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第五章 ハルバータの姫君
第百七十八話 戦士殺しの最期
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アメリアと紅蓮丸の戦いが始まり、ロングソードと百鬼夜行がぶつかり合う。しかし、彼は鉄仮面を破壊されて弱体化されている為、次第に追い詰められている状況になっているのだ。
「くそっ!この俺がこんなところで死ぬ訳にはいかないんだよ!まだまだ多くの世界には悪の心を持つ奴がいるんだ!」
紅蓮丸が気合を入れながら反撃しようとするが、逆に百鬼夜行の斬撃を弾き返されてしまった。弱体化の影響がここまで出ている分、弾き返されてしまうのは当然だろう。
その拍子に紅蓮丸は百鬼夜行を手から離してしまい、そのまま地面に転がってしまった。彼の唯一の武器が落とされてしまったとなると、戦う術は何も残ってないのだ。
「しまった!武器が……」
「させるか!」
「がはっ!」
紅蓮丸が急いで百鬼夜行を拾おうとするが、零夜が立ちはだかって強烈なアッパーを炸裂させる。アッパーは紅蓮丸の顎に直撃し、その威力で彼は飛ばされてしまった。
「紅蓮丸が弱くなった……鉄仮面と百鬼夜行が失われたとなると、倒せるチャンスかも知れないぞ!」
「ええ!やられた分はやり返します!」
シオンの推測と同時にルリカが飛び出し、強烈な膝蹴りを紅蓮丸の顔に浴びせる。彼は元はといえば不通の一般人である為、強烈な一撃が顔面に突き刺さるのも無理ない。
「ぐおっ!おのれ……」
「そのまま……リバースハウンズ!」
膝蹴りを喰らった紅蓮丸は仰向けに倒れてしまい、すかさずルリカは彼に対して技を仕掛ける。倒れている相手の足を両脇で抱え込み、そのまま裏返して馬乗りになる。同時に足を反り返らせて締め上げ、相手の腰や背中にダメージを与えていく。これこそ逆エビ固めだが、彼女はこれを「リバースハウンズ」と名付けているのだ。
「ぐあああああ!」
この技はシンプルであるが、腰だけでなく胸部も圧迫されるので効果は絶大。しかも、元は一般人である紅蓮丸にとっては、まさに地獄其の物でしかない。
彼はプロレスや格闘技を習っていないので、その技術は素人其の物。ダメージを受けてしまうのも時間が掛からないだろう。
「あなたが降参するまで私達は止まりません!アメリア姫!」
「ええ!」
ルリカの合図でアメリアが動き出し、紅蓮丸の顔に数発パンチを当てる。同時にルリカが紅蓮丸から離れた直後、アメリアはそのまま彼を起こさせて腹にパンチを浴びせた。
「くそっ!お返しだ!」
紅蓮丸は反撃で殴り飛ばそうとするが、ペチッとアメリアの胸板に当たる。しかも威力はあまりなく、彼女は平然としていた。ならば数発ぐらい連続攻撃を出してみるが、これもあまり効果がなかったのだ。
「全然効かない……どういう事だ!?」
紅蓮丸が疑問に思いながら叫んだその時、アメリアは相手の背後から両腕を回して腰をクラッチしてしまう。この技で終止符を打つのは勿論、紅蓮丸に止めを刺そうとしているのだ。
「あなたは剣と鉄仮面の強さに頼り過ぎていた。それが失った今だからこそ、裁きを受けてもらいます!」
「おい、よせ!止めろ!」
紅蓮丸の叫びも聞かず、アメリアはそのまま彼を後方へと反り投げ、その頭を地面に強烈に激突させた。これこそジャーマンスープレックスであるが、頭から地面に激突すれば、かなりの大ダメージになるだろう。
「ぐは……!」
「勝負ありです」
紅蓮丸はそのまま戦闘不能となってしまい、アメリアは彼から離れてゆっくりと立ち上がる。同時に戦いも終わりを告げられ、彼女の周りにレジー達が駆け寄ってきた。
「姫様!見事でしたぞ!」
「まさかジャーマンスープレックスを覚えているなんて……凄いです!」
「感動しました!」
「ありがとうございます!」
皆からの称賛の声にアメリアが笑顔で返す中、零夜は紅蓮丸に視線を移す。彼はジャーマンスープレックスを頭から喰らってしまっていて、立ち上がろうとしても力が出ない状態となっているのだ。
「紅蓮丸……お前が百鬼夜行と鉄仮面に頼り過ぎていた分、普通の基礎の力が弱くなっていた。そして頼りになる仲間達がいなかったからこそ、自らの敗因に繋がったんじゃないのか?」
零夜は倒れている紅蓮丸に対し、この戦いの敗因を彼に伝える。それを聞いた紅蓮丸は頷くしかなく、ボロボロの身体で青い空を見上げていた。
「言われてみればそうかも知れない……俺はヴァルモ様から与えてくれた武器と仮面があれば、なんでもできると信じていた。しかしそれ等を失った結果、何もできなかった自分が惨めだったな……」
紅蓮丸は涙を流しながら自らの過ちを認め、武器と鉄仮面に頼り過ぎていた事を告白。もし、最初から気付いていれば、こんな事にはならなかったのだろう。
その様子を見たアメリアは倒れている紅蓮丸に近付き、真剣な表情で彼を睨みつける。
「あなたのやるべき事は決して許されない事ではありません。罪を償って、また一からやり直してください。多くの者達を殺したあなたにできる、たった唯一の償いです」
アメリアからの宣言を聞いた紅蓮丸は、寂しい笑顔で頷くしかなかった。同時に彼の身体が消滅しようとしてしまい、自身の武器である百鬼夜行に視線を移す。
「百鬼夜行……それは俺からの餞別だ。この武器を使って、アークスレイヤーを倒してくれ」
「ああ!必ず実行してみせる!」
零夜は地面に落ちている百鬼夜行を拾い、必ずアークスレイヤーを倒す事を宣言。武器を与えられた以上、その約束を果たす覚悟を心から決めているのだ。
「ああ……もう一度……あの頃に戻りたいよ……小説を楽しく書いていた……あの頃に……」
紅蓮丸は涙を流しながら過去を懐かしんだ後、そのまま塵となって消滅してしまった。そのまま塵は大空へと舞い上がり、空の彼方へと消えてしまった。
「紅蓮丸……彼もまた事故によって人生を狂わされ、転生して闇に堕ちた……いくらなんでも非常過ぎるな……」
「ああ……奴のやる事は許されないが、武器を与えたヴァルモにもその責任があるからな……こうなると神々達も黙ってはないだろう……」
トラマツとノースマンの意見に皆も同意する中、空から一筋の光がゆっくりと舞い降りてきた。
「今の光……あれは……!」
アメリアが光の正体をよく見ると、なんとそれはアルメリアスの紋章だった。トンガラ渓谷の部屋にある筈なのに、まさかこの場所に姿を現したのは予想外過ぎると言えるだろう。
「なんでアルメリアスの紋章がここに!?」
「分からない……一体どういう事なのかしら……」
ミミの質問にキララは首を横に振る中、紋章はアメリアの手元に舞い降りた。そのまま光が収まったと同時に、彼女の掌の上には紋章が置かれていたのだ。
「これが……アルメリアスの紋章……私の元に舞い降りてきたという事は……」
アメリアがアルメリアスの紋章を見ながら察しようとした途端、ボリス率いるヴァルムント王国軍が姿を現した。娘が心配で駆け付けてきたが、その心配はなかった様だ。
「無事で何よりだ。アルメリアスの紋章についてだが、隠された真実を見つけた」
「まさか、私の手元に舞い降りてきた事なのでしょうか?」
アメリアからの質問にボリスは冷静に頷き、紋章についての新たな事実を皆に説明し始める。
「マギアス改めネオマギアスをお前達が倒した時、普段ならトンガラ渓谷の部屋で待っている筈だった。しかし、奴はトンガラ渓谷から離れている場所で倒された為、紋章は倒してくれた戦士達の元に舞い降りてきたのだよ」
ボリスは皆に事実を説明しながら、アメリアが持っている紋章を指さしていた。手元にあるその紋章こそ、王位継承としての証。つまり、アメリアは真の王位継承者として選ばれたのだ。
「という事は……私が……王に……」
「そういう事だ。よくやった、我が娘よ!」
「お父様!」
ボリスの笑顔にアメリアは我慢できず、彼の胸に飛び込む。そのまま嬉し涙を流しながら大泣きしていて、ボリスは自身の娘を優しく抱き寄せていた。
「良かったな……」
「姫様!おめでとうございます!」
この様子に零夜達は笑みを浮かべていて、レジーに至っては感涙しながら大泣きしていた。自身が育てた姫君が王位継承を継ぐ事になり、感涙せずにはいられなかったのだろう。
こうしてアメリアが王位継承者になったと同時に、零夜達の課題も見事クリアする事が出来たのだった。
「くそっ!この俺がこんなところで死ぬ訳にはいかないんだよ!まだまだ多くの世界には悪の心を持つ奴がいるんだ!」
紅蓮丸が気合を入れながら反撃しようとするが、逆に百鬼夜行の斬撃を弾き返されてしまった。弱体化の影響がここまで出ている分、弾き返されてしまうのは当然だろう。
その拍子に紅蓮丸は百鬼夜行を手から離してしまい、そのまま地面に転がってしまった。彼の唯一の武器が落とされてしまったとなると、戦う術は何も残ってないのだ。
「しまった!武器が……」
「させるか!」
「がはっ!」
紅蓮丸が急いで百鬼夜行を拾おうとするが、零夜が立ちはだかって強烈なアッパーを炸裂させる。アッパーは紅蓮丸の顎に直撃し、その威力で彼は飛ばされてしまった。
「紅蓮丸が弱くなった……鉄仮面と百鬼夜行が失われたとなると、倒せるチャンスかも知れないぞ!」
「ええ!やられた分はやり返します!」
シオンの推測と同時にルリカが飛び出し、強烈な膝蹴りを紅蓮丸の顔に浴びせる。彼は元はといえば不通の一般人である為、強烈な一撃が顔面に突き刺さるのも無理ない。
「ぐおっ!おのれ……」
「そのまま……リバースハウンズ!」
膝蹴りを喰らった紅蓮丸は仰向けに倒れてしまい、すかさずルリカは彼に対して技を仕掛ける。倒れている相手の足を両脇で抱え込み、そのまま裏返して馬乗りになる。同時に足を反り返らせて締め上げ、相手の腰や背中にダメージを与えていく。これこそ逆エビ固めだが、彼女はこれを「リバースハウンズ」と名付けているのだ。
「ぐあああああ!」
この技はシンプルであるが、腰だけでなく胸部も圧迫されるので効果は絶大。しかも、元は一般人である紅蓮丸にとっては、まさに地獄其の物でしかない。
彼はプロレスや格闘技を習っていないので、その技術は素人其の物。ダメージを受けてしまうのも時間が掛からないだろう。
「あなたが降参するまで私達は止まりません!アメリア姫!」
「ええ!」
ルリカの合図でアメリアが動き出し、紅蓮丸の顔に数発パンチを当てる。同時にルリカが紅蓮丸から離れた直後、アメリアはそのまま彼を起こさせて腹にパンチを浴びせた。
「くそっ!お返しだ!」
紅蓮丸は反撃で殴り飛ばそうとするが、ペチッとアメリアの胸板に当たる。しかも威力はあまりなく、彼女は平然としていた。ならば数発ぐらい連続攻撃を出してみるが、これもあまり効果がなかったのだ。
「全然効かない……どういう事だ!?」
紅蓮丸が疑問に思いながら叫んだその時、アメリアは相手の背後から両腕を回して腰をクラッチしてしまう。この技で終止符を打つのは勿論、紅蓮丸に止めを刺そうとしているのだ。
「あなたは剣と鉄仮面の強さに頼り過ぎていた。それが失った今だからこそ、裁きを受けてもらいます!」
「おい、よせ!止めろ!」
紅蓮丸の叫びも聞かず、アメリアはそのまま彼を後方へと反り投げ、その頭を地面に強烈に激突させた。これこそジャーマンスープレックスであるが、頭から地面に激突すれば、かなりの大ダメージになるだろう。
「ぐは……!」
「勝負ありです」
紅蓮丸はそのまま戦闘不能となってしまい、アメリアは彼から離れてゆっくりと立ち上がる。同時に戦いも終わりを告げられ、彼女の周りにレジー達が駆け寄ってきた。
「姫様!見事でしたぞ!」
「まさかジャーマンスープレックスを覚えているなんて……凄いです!」
「感動しました!」
「ありがとうございます!」
皆からの称賛の声にアメリアが笑顔で返す中、零夜は紅蓮丸に視線を移す。彼はジャーマンスープレックスを頭から喰らってしまっていて、立ち上がろうとしても力が出ない状態となっているのだ。
「紅蓮丸……お前が百鬼夜行と鉄仮面に頼り過ぎていた分、普通の基礎の力が弱くなっていた。そして頼りになる仲間達がいなかったからこそ、自らの敗因に繋がったんじゃないのか?」
零夜は倒れている紅蓮丸に対し、この戦いの敗因を彼に伝える。それを聞いた紅蓮丸は頷くしかなく、ボロボロの身体で青い空を見上げていた。
「言われてみればそうかも知れない……俺はヴァルモ様から与えてくれた武器と仮面があれば、なんでもできると信じていた。しかしそれ等を失った結果、何もできなかった自分が惨めだったな……」
紅蓮丸は涙を流しながら自らの過ちを認め、武器と鉄仮面に頼り過ぎていた事を告白。もし、最初から気付いていれば、こんな事にはならなかったのだろう。
その様子を見たアメリアは倒れている紅蓮丸に近付き、真剣な表情で彼を睨みつける。
「あなたのやるべき事は決して許されない事ではありません。罪を償って、また一からやり直してください。多くの者達を殺したあなたにできる、たった唯一の償いです」
アメリアからの宣言を聞いた紅蓮丸は、寂しい笑顔で頷くしかなかった。同時に彼の身体が消滅しようとしてしまい、自身の武器である百鬼夜行に視線を移す。
「百鬼夜行……それは俺からの餞別だ。この武器を使って、アークスレイヤーを倒してくれ」
「ああ!必ず実行してみせる!」
零夜は地面に落ちている百鬼夜行を拾い、必ずアークスレイヤーを倒す事を宣言。武器を与えられた以上、その約束を果たす覚悟を心から決めているのだ。
「ああ……もう一度……あの頃に戻りたいよ……小説を楽しく書いていた……あの頃に……」
紅蓮丸は涙を流しながら過去を懐かしんだ後、そのまま塵となって消滅してしまった。そのまま塵は大空へと舞い上がり、空の彼方へと消えてしまった。
「紅蓮丸……彼もまた事故によって人生を狂わされ、転生して闇に堕ちた……いくらなんでも非常過ぎるな……」
「ああ……奴のやる事は許されないが、武器を与えたヴァルモにもその責任があるからな……こうなると神々達も黙ってはないだろう……」
トラマツとノースマンの意見に皆も同意する中、空から一筋の光がゆっくりと舞い降りてきた。
「今の光……あれは……!」
アメリアが光の正体をよく見ると、なんとそれはアルメリアスの紋章だった。トンガラ渓谷の部屋にある筈なのに、まさかこの場所に姿を現したのは予想外過ぎると言えるだろう。
「なんでアルメリアスの紋章がここに!?」
「分からない……一体どういう事なのかしら……」
ミミの質問にキララは首を横に振る中、紋章はアメリアの手元に舞い降りた。そのまま光が収まったと同時に、彼女の掌の上には紋章が置かれていたのだ。
「これが……アルメリアスの紋章……私の元に舞い降りてきたという事は……」
アメリアがアルメリアスの紋章を見ながら察しようとした途端、ボリス率いるヴァルムント王国軍が姿を現した。娘が心配で駆け付けてきたが、その心配はなかった様だ。
「無事で何よりだ。アルメリアスの紋章についてだが、隠された真実を見つけた」
「まさか、私の手元に舞い降りてきた事なのでしょうか?」
アメリアからの質問にボリスは冷静に頷き、紋章についての新たな事実を皆に説明し始める。
「マギアス改めネオマギアスをお前達が倒した時、普段ならトンガラ渓谷の部屋で待っている筈だった。しかし、奴はトンガラ渓谷から離れている場所で倒された為、紋章は倒してくれた戦士達の元に舞い降りてきたのだよ」
ボリスは皆に事実を説明しながら、アメリアが持っている紋章を指さしていた。手元にあるその紋章こそ、王位継承としての証。つまり、アメリアは真の王位継承者として選ばれたのだ。
「という事は……私が……王に……」
「そういう事だ。よくやった、我が娘よ!」
「お父様!」
ボリスの笑顔にアメリアは我慢できず、彼の胸に飛び込む。そのまま嬉し涙を流しながら大泣きしていて、ボリスは自身の娘を優しく抱き寄せていた。
「良かったな……」
「姫様!おめでとうございます!」
この様子に零夜達は笑みを浮かべていて、レジーに至っては感涙しながら大泣きしていた。自身が育てた姫君が王位継承を継ぐ事になり、感涙せずにはいられなかったのだろう。
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