ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百三十七話 魔女との戦い

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 魔女の姿にエヴァ達が警戒態勢に入り、モック達はゴクリと息を呑みながら見ていた。まさか魔女が出てくるとは想定外としか言えないが、戦う可能性もあるので警戒態勢を取っているのだ。

「まさか魔女が出てくるなんてね。あなたは何しに来たのかしら?」
「決まっているよ。私は永遠の命を手に入れるだけでなく、若さを取り戻したいのでね。流石にこの身体じゃ、何時倒れるかも時間の問題さ」

 魔女はエヴァ達に説明した直後、彼女達を指差しながら光線を放とうとしていた。どうやら手っ取り早く始末し、家に連れ帰ろうと企んでいるみたいだ。

「さあ、若さをよこしな!」

 魔女は指から光線を放ち、エヴァ達に向かって襲い掛かる。しかしヒカリが前に出たと同時に、盾を構えて防御態勢に入る。

「アラウンドカウンターバリア!」
「何!?」

 全方位にバリアが展開されたと同時に、光線は弾き返されて魔女の方に向かっていく。そのまま光線は彼女に襲い掛かり、直撃してダメージを受けてしまった。

「ぎゃああああああ!!」

 魔女は悲鳴を上げてしまい、そのまま箒から落ちて地面に落下。しかし根性で立ち上がったと同時に、腕を鳴らしながら戦闘態勢に入ろうとする。

「これで二度目だよ。吸血鬼の嬢ちゃんにも邪魔されたからね……」
「吸血鬼……コーネリアの事ね。もしかすると彼女達も来ているんじゃ……」

 エヴァがコーネリアが来る事を推測したその時、コーネリア、ジェニー、ソニア、杏が駆け付けてきた。魔女がエヴァ達に向かう事を知り、彼女の野望を阻止しようと追い掛けてきたのだ。

「良かった!皆が無事で!」
「コーネリア!来ていたのね!」
「ええ。説明は後にするわ。それよりも魔女をどうにかしないと!」

 コーネリアがエヴァ達が無事である事に安堵した後、すぐに魔女の前に移動する。彼女を倒すのは自分達の役目である以上、ここで逃がす理由にはいかないのだ。

「まさか追ってくるとは。本当にしつこい奴等だよ」
「アンタのやる事は間違っているわ。大人しく降伏しなさい!」
「誰が降伏するか!こうなったらまとめて倒してやる!」

 魔女は降伏を断り、辺り全体に強烈な魔術を掛け始める。するとトレント達が次々と召喚されたり、花もあっという間に枯れ始めていく。
 更にトレント達は一斉に倫子達を囲み、逃げ道を塞ぎながらギロリと睨みつける。脱出するには戦うしか方法はなく、彼女達は一斉に戦闘態勢に入り始めた。

「まずはこのトレント達をどうにかしないとな」
「それなら俺に任せろ」

 ソニアはトレント達に向けて火を吹こうとしたその時、マックは突然ラジカセを取り出す。そのままスイッチを押した途端、フォークダンスの音楽が流れ始めたのだ。

「おい。なんで音楽流しているんだ?戦闘中だぞ」
「このラジカセは特殊なのでね。敵もあっという間に踊るのさ」

 杏が疑問に思いながらマックに質問するが、彼は余裕の表情で説明をしていた。そして敵の方をよく見ると、なんとトレント達が音楽に合わせて踊っていたのだ。それに魔女は盛大にずっけけてしまい、顔を地面にぶつけてしまった。

「バカ!輪になって踊るんじゃないよ!」

 魔女は顔を抑えながら盛大にツッコみ、トレント達はハッと気付いてしまう。するとソニアがチャンスとばかりに跳躍し、口から強烈な火を吹き始めた。

「アラウンドファイア!」

 ソニアは円を描く様に一回転しながら火を吹き、トレント達に炎を直撃させて燃やしていく。トレント達は僅か数秒で黒焦げになってしまい、コインと素材に変化してしまったのだ。

「おのれ!私は若さを取り戻す為、負けられないんだよ!スパイクキャノン!」

 すると魔女は棘のある弾丸を次々と召喚し、エヴァ達に向けて放ち始める。その速度は銃の弾丸と同じ速度だが、弾の威力はとても高いので下手したら死ぬ事もあり得る。

「させない!アラウンドカウンターバリア!」

 ヒカリは再びカウンターバリアを全方位に展開し、棘の弾丸を防ぐ事に成功。すると彼女達の足元から何かが飛び出そうとしていて、それに魔女はニヤリと笑っていた。

「掛かったね!アンダーブレイク!」

 魔女が叫んだと同時に、ヒカリ達の足元から巨大な棘付き鉄球が飛び出してきた。鉄球は勢いよく上昇していて、そのまま彼女達に直撃してしまう。

「「「キャ(ウワ)アアアアアア!!」」」

 エヴァ達は悲鳴を上げながら大ダメージを受けてしまい、そのまま宙を舞って地面に墜落。更にバリアも消えてしまい、彼女達は倒れてしまったのだ。

「私の魔術は地下からでも攻撃が可能なのさ。選ばれし戦士もこの程度とはね」

 魔女はあくどい笑みを浮かべながら、エヴァ達を見下していた。彼女は幼い頃から様々な魔術を取得しているのは勿論だが、地下からの攻撃さえも当然の如くできるのだ。

「油断したかもね……いつつ……」
「あの魔女……強過ぎるみたいね……狼より強いのがよく分かるわ……」
「何時まで耐え切れるのか分かりませんが、ここで倒れる理由にはいきませんからね……」
 
 エヴァ達はダメージを受けながらも立ち上がろうとしているが、あまりの痛みに動きが鈍くなっていた。幸い三兄弟の子豚達は物陰に隠れて避難しているが、このままだと彼女達が戦闘不能になるのも時間の問題だ。

「しぶとい奴等だね!こうなったら最大奥義で楽にしてやるよ!恨むのなら……私を相手にした事を恨みな!」

 魔女はエヴァ達にとどめを刺すため、新たな魔術を生成しようとする。素早く魔力を集中させようとしたその時だった。


「そこ!」
「ぐへらっ!」
「「「!?」」」


 なんと背後からの如意棒攻撃が、魔女の後頭部に直撃。魔女はそのまま前のめりに倒れてしまい、エヴァ達はいきなりの展開に驚きを隠せなかった。

「今の攻撃……美津代さん!」
「待機していた筈じゃなかったの?」

 なんと如意棒攻撃を繰り出したのは、ジャンヌ達と待機していた筈の美津代だった。
 魔女が手強い相手である事を知った美津代は、トラマツ達にこの事を相談。そのままエヴァ達の援軍に向かう事を命じられ、急いで彼女達の元に駆け付けてきたのだ。

「あなた達の援軍として駆け付けてきたからね。すぐに回復してあげるわ!」

 美津代は回復魔術を両手から発動させ、エヴァ達の傷と体力を回復していく。するとエヴァ達は完全に元気になり、問題なく立ち上がって次々と戦闘態勢に入り始めたのだ。

「よし!これで準備万端!」
「やられた分は返さないとね!」
「今の魔術も攻略法も分かったし、今度は容赦しないから!」

 エヴァ達は気合い十分の姿で、前のめりに倒れている魔女を睨みつけている。すると魔女はようやく起き上がり、頭を押さえながらゆっくりと立ち上がる。まさかの奇襲で魔術が中断されただけでなく、ダメージまで受けたのは想定外と言えるだろう。

「よくもやってくれたな……この代償は高くつくぞ!」

 魔女は怒りの表情で戦闘態勢に入り、美津代をギロリと睨みつけていた。折角の作戦がぶち壊されてしまった事を、物凄く根に持っているのだろう。

「だったら私達はあなたを倒すわ。これ以上好き勝手させない為にも!」

 美津代も如意棒を構えながら、強気の表情で魔女に言い返す。エヴァ達も真剣な表情をしながら戦闘態勢に入り、この様子にモック達は決意の表情で頷き合う。

「僕達もやろう!エヴァ達の力になる為にも!」
「「おう!」」

 モックの合図にマックとムックも頷き合い、彼等はその場から立ち去った。同時にエヴァ達をサポートする為の、秘密の作戦も始まりを告げられたのだった。
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