ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

文字の大きさ
241 / 277
第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百三十九話 最強の盾

しおりを挟む
 エヴァ達と魔女の戦いは白熱の展開となっていて、接戦となる戦いが繰り広げられていた。服は戦いの影響で汚れていて、ダメージも当然受けていたのだ。

「ある程度の魔術や攻撃を仕掛けても、倒れないなんて……今までの敵とは大違いね」
「ええ。魔女が手強いのは分かるけど、あの魔術さえ封印すれば大丈夫みたいね……」

 エヴァ達は魔女に視線を移しながら、どう倒すか真剣な表情で考えていた。魔女の方もボロボロになっているが、最後まで諦めない気持ちが強い限りは倒れないだろう。だが、厄介な魔術をどう封印するかがカギとなるだろう。

「けど、ここで諦めたらおとぎの世界は救えない。私達はどんな困難でも諦めずに乗り越えてきたんだから!」
「そうね。何がなんでも諦めずに戦うのみ!私達ブレイブペガサスはこんなところで諦めず、最後まで立ち向かうんだから!」

 コーネリアの合図で全員が戦闘態勢に入る中、魔女は次の魔術を仕掛けてくる。すると魔女は再び地下から攻撃を仕掛け始め、それに気付いたコーネリア達は空を飛び始める。

「喰らえ!アンダーブレイク!」

 地中から巨大な棘付き鉄球が飛び出してきたが、それは見事に外れてしまった。その直後にコーネリアも魔術を発動させ、魔女に狙いを定めながら炎の竜巻を召喚した。

「魔術の動きが遅いわよ!フレイムハリケーン!」
「なんの!」 

 炎の竜巻はスピードを上げながら魔女に襲い掛かるが、彼女も箒に乗りながら回避してしまった。すると倫子がスピードを上げながら魔女に接近し、そのまま強烈な回し蹴りを放とうとしていたのだ。

「何!?炎の竜巻は囮なのか!?」
「油断は禁物!フレイムソバット!」
「がはっ!」

 倫子の炎のハイキックが、魔女の側頭部に直撃。強烈な蹴りによって脳震盪を起こしてしまい、魔女はグラついて箒から落ちそうになったのだ。
 更に炎の竜巻は囮であり、本命は倫子の蹴りである事が判明。騙し討ち作戦は見事成功したのだ。

「今の一撃で脳震盪を起こしましたが、油断は禁物です!魔女はこの程度では倒れないと思いますので、更に追撃をした方が得策です!」
「そうね。ソニア、杏。ここはあなた達が攻めて!」
「「おう!」」

 ジェニーのアドバイスにコーネリアは納得し、彼女はソニアと杏に指示を飛ばす。そのまま彼女達は頷きながら承諾し、そのまま魔女に視線を移して襲い掛かろうとしていた。

「小癪な!こうなったらこいつを喰らえ!パイ召喚!」

 魔女は次々と様々なパイを召喚し、そのままソニア達に向かって投げ飛ばしてきた。アップルパイ、パンプキンパイ、ピーチパイ、バナナパイ、ミートパイ、ブルーベリーパイ、チェリーパイ、レモンパイ、カスタードパイという八種類だが、甘い物の比率が高い。
 しかもその数は三十個以上だが、喰らってしまったら汚れるのは確実だ。

「そうはさせない!サイコキネシス!」

 なんと日和が超能力を発動させ、次々と襲い掛かるパイを止めてしまった。そのままパイは次々と彼女の元に移動し、用意されたお皿に次々と置かれたのだ。

「ありゃま!私の召喚したパイが次々とお皿に!」
「悪いけど、パイは貰うから!ゴチになります!」

 魔女は予想外の展開に驚きを隠せず、日和はアカンベーをしながら笑顔を見せていた。彼女はそのままお皿に乗っている多くのパイを粒子化させ、バングルの中に次々と収納し始めた。
 多くのアイテムは粒子化してバングルの中に入るが、バングルの中にはアイテムボックスまで搭載されている。ボックスの中に収納できるアイテムに制限はないので、どれだけ入れても大丈夫なのだ。

「隙ありだ!」
「油断禁物だぜ、婆さん!」
「がっ!」

 魔女はそのまま隙を見せられ、ソニアと杏の斬撃ダメージを喰らってしまう。今の一撃で態勢を崩してしまうが、箒に強くしがみついて態勢を整えたのだ。

「こうなったら魔術連発だ!まずはサンダーボルト!」
「おっと!」
「あらよっと!」 

 魔女は上空から強烈な雷を召喚し、稲妻がソニアと杏に襲い掛かる。しかし彼女達は素早く回避してしまい、攻撃は外れてしまったのだ。

「婆さん、その程度なのか?もう少し他の魔術は無いのかよ」
「こうなったら……スイートキャノン!」

 ソニアの挑発に乗った魔女はキャンディやチョコレートなどを次々と召喚し、弾丸の様に次々と放ちまくる。それを見たコーネリアはニヤリと笑い、魔術を唱え始めた。

「そっちがその気なら、マジカルバブル!」

 コーネリアは次々と泡の様な物を召喚し、お菓子全てを次々と取り込んでしまった。当然魔女の怒りは最大限となってしまい、ぶち切れてしまうのは当然である。

「おのれおのれ!お菓子まで全て取り込みおって!まずは吸血鬼から倒してやる!この最大奥義でな!」

 魔女は最大限の怒りを出したと同時に、強烈な魔術を繰り出そうとする。すると巨大なドリルや鉄の球、更には歯車やナイフまで次々と出てきた。まさに鋼のオンパレードであり、喰らったら一溜まりもないのは当然だ。

「喰らえ!デス・ギガント!」

 魔女の合図でドリル等が一斉に動き出し、コーネリアに襲い掛かる。いくらバリアを展開しても一溜まりもない為、このままだと大ダメージどころか死んでしまう可能性もあるだろう。

「今の魔術を彼女が喰らったら大怪我になるわ!」
「早くコーネリアを助けないと!手遅れになったら大変よ!」

 ヒカリと美津代が慌てながらコーネリアを助けようとするが、彼女はニヤリと笑っていた。ピンチなのに笑うという事は、何か対策があるのだろう。 

「そんな魔術なら対策済みよ!私の魔術は修行を重ねるごとに進化し、新たな術も覚えている!今からそれを見せてあげるわ!」
「何!?」

 コーネリアは魔女に対して宣言したと同時に、巨大な白き盾を目の前に召喚。その盾にはドラキュラの紋章が刻まれていて、光と闇のオーラを纏われているのだ。

「これが……コーネリアの大きな盾……」
「凄いとしか言えないし、心配無用だったかもね」

 コーネリアが召喚した盾にヒカリ達が見惚れているが、魔女は驚きを隠せずに大量の冷や汗を流していた。まさかコーネリアがこんな盾を召喚するのは、想定外だっただろう。

「馬鹿な!こんな盾は見た事ないぞ!しかもデカすぎる!」
「これこそガーディアンシールド!あなたの最大奥義は勿論、どんな攻撃も……全て防いでやるわ!」

 コーネリアは真剣な表情をして右手を払った直後、ドリル等がガーディアンシールドに直撃。攻撃は全て防がれてしまい、ドリルや鉄球などは全て地面にガシャンと落ちてしまったのだ。

「そんはバカな……私の最大奥義が……」
「どうやら私を甘く見ていたのが敗因ね。私の魔術はあなたよりも上に行く。限界を超えるだけでなく、さらなる進化をする為にも!」

 魔女が信じられない表情で呆然とする中、コーネリアは彼女に指差しながら宣言をする。自信満々の笑みを浮かべているのは勿論、まだまだ上を目指せると確信しているだろう。
 魔女の魔術は完全体で、自らの魔術も限度まで達している。しかしコーネリアの魔術は未完全であり、さらなる進化も可能となっているのだ。魔女の最大奥義が防がれたのも、それが原因である。

「こうなったらもう一度……む?」

 魔女は魔術を出そうと指を鳴らすが、何度鳴らしても魔術が発動できない。そう。彼女は今の魔術で魔力を全て使い切ってしまい、魔力はスッカラカンとなってしまった。このままでは勝てないのは当然である。

「しまった!魔力が……ここは撤退しかあるまい!」

 魔女は自らが不利になっている事を知り、箒に乗りながら逃げようとする。しかし、そうはさせまいとソニアと杏が襲い掛かってきた。

「「ダブルブレイド!」」
「がはっ!」

 ソニアと杏に斬り裂かれた魔女は、箒から落ちて地面に墜落してしまう。それでも魔女はなんとか立ち上がり、格闘術による戦闘態勢に入ろうとしたその時だった。


「おーい!魔女のお仕置きができたぞ!」
「その声は……」


 全員が声のした方を見ると、なんとドリトン達と三匹の子豚が駆け付けてきた。彼等が運んでいるのは一軒家を模したお仕置きマシンだけでなく、石の薬を入れた鍋まで持ってきたのだ。

「皆!無事だったのね!」
「ああ!問題なく進む事ができたからな。後は俺達に任せてくれ!魔女に対してはお仕置きしないとな!」

 コバルトは宣言しながら魔女を睨みつけ、ドリトン達と共に戦闘態勢に入る。彼等が戦いに参戦したと同時に、魔女との戦いはクライマックスに入ろうとしたのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...