ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百二十二話 追憶のベルセルク(その二)

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 ベルセルク襲撃から翌日、多くの種族達が集まる緊急会議が開かれた。エルフや人間は勿論、ドワーフや獣人族など様々な種族が集まっていた。
 議長である人間のリスマーが木槌を鳴らし、全員が彼に視線を移し始める。

「静粛に。では、これより緊急会議を始める」

 リスマーの宣言で会議が始まり、エムール達は静かに清聴する。

「昨日、ベルセルクというモンスターが襲い掛かり、多くの魔術師達が亡くなられた。そのモンスターを出した元凶は異端者のハルベルトだ」

 リスマーの説明に多くが驚きを隠せず、動揺してしまうのも無理ない。あの追放された異端者がとんでもないモンスターを産み出したのは予想外で、とんでもない復讐をしようとしたのは予想外だと言えるだろう。
 多くがざわついて動揺する中、シルバーウルフ族の女性が手を挙げる。

「その事についてですが、ハルベルトは宗教団体「宗明」のリーダーを務めています。世界を新たに作り変えようとしていると」 

 女性の説明にリスマーが納得し、リスマーは真剣な表情で推測し始める。
 ハルベルトがベルセルクを作られたのは、魔術協会から追放された事が原因。彼は魔術協会に復讐と恨みが込め始め、ベルセルクを作り上げてしまったのだ。
 あの怪物を止められなければ、ハルベルトの思い通りになってしまう。更に彼によってグラディアスが支配されるのも、時間の問題と言えるだろう。
 誰もが冷や汗を流しながら息を呑む中、ドワーフの男性が手を挙げる。

「これは推測だが、八人の戦士達で立ち向かうしかない。あの怪物を倒せる事は可能かどうか分からないが、力を合わせれば勝てる筈だ」

 ドワーフの男性は真剣な表情で推測し、その意見に誰もが納得する。ベルセルクを倒すにはそうするしか方法はないみたいだろう。

「なるほど。では、ベルセルクと戦う意志のある者は前に出てくれ」

 リスマーの合図と同時に、エムールとフリューキンは勿論参加する事を決意。他には提案していたドワーフ族のカジモク、シルバーウルフ族のロリアン、ブルーキャット族のミンミン、吸血鬼のアルク、そして変態アンデッドのフリーマンも参加していた。
 更に仮面を被った侍の男も参加する事になり、これで八人の戦士達が揃ったのだ。

「では、ベルセルクと戦うメンバーはこの様になる。残りはハルベルト率いる宗明のアジトに突入し、一人残らず倒す様に!では、解散!」
「「「おう!」」」

 参加しなかったメンバーは机に足を置き、ヤクザの様な合図で応えた。それを見たリスマーは唖然とした表情をしつつ、ため息をついたのだった。



 会議の後、エムール率いる八人はベルセルクを倒す方法を考えていた。色々話をしながら作戦を練る中、カジモクが推測しながら提案する。

「ベルセルクは頭に悪魔の角が2本生えていて、背中には悪魔の羽、顔は人間、身体は雪男で、長い尻尾となっている。ここはある部分を結合崩壊し、状態異常にすれば勝てるのではないか?」

 カジモクからの提案に全員が了承し、その作戦で行く事を決断する。彼はモンスターの事については多く知っているので、写真や絵を見ただけで分かるのだ。
 
「なるほど。確かにそれなら勝てるが、後はどの様に対策するかだな」
「そうですね。私の破壊の拳なら倒せます!」

 ロリアンは腕を鳴らしながら、ベルセルクを倒そうとしている。当時の彼女は破壊の一撃と力持ちである為、頼りになる存在であるのだ。

「後は弱体化だ。それについては……」
「私がやろう!」

 フリーマンが手を上げて宣言するが、エムールはすかさず彼の方を向いて制止しようとする。

「お前がやったらふんどし踊りで皆、馬鹿になりそうで怖いだろ。少しは自重しろ!」

 エムールがふんどし踊りを止めさせようと動くが、当の本人は断固止めない。ふんどし踊りを踊らずにどう生きろと言うのかを感じているが、それを取ったらタダのおっさんと思われてしまうのだ。
 
「私のふんどし踊りにケチを付けるのか?」
「ケチどころかアホンダラ続出するに決まっているだろ!少しは自重しろってんだよ!」

 エムールは精一杯叫んだ後、肩で呼吸を整える。彼に絡むと碌でもない事にはならず、ただ疲れてしまうだけである。
 その様子を見たアルクは苦笑いしながら、二人を落ち着き始める。

「まあまあ。落ち着いてください。フリーマンさんの踊りは敵の能力を全て下げるだけでなく、状態異常も付けられるのですよ」

 アルクの説明にミンミン達は納得の表情をする。フリーマンのふんどし踊りは味方に有利な効果を持っているので、味方としては頼りになる存在である。敵に回すととんでもない事になるが……

「それなら大丈夫ね。エムールさん、フリーマンさんを信じてみたらどうですか?」
「ミンミンまでもか!?うむ……仕方がない。やってみるとするか……」

 エムールは仕方がなくミンミンの説得に応じるしかなく、この作戦で行くしかなかった。
 言われてみればフリーマンは頼りになる部分もあるが、あの馬鹿な行為さえ無ければまともと言えるだろう。エムールはそう感じながらため息をつくしかなかった。



 それから数日後、作戦決行の日が行われる事になった。リスマー率いる多くの戦士達は宗明の本拠地へと突入、残りは防衛戦を張る事になった。

「作戦については分かっているな?」
「言われなくてもそのつもりだ。それよりもフリーマンが何を仕出かすのか心配だ……」
「分かる分かる……」

 エムールのため息にリスマーもため息を付く。フリーマンのふんどし踊りによってアホンダラが続出しないか心配なのだ。

「もし、このふんどし踊りがグラディアスだけでなく、異世界にまでも広まる可能性もある。それによって馬鹿共が続出し、大パニックになるのは間違いない。戦力としてはありだが……」
「あのふんどし踊りさえ無ければ……」

 リスマーとエムールはお互い涙を流しながら落ち込んでしまい、その様子を見たフリーマンが彼等に近付いて来る。

「何を泣いているのかね?」
「アンタの踊りで馬鹿になる奴が続出しないか心配だよ!」
「さっさとその踊りだけはすぐに終わらせてくれ!」

 エムールとリスマーはフリーマンに向かって叫んだが、彼は首を横に振りながら拒否。どうやら終わらせる訳にはいかないのだ。

「何を言うか!ふんどし踊りこそ……」
「もうええわ!ともかくさっさと行くぞ!」

 エムールはフリーマンの手を引っ張り、ロリアン達と共にベルセルクの討伐へと向かい出す。
 リスマー達はこの様子を見て敬礼し、それぞれの役割を果たす為に動き出した。それと同時に……最大の戦いが始まりを告げられたのだった……
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