ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

文字の大きさ
134 / 277
第四章 エルフの森の怪物騒動

第百三十二話 因縁を終わらせろ

しおりを挟む
「これが……ソニアちゃんのドラゴンの姿……」
「凄いや……こんな姿は初めてだ……」

 美津代、サンペイだけでなく、ルリカ達もソニアのドラゴンの姿に驚きを隠せず、呆然としていたのだ。彼女のドラゴンの姿を見るのは初めてであり、実際の姿を間近で見ればそうなるのも無理ないだろう。

「ボサッとするな!今は戦闘中だ!」
「そうでしたね!ですが、ソニアさんの上には一体誰が乗るのでしょうか……」

 ソニアの掛け声でジェニー達は正気に戻り、すぐに戦闘態勢に入り始める。しかし、ドラゴンとなったソニアの上には誰が乗るかが気になり、ジェニーは疑問に感じていたのだ。
 すると杏がソニアの背中に飛び乗り、そのまま彼女の頭の上に移動する。その様子だとソニアのパートナーである杏が適任していて、ピッタリのコンビと言えるだろう。

「ここはアタシに任せな!こう見えてもドラゴンの操縦は得意だからな。他の皆はアタシ等を援護してくれ!」
「了解だ!此処から先は空中戦に戻るぞ!すぐに行動開始だ!」
「「「了解!」」」

 トラマツの合図と同時に、零夜達は一斉に空を飛びながら空中戦の態勢に切り替える。更にアルバータドラゴンも翼を広げながら空を飛び始め、零夜達に視線を移しながら睨み付けていた。

「空中戦で決着を着けるのか。なら、文句はあるまい!」

 アルバータドラゴンはギロリと目を光らせたと同時に、体内から電流を放とうとする。近付いたら電流を流されてしまうので、近接攻撃は不可能である。

「こいつは少し厄介かもな……突撃すれば大ダメージだけでなく、感電してしまう恐れもある」
「となると、遠距離攻撃が必須かも知れないわね。だったら弱点攻撃を仕掛けないと!」

 アミリスは地面属性の弓矢「アースアロー」を強く構え、次々とアルバータドラゴンに向けて放ち始めた。

「ふん!その程度の弓矢は効かぬ!」

 アルバータドラゴンはアミリスに向かって突撃しようとしたその時、彼女の弓矢が敵に当たり、地面の効果で電流の威力が弱まってしまった。

「何!?電流の威力が弱まっているだと……!?」

 アルバータドラゴンが電流が弱まった事に違和感を感じてしまい、その隙にソニアが突進で敵を弾き飛ばす。

「オラァッ!」
「うおっ!」

 ソニアに弾き飛ばされたアルバータドラゴンは態勢を整えるが、今の一撃でかなり後ずさってしまった。ドラゴンの強烈なタックルはかなりの効果であり、今の一撃はとてつもないだろう。
 体重が大きければ大きい程、タックルやパワーの威力が増していく。ソニアがドラゴンになった時には大きさだけでなく重さも増していて、アルバータドラゴンに対して強烈なタックルを仕掛ける事が出来たのだ。

「こ、この反逆者が……こうなったら何もかも破壊してくれる!」

 アルバータドラゴンは光のブレスを放とうとした直後、キララが敵の背中に飛び乗って拳に炎を纏い始めた弱点は察知しているので、一気に攻めようとしているだろう。

「隙だらけよ!煉獄鉄槌れんごくてっつい!」
「あがらっ!」

 左拳を強く振り上げたと同時に振り下ろし、尻尾に強烈な打撃ダメージを与える。すると尻尾が結合崩壊してしまい、激痛の大ダメージがアルバータドラゴンに襲い掛かった。

「お、おのれ!よくもわしの大事な尻尾を!」
「おっと!それだけじゃないわ!リトルドラゴン、お願い!」
「任せて!」

 更にそれだけではなく、ヒカリがリトルドラゴンを召喚し、彼と共にアルバータドラゴンの頭に攻撃を仕掛けに向かう。するとリトルドラゴンはヒカリの剣に炎を吹いた途端、剣は炎の剣である「サラマンドラ」へと変化したのだ。しかも刀身は赤くなっていて、完全に炎の効果が染み渡っているのだ。

「これでパワーアップ完了!攻めるなら今だよ!」
「了解!ブレイブソード!」

 ヒカリのサラマンドラによる剣さばきが炸裂し、アルバータドラゴンの角は破壊されてしまった。同時に激痛も走ってしまうのも無理なく、アルバータドラゴンは次第に追い詰められているのだ。

「こ、この反逆者共が……わしの身体をそこまで痛めつけるとは……そこまでわしを倒そうとするのか……」

 アルバータドラゴンが痛みを堪えながらもソニア達を睨みつけ、ライカは彼の上に飛び乗って剣の先を下に向けていた。

「当たり前だ……アンタは多くの無実の人を殺し、それが原因で討伐された……私の家族もアンタによって殺された!もう絶対に許さないぜ!」

 ライカは自身の剣に力を込め始め、そのまま剣を変形しはじめる。すると剣は青と赤の刃の剣となり、そのままアルバータドラゴンに対して攻撃を仕掛ける。

「ブレイブエッジとブレイブソードの威力はキツいぜ!魔力注入突き!」
「ぐおっ!」

 ライカは青の刃であるブレイブソードと、赤の刃であるブレイブエッジをアルバータドラゴンの背中に突き刺す。すると、強烈な魔力がアルバータドラゴンの身体に流れ込み、次々と異変を起こしてダメージを与えまくった。
 ブレイブソードとブレイブエッジは最強の聖剣と魔剣と言われていて、それを扱えるのは選ばれし戦士の中でも少数である。ライカもその内の一人だが、零夜もその剣を使える日が来るだろう。

「お、おのれ……こ、ここで、わしが……倒れる理由には……いかない……何が何でも……生き延びなければ……」

 アルバータドラゴンが残る力を振り絞りながら抵抗するが、ソニアはすかさず口から最大級のブレスを放とうとする。それに気付いたライカはアルバータドラゴンの背中から剣を引き抜き、その場から飛び立ちながら脱出した。

「アンタになんて生きる権利は、最初からねえんだよ。これで終わりにしてやるぜ!エンドブレス!」

 ソニアの口から最大級のブレスが解き放たれ、アルバータドラゴンに直撃。悪を滅ぼすブレスである為、アルバータドラゴンにとっては最大級のダメージと言っても良いぐらいだ。

「こ、このわしが……こんな奴等に……負けて…の消滅する……なんて……ぐわあああああ!!」

 アルバータドラゴンは悲鳴を上げながら爆散してしまい、そのまま金貨とドラゴンの肉、ドラゴンの鱗などの素材となってしまった。更にドラゴンの卵も出てきてしまい、零夜はその卵をキャッチしたのだ。
 因みに金貨やドラゴンの肉などは、エヴァが回収済である。

「ソニア。アタシ達の因縁が終わった。皆もきっと喜んでいるだろうな」
「ああ……皆、仇は取ったぜ!」

 杏とソニアは微笑みながら笑い合い、家族や仲間の仇を取る事が出来たのだ。更にライカも笑みを浮かべながら空を見上げていて、因縁が終わったんだなと実感しているのだ。

「後はアークスレイヤーの方だが……」

 零夜が風子達の方に視線を移すと、彼女達も既にアークスレイヤーを討伐し終えていた。しかも、ダメージはほとんど無いので、無事に倒す事ができたのだ。

「こちらは問題ない!」
「そうか……それは良かった……ん?」

 零夜が安堵していたその時、彼の持っているドラゴンの卵に罅が入る。その様子だと孵化しようとしているのだ。

「産まれるぞ!」
「本当!?」

 倫子は零夜からドラゴンの卵を奪い取り、そのまま卵に視線を移す。罅が割れて中から姿を現したのは、なんとアルバータドラゴンの子供だったのだ。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...