ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第五章 ハルバータの姫君

第百六十七話 ドキドキブティック

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 訓練は一時中断となり、アメリアの戦闘服を買いにブティックショップへと向かう事になった。彼女が戦闘時に動きやすくて戦えるだけでなく、パンツが見えない対策も必要となるからである。

「ヴァルムントにあるブティックショップはこの先なの?」
「はい。確か……あそこです!」

 ヒカリの質問に対し、レジーが説明しながら向こうを指差す。そこにはブティックショップの看板が立てられていて、店もスーパーマーケットと同じくらい大きい。王国一のブティックショップだからこそ、お店も大きいのだ。

「これがヴァルムント王国のブティックショップ……」
「凄く大きい……」

 ルリカ達はブティックショップの大きさに驚きを隠せず、ポカンとしてしまうのも無理はない。すぐに気を切り替えたと同時に、そのまま店の中に入り始めた。



 店の中はかなり広く、多くの服がズラリと並んでいる。スカートやズボンは勿論、下着なども売られているのだ。女性としては買い物に時間をかけるので、じっくり見て買う事を常に心掛けているのだ。

「ヴァルムント王国では寒冷地である為、暖かい服装が多いです。特にセーターやオーバーオールが人気で、数多くの種類があります!」
「そうなんだ……せっかくだから探してみないとね。アメリアの服も探さないと!」
「ええ!私達もいい服がないか探してみます!」 

 アメリアの説明にヒカリ達は納得し、色んな服を探しに向かい出す。その様子に零夜は呆れた表情をしているのも無理なく、レジーは苦笑いしてしまう。

「まったく……女性というのは服を買うのに、どれだけ時間をかけるんだよ……もう少しスパッと決まって欲しい物だ……」
「仕方がありませんよ。一週間ほど前、アメリア様は納得できる服を探しまくっていましたからね。しかも二軒はしごして、ようやく二時間掛かりました」
「ええっ!?」

 零夜のため息にレジーが一週間ほど前の事を説明すると、その内容に零夜は驚きを隠せなかった。まさか服の買い物に二時間掛かるとは思わず、びっくり仰天してしまうのも無理ない。

「どれだけ固執が強いのですか……呆れてしまうのも無理ないですよ……」

 零夜が唖然としてしまう中、アメリア達が零夜達を振り向きながら視線を合わせていた。今の話を聞いていたのだろう。

「それが女性という者ですよ」
「そうそう。早くいい服探さないと!」

 アメリアはウインクしながら零夜に説明し、エヴァ達も同意して服を探し始める。すると倫子がいい服を見つけ、アメリアに声を掛ける。

「アメリアちゃん。これなんかどう?」

 倫子はアメリアに対し、青いデニムジーンズを見せながら提案する。ストレッチ素材で通気性もよく、一年中の季節にも対応できる優れ物だ。

「良いですね!後はブラウスも必要です!長袖のブラウスが似合いますので、向こうに行きましょう!」
「ええ!」

 アメリアは倫子の提案に同意し、下半身はジーンズに決定。後は白いブラウスを購入する事を決断し、そのまま探しに向かい出した。

「あれ?今回は早いみたいですね。何時もなら時間が掛かるのに……」
「目的の物が見つかったからでしょうか?」

 この様子に零夜とレジーが疑問に感じる中、アメリアの戦闘服選びはスムーズに進み始めた。予想としては一時間掛かると思っていたが、あまりのスムーズに驚きを隠せずにいたのも無理なかった。 



 それから十分後、外ではブティックで待機している零夜とレジーが、情報収集をしていたノースマンとトラマツと合流していた。彼等からの話によれば、王位継承はアメリアしかいないと実感しているとの事だ。
 ハインは死に、メルトが辺境へと送られた以上、アメリアが王位継承を果たすまで国民全体が彼女を支持する事に。その分プレッシャーも強くなるが、彼女にとっては自信に繋がるだろう。

「まさか国民全体がここまで……」
「全て事実だからな……」

 驚きを隠せずにいたレジーに対し、ノースマンが冷静な表情で話していた。するとブティックからソニア達が出てきて、零夜達の元に駆け付けてきた。

「もう終わったぞ!で、アメリアの新たな戦闘服だ!」 

 ソニアが指差す方を零夜、レジー、ノースマン、トラマツが見てみると、アメリアの新たな姿に驚きを隠せずにいた。

「おお!姫様……!」
「す、凄い……!」
「この服装できたのか……」 
「おお……!」
 
 なんとアメリアはベルト付きのジーンズに、長袖のブラウスというシンプルなスタイルにしたのだ。余計な飾りもなく、動きやすさは十分にある。
 更に肩の防具も装着していて、戦闘には相応しいと言えるだろう。

「どうでしょうか?」
「おお!これならバッチリですぞ!」
「なかなか似合うじゃないか」
「見事だ!」

 レジー、トラマツ、ノースマンはグッドサインなどで称賛し、アメリアは微笑みを見せる。ミミ達のアドバイスを踏まえて自身で考えた結果、この様になったのだ。

「お姫様だから高貴なイメージなどを考えたけど、この方がピッタリ似合うかもね」
「ええ。アメリア姫ならこの衣装で決まりでしょ!」

 ミミとキララは自信満々の笑顔を見せている中、零夜はアメリアと目を合わせずに下を向いていた。どうやら彼女の衣装が美し過ぎて、恥ずかしさのあまり目を逸らしていたのだ。

「どうしたのですか?」
「いや、恥ずかしさのあまり目を合わせずに……」

 アメリアは気になる表情で質問するが、零夜は恥ずかしさのあまり赤面していた。彼は照れ臭く初心な部分もあるので、この様になるのも無理ないのだ。

「大丈夫ですよ。ほら、落ち着いて私の方を見てください」
「は、はい……」

 アメリアは笑顔で零夜にアドバイスを与え、そのまま彼の顔を自身の顔に向けさせる。彼女の笑顔は太陽の様に眩しく、服もとても似合うのでますます清楚に見えているのだ。

「とても……似合います……」
「ありがとうございます」

 零夜は顔を赤くしながら褒めていて、アメリアは笑顔を見せていた。その様子にアミリスはすぐに零夜の心情を察していて、彼に近付き始める。

「零夜、もしかして……アメリア姫の事が好きなんじゃ……」
「な!?」
「「「!?」」」

 アミリスのニヤケ顔に零夜はドキッとしてしまい、ミミ達も驚きを隠せずにいた。アメリアは顔を真っ赤にしてしまい、オーバーヒートしそうな勢いになっていく。

「違う!これは違うんだ!誤解を言うのは止めてくれ!」
「そうですよ!零夜さんにはミミさん達がいますから、事前にそれを知っているので大丈夫です!」

 零夜とアメリアは顔を真っ赤にしながら、慌てながら今の状況を否定する。誤解を生む様な発言を生み出す様な発言を国民が聞いたら、パニックになるのも無理ないだろう。
 ミミ、ルリカ、エヴァ、美津代もそれを聞いて安堵のため息をつく。もし、それが事実なら暴走していただろう。

「ご、ごめん……」
「良いですよ。それよりもマギアスについて父上から話がある様です。すぐにお城へ戻りましょう!」

 アミリスがすまなさそうにアメリアに対して謝罪し、彼女は苦笑いしながら許してくれた。するとすぐにマギアスの事に真剣な表情となり、急いで城へと駆け出していく。それを見た零夜達も、急いで後を追いかけたのだった。
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