ヒーローズエイト〜神に選ばれし８人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

第四章 エルフの森の怪物騒動

第百三十六話 ベルセルクとの戦い

　零夜達ブレイブペガサスと風子達プリンセスヴァルキリーズは空を飛びながら、支部基地跡にいるベルセルクの元へと向かっていた。奴が無傷であるのなら、存分に倒さなければ勝てる事は難しいからだ。

「確かこの辺りに……いた！」

　零夜が指差す方を見ると、ベルセルクがグルルと唸り声を上げながら彼等を待っていた。どうやら彼は選ばれし戦士達との戦いを望んでいたのだろう。

「来たか！選ばれし戦士達よ！この時を待っていた！」

　ベルセルクが零夜達に視線を移しながら戦闘態勢に入り、彼等もまた空を飛びながら武器を構え始める。まさに一触即発の展開となっていて、ピリピリと緊迫した空気が漂っているのだ。

「ベルセルク……まさかお前がヒューラーに反抗し、次々と兵士達を殺しまくるとはな……仲間なのに、なんでそんな事をするんだ！」

　零夜は怒りの叫びでベルセルクのやり方を批判し、それに倫子達も同意する。ベルセルクがヒューラーに対して反抗をしたのは想定外であり、次々と兵士達まで容赦なく殺した。この件に関しては明らかにベルセルクが悪いと言える。
　しかしベルセルクは冷静な表情で前を向いていて、零夜を嘲笑っていた。

「へっ！あいつ等の事など知るか！俺は俺のやりたいようにやるんだよ！ヒューラーに復活されたお陰で、俺は俺のやりたいようにやると決めたからな」

　ベルセルクは自身のやりたい様にやる事を既に決断していて、ヒューラーの言いなりになりたくないと心から思っていたそうだ。だから先程の展開になったのも無理なく、むしろ倒して好都合だと感じているのだ。

「そうかよ……じゃあ、質問を変えるが……お前を倒したあの八人……未だに恨んでいるのか？」

　零夜は次の質問をベルセルクにぶつけた途端、彼はワナワナと震えながら拳を強く握りしめた。その様子だと恨んでいるのも無理ないが、その怒りは炎の様に燃え上がっているのだ。

「そうだ！彼奴等は倒さなければ気が済まないからな……邪魔する奴等は叩きのめすだけでなく、奴等に復讐をしなければ気が済まないんだよ!!」

　ベルセルクの怒りの叫びと同時に、風も強く吹き始めた。エムール達に対して復讐をしなければ、自身としても気が済まないと心から決めている。この様子だと話を聞く事も不可能と言っても良いぐらいで、戦うしか方法はないのだ。

「ベルセルクはかなり手強い……だが、奴を放っておけばさらなる被害が予測される」
「一歩も引けない戦いという事ですね。なら、やるしかありません！」

　風子の推測に夢子達も頷き、彼女達は武器を構えながら戦闘態勢に入る。そのまま飛び出したと同時に、戦いのゴングが鳴らされた。

「一気に攻めろ！攻撃する暇を与えるな！」

　風子の合図で彼女達の攻撃が襲い掛かるが、この程度では効果がない。すると零夜が跳躍したと同時に回転し始め、そのまま急降下で襲い掛かった。

「こいつを喰らえ！螺旋落雷蹴らせんらくらいしゅう！」

　回転と同時に稲妻が身体全体に纏わり、そのまま強烈な蹴りをベルセルクの脳天に炸裂。今の一撃はかなり強烈で、下手をしたらノックアウトは確実だ。

「やったか!?」

　零夜はベルセルクにダメージを与えた事を感じて距離を取るが、彼は頭を掻きながら余裕の表情をしていた。今の一撃は強烈だったが、ベルセルクには効果なかったのだろう。

「あー、痒い痒い」
「流石に効かないか……今の技は効果抜群だと思っていたが……」

　ベルセルクのバカにした挑発に、零夜は悔しそうな表情をしていた。ここまで馬鹿にされて悔しくなるのは当然の事であり、自身の技がここまで効かないのは想定外と言えるだろう。

「なら、一気に攻めて弱らせるしかない！」

　風子は素早く刀を「村雨」に変化させ、刀身に水のオーラを纏わせ始める。同時に威力や斬れ味も大幅に上がり始め、そのままベルセルクに襲い掛かった。

「水流斬鉄すいりゅうざんてつ！」

　強烈な水の斬撃がベルセルクに炸裂するが、水は蒸発して水蒸気に変化した。おまけに斬撃もあまり効果なく、平然としていたのだ。

「何!?効かないだと!?」

　風子も予想外の展開に驚きを隠せない中、夢子はベルセルクを観察しながら彼の様子がいつもと違う事を実感している。見た目としては変わらないと思うが、尻尾と腕の部分が紫色に染まっているのが見えた。

「お嬢様！ベルセルクはどうやらパワーアップしています！尻尾と腕が紫色に染まっていますし、何よりも異常な強さを誇っています！」
「パワーアップ……まさかヒューラーによって強くなったのか？」

　夢子からの報告を聞いた風子は、真剣な表情でベルセルクがパワーアップした事を推測。それにベルセルクもコクリと頷きながら応えたという事は、正解と言っても良いだろう。

「そうだ。ヒューラーという若造によって復活し、パワーアップしたからな。それによって見た目も違うし、力も付けた。ネオベルセルクとしてな！」
「ネオベルセルク……数十年前とは大違いね……」

　ベルセルク改めネオベルセルクの説明に、アミリスは千里眼で敵の弱点を察知し始める。ネオベルセルクという新たな敵が出た以上、弱点を察知しなければならなくなってしまったのだ。
　
「俺を倒した奴等に復讐するのは勿論、自らの手でグラディアスを征服する！邪魔する奴は殺すのみだ！」

　ネオベルセルクは翼を広げながらスピードを上げてしまい、そのままアナを強烈な拳で殴り飛ばす。
　大型モンスターのパンチはとても強いが、ネオベルセルクの場合だと更に強烈と言える。まさに最凶最悪の大型モンスターと相見えているとしか言えないだろう。

「がっ！」
「「アナ！」」

　ネオベルセルクの強烈なパンチにより、アナは地面に墜落。今の一撃はとても重く、身体全体に大ダメージを受けてしまった。おまけに体力まで一気に減らされているので、回復に専念しなければならないだろう。

「アナ、しっかりしてください！」

　メイリーとキララは地面に着地し、倒れているアナの元に駆け寄る。かなりのダメージで復帰するまでには時間が掛かりそうだ。

「どうだ！テメェ等もこうなる運命だ！何もかもぶっ潰してやる！」

　ネオベルセルクの咆哮と同時に、零夜達は冷や汗を流しながら緊迫の表情をしていた。今までにない最凶最悪の敵と対峙している以上、そうなるのも無理なかったのだった。