ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第一章 戦士達の集結

第二十四話 奴隷の話

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 モンスターの融合確認の後、ヒューゴによる奴隷についての説明が行われる事になった。

「まずはこの映像を見てみよう」

 ヒューゴはバングルからウィンドウを開き、奴隷の画像を見せる。その姿に零夜達は真剣な表情をしていた。

「奴隷は人間としての権利・自由を認められず、他人の私有財産として労働を強制され、また、売買・譲渡の対象ともされた人である。どの世界でも存在するし、中には悪用する者達までいるからね」

 ヒューゴの基本の説明に皆が納得しつつ、彼は話を進める。それと同時にウインドウに次の画像が映され、アークスレイヤーの兵士達が虐殺行為と女性を連行される姿が映し出された。

「アークスレイヤーは女性を奴隷、男性は容赦なく殺す残虐制度を公認し、多くの世界を次々と滅ぼしているからね。」
「そんな……何処までやれば気が済むのよ!」

 ミミはアークスレイヤーのやり方に憤慨し、ヒカリ達も同意する。男性は性格や銘柄も関係なく皆殺ししてしまう行為はあまりにも許されず、彼女達の怒りがヒートアップしてしまうのも無理ないだろう。
 更に女性に関しても厳しい決まりが存在していて、美人は良いがブスはダメという決まりがある。明らかに差別としか言いようがない。

「更に支部配下の基地の奴隷の数は二十人。ヘンデルの近くにあるフルール基地もその内の一つだ」

 ヒューゴの説明を聞いた零夜は、真剣な表情でヘンデル鉱山の方向に視線を移す。その後ろにはフルール基地があるが、その中には二十人の奴隷が捕まっているのだ。
 零夜は怒りを出そうになるが、落ち着いたと同時に話に集中する。

「また、支部の奴隷は三十はいる。僕達が本来向かうホムラ基地も同じだ」
「そんなにもいるのね……じゃあ、上には上がいるのかな?」

 倫子が感じた疑問にヒューゴはコクリと頷いたと同時に、ウインドウに映る画面が切り替えられる。そこには支部配下基地以上の奴隷人数が記録されていた。

 各基地の奴隷人数
・支部配下基地:二十人
・支部基地:三十人
・世界の襲撃指揮官:五十人
・四天王:百人
・トップエイト(選ばれし八人による構成):二百人
・ザルバッグ:五百人

「ザルバッグは五百人か……このぐらいだと会社ができてしまうぐらいね……」

 倫子が真剣な表情をしていて、これにエヴァ達も同意する。五百人の奴隷を手懐けているとなると、面倒も苦労する。しかし、一部の男性にとっては羨ましさと嫉妬を感じてしまうのも無理ないだろう。
 零夜は上には上がいる事を知り、冷や汗を流しながら画面を見続けていた。今のレベルじゃ敵わない事を痛感したのだろう。

「あと、選ばれし戦士達は奴隷と契約できる事が可能となっている。だが、悪しき心を持つ者には奴隷を与える事は不可能であり、逆に天罰が与えられる掟がある」
「選ばれし戦士達だからって何をしても良い訳じゃない。ルールは厳しくいかないと!」

 ヒューゴの説明にエヴァは意見を出して、それに皆は頷きながら同意する。
 選ばれし戦士といえども、カーンが言った通り厳しいルールが存在する。もし、それを破った者はその資格を剥奪されてしまい、悲惨な目に遭うのは間違いないだろう。
 更に悪しき者に奴隷が渡れば、救出しても痛い目に遭ってしまう。その為、カーンは奴隷達の事も考えて今の様なルールを作られたのだ。

「その通りだ。僕は奴隷とは契約せず、むしろ皆が伸び伸びと自由に暮らす為に援助を行う。中にはギルドで冒険者をしたい人もいるからね」

 ヒューゴは笑顔で自分の意見を述べ、それに皆が賛同する。零夜に至ってはまだ真剣な表情をしながら考えていて、それにヒューゴが気付く。

「真剣な表情をしているけど、そんなに奴隷が気になるのかい?」
「ああ。俺としては彼女達を解放して自由にさせるだけでなく、家を建てて安心して暮らしたいと思っている。あとはヒューゴと同じだけど、彼女達にプロレスを知って興味を持たせたいからな」
「確かにそれはいい考えだね。そういうのもありだと思うよ」
 
 零夜の意見にヒューゴは笑顔で賛同し、倫子達も微笑む。零夜はプロレス馬鹿なのは知っているが、彼女達にプロレスに興味を持たせて欲しい事を強く願っている一面もあるのだ。
 それに零夜は心優しい一面があるので、女性の面倒も得意としている。そのお陰でモテまくってしまうのも無理もないが……

「後は零夜の結婚運ね。浮気はダメだからね!」

 ミミからの注意に零夜はギクッと背筋を伸ばしてしまい、何も言えなくなる。彼女は本心は零夜の事が好きだが、それに気付くのは時間が掛かるだろう。
 講義は一先ず終了となり、零夜達はすぐに出発への準備を行う。いきなり立ち止まってしまった展開とはいえども、これしきの事で立ち止まる理由にもいかない。ストレッチをしたり、マップを確認しながら準備を進めていく。

「取り敢えずはこのくらいだな。先に進むとするか!」
「ああ。早くヘンダル鉱山に向かわないと、襲撃があったら溜まったもんじゃないぜ!」

 ノースマンの意見にアカヤマが同意したその時、一人の少女が駆け付ける。
 その姿はデニムチューブトップとジーンズ姿で、金髪のボブヘア。その姿こそジャンヌ・ダルクだ。
 ジャンヌの姿に気付いた零夜達は、彼女に視線を移す。

「あっ!ジャンヌ!」
「皆さん、久しぶりです!」

 エヴァの叫びにジャンヌは笑顔で彼女達に気付き、すぐに駆け寄って皆で抱擁し始める。夢の中以来だが、再会できた事はとても嬉しい事なのだ。
 この光景にトラマツとノースマンも頷くが、ヒューゴ達はポカンと立ち尽くしていた。髪型は分かったとしても、今の服装がジャンヌだとは予想外だったのも無理は無い。

「あなたがジャンヌさんですか!?なんでこんな服装ですか?」

 ヒューゴは気になった事をジャンヌに質問すると、彼女は零夜達から離れたと同時に、満面の笑顔でジーンズのポケットの中に両手を突っ込む。

「転生した時に服装を変えられていました。けど、動きやすくて似合います!」
「そ、そうですか……」

 ジャンヌの笑顔にヒューゴと紬が苦笑いし、クロエ、タカゾウ、アカヤマは唖然とする。ジャンヌといえば鎧姿だったが、今の姿はカジュアルのへそ出しルック。イメージがぶち壊されてこんな表情になるのも無理はない。
 するとジャンヌはすぐにある事を思い出しながら、ハッと気付いて全員の方を向く。

「それよりも大変です!ヘンダル鉱山に果し状が送られました!しかも、あなた達も含めて!」
「「「ええっ!?」」」

 ジャンヌからの報告に零夜達は驚きを隠せずにいたが、ヒューゴとタカゾウは真剣な表情で考えていた。

「果し状……アークスレイヤーだな。となると、これは放って置く理由にはいかないみたいだ!」
「恐らく奴等は本格的に鉱山を自分達の物にする気だ。急いでいかないとヤバいぜ!」

 ヒューゴとタカゾウの真剣な表情での推測に、零夜達も同様に頷く。アークスレイヤーの奴等なら鉱山を支配するのもあり得るとしか言えないし、急いで向かわなければ征服されるのも時間の問題だ。

「ヘンダル鉱山については私が案内します!急ぎましょう!」
「了解!アークスレイヤーの奴等が来る前に急がないとな!」

 零夜達はジャンヌの案内と共に、急いでヘンダル鉱山へと向かい出す。それと同時にアミリスとソニアとの再会のカウントダウンも近づいて来たのだった。
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