァはニヤリと笑いながら彼を見下していた。
 シルバーウルフは素早いスピードが持ち味で、狙った獲物は逃さない特性を持つ。更にエヴァは身長も高く、どんな物も持てる最強の怪力まで兼ね揃えている。シルバーウルフの中では珍しいのも無理ないだろう。

「そう簡単に私は倒せないわ!ミサイルキック!」
「ゲボラ!」

 エヴァはリングロープからの両足蹴りを繰り出し、ブラックファントムの顔面を蹴り飛ばす。彼はその衝撃で飛ばされてしまい、持っていた竹串もバラバラに飛んでしまった。
 するとその内の数本が勢いよく飛んでしまい、零夜の頭に見事突き刺さったのだ。

「いっ……でェェェェェェェ!!」

 零夜は痛みのあまり飛んでしまい、勢いよく竹串を引っこ抜いてしまう。それによって頭部から出血してしまうが、すぐに自動回復術で完治してしまったのだ。

「零夜君、大丈夫?竹串刺さっていたけど……」
「ええ。なんとか回復しました……だが、竹串を俺に刺すとはいい度胸だな……」
(うわっ!怒っている……あの竹串はまずかったかも……)

 倫子は心配しながら零夜の元に駆け寄るが、彼は怒りの表情でブラックファントムを睨みつける。関係ない人である自身に攻撃をした事はとても許せず、怒りのオーラを纏っているのだ。
 零夜はリングサイドに移動し、床にある有刺鉄線バットを手に取る。そのままリングに上がったと同時に、真剣な表情でブラックファントムを睨みつけてきた。

「おい。ブラックファントム……メンバーチェンジだ。次は俺が相手になる……」
「零夜?カンカンに怒っているけど……」

 零夜の怒りの姿にエヴァが疑問に感じる中、ブラックファントムは起き上がりながらも彼に視線を移す。零夜の怒りの表情はまさに般若の様であり、背中には鬼のオーラが既に発動されているのだ。
 
「メンバーチェンジか……良いだろう、正々堂々掛かってこい!」
「言われなくてもそのつもりだ!」

 ブラックファントムの宣言と同時に、零夜は有刺鉄線バットを剣の様に構えていく。彼は既に戦う覚悟ができていて、真剣な表情で相手を睨み付けていた。
 その様子を見たエヴァは零夜の肩を掴み、彼の顔にそっと近付いてきた。彼に何か言いたい事があるのだろう。

「エヴァ?」
「あなたの怒る気持ちはよく分かるわ。けど、試合に乱入するのは良くないと思うし、ここは私にやらせて欲しいの」

 エヴァは零夜の頭をゆっくり撫でながら、彼に優しい言葉をかける。そのまま零夜から有刺鉄線バットを取り上げたと同時に、そのまま彼をゆっくりと抱き締めたのだ。

「うわっ!大胆!」
「これが恋なのね……」

 椿は両手に口を押えながら驚きを隠せず、りんちゃむは納得の表情をしながら頷いていた。

「「むーっ!」」
「まあまあ落ち着いて」
「これは二人の話なんだからさ……」

 しかし倫子とヒカリは嫉妬で頬を膨らまし、日和達は苦笑いしながら落ち着かせている。好きな人が自分以外と触れ合うのは、流石に嫉妬するだろう。

「あなたがブラックファントムに傷つけられた事については……私が倍にして返すから。だから……私を信じて」

 エヴァの優しい笑顔によって、零夜の怒りは沈黙してしまう。彼女の母性的な温もりがあったからこそ、彼の怒りを沈黙する事ができたのだろう。
 零夜は正気に戻ったと同時に、エヴァから離れて彼女に視線を移す。

「ごめんな、エヴァ……迷惑かけてしまって……だが、怪我なく無事に戻ってきてくれ!それが俺の願いだ」
「ええ!必ず約束するわ!」

 零夜の心からの願いを聞いたエヴァは、笑顔で優しく応える。彼がそのままリングから降りた直後、エヴァは有刺鉄線バットを持ちながらブラックファントムを睨み付けていた。その表情はかなり怒っていて、大切な人を傷つけた事を許さない様だ。

「アンタ、よくも零夜を竹串で傷つけてくれたわね……試合再開と行きましょう!」
「良いだろう!だが、貴様が有刺鉄線バットを持っても、この俺には敵う筈がない!」
「それはどうかしら?ふん!」

 ブラックファントムの宣言の直後、エヴァは怒りで有刺鉄線バットを強く構える。そのまま勢いよく振りかぶり、ブラックファントムの顔面に見事直撃したのだ。

「ぐおっ!」

 ブラックファントムは勢いよくリング外へ吹っ飛ばされてしまい、パイプ椅子の山に不時着してしまった。しかしエヴァの怒りはまだ収まらず、ギロリと目を光らせながら倒れている彼に視線を合わせていたのだ。

「さて……私がこんな物で済むと思ったら大間違いよ。この戦いはどちらかが倒れるまで行うの以上、終わる事はないのだから」
「こ、こいつが……俺を舐めんじゃねえぞ……俺はデスマッチファイターである以上、負ける筈がないからな……」

 ブラックファントムは息を荒げながらも何とか立ち上がり、そのまま竹刀を構えながらリングへと戻り出す。それを見たエヴァは有刺鉄線バットを右手で構えつつ、その先をブラックファントムへと向けていた。

「地獄へ落ちるのはあなたのみよ……今からその現実を叩き込んであげるわ!」

 エヴァの宣言と同時に、戦いは後半戦に入ろうとしていたのだった。
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