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勇者の称号を押し付けられてしまった少女
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「ねぇアンタ達ちょっと待ちなさいな」
勇者イ・ミンジュンと騎士服姿のその仲間は後ろから聞こえた声により振り返ってあたりを見回すが誰もいない……
「ちょっと~アンタ達どこ見てんのよ」
「出たな魔物め、いくよカイラ」
「おう、ファイアボール」
ちょっと~いきなり何よ。カイラと呼ばれた騎士服姿の若者は手のひらから火の玉を放ち、勇者も勢いよく斬りかかって来たのでアタシもスキルで応戦するわ
「硬化!」
身体を硬質化させてカキンっと火の玉を弾き返し、更に剣も折ってやったわ
何なのかしらもうびっくりしたじゃないのさ
「バカな勇者の剣が折れただと? 何なんだよカイラ、コイツは一体何なんだろう」
「浮いてる魚なんて初めてみる。得体の知れない化け物め?」
「何よ~ 化け物だなんて失礼ね! アタシは少し話を聞きたいだけなのよ。アンタ達、そこの子供に何をしたのさ??」
カイラとかいう勇者の付き人が勇者を庇うようにして前に立った。若くて真面目そうな騎士って感じね
「い…いや実は彼、勇者として国が召喚したんですがどうしても他にやりたい事があるらしく勇者の立場を捨てたいと言い出したので何度も話し合った結果、我々も仕方なくこの村の村長に誰か相応しい方をお願いしたら彼女を連れて来たのだよ」
コイツ貴族か何かなのかちょっと上から目線な口調ね。 それに下らない勝手な理由だわ!!そんなのアンタらの勝手じゃないのさ!
それにあの子供が勇者の力を持ってしまうという事はアタシみたいな魔物がまた勇者の特別な力を感知して攻めて来るかもしれない
じゃないのよ!
彼女のあのステータスで一体どうしろっていうのよ
「だからといって押し付けはさすがにダメよね、しかも幼い少女に」
「いやっボク達は……」
念力で2人を宙に浮かべ、逃げられないようにした。
そして炎念力を使おうとしたその時、先程魔法陣の中で眠っていた火傷顔の少女メアリーが足を引きずりながら勇者達とアタシの間に入って来た。
「待ってください。勇者様達を許してあげて下さい」
少女メアリーはアタシの事をジーッと見て不思議そうに驚いた顔をした。
「あの…貴方はもしかして伝説の聖獣様ですか?」
「性獣ですって?…う~んまぁ確かにそんな感じなのかしら、伝説になった覚えはないけど」
伝説の性獣ってどんなのよ一体???
とりあえず念力を解除すると
勇者達が駆け寄り、アタシの前で跪きだし頭を下げてきた。
何よコレ!意味がわからないじゃないのよ?
「偉大なるこの地を統べる聖獣殿…
オレはカイラ・フォン・ヒンデンブルクと申す。どうかオレ達の話を聞いて頂けないだろうか?」
そこへ勇者達の元へメアリーが駆け寄り
「勇者様とそこの貴族の方は何も悪くありませんよ。勇者様から顔の火傷と膝の治療費を頂けるという事なので私も承諾してやった事なんです。まぁ…確かに村長さんからは強引に押し付けられましたけど」
「メアリーさん……ありがとう」
あまり感情を表に出すのが得意ではないのか、控えめに微笑むメアリーを勇者は優しげな眼差しで見つめている
「ボクっ元の世界ではレストランで修行していたんです。いつか自分の店が持つ事が夢だったんです。
だからこっちに勇者として召喚されてもやっぱり夢を諦めたくなくて……
カイラもボクの夢に出資してくれるって言ってくれているのでボクは挑戦してみたい!自分の店の味をここの世界の人達にも食べてもらいたいんです。
あと、いつか店が成功したらメアリーさんにお礼がしたい」
ふ~ん青っちろい夢ね!コイツ本当に勇者なのかしら? こんなニコニコした優男が……
「あの聖獣様?私、勇者様の夢の話を聞いて何か協力出来たらと思ったので むしろ少しでもお手伝いが出来て嬉しいです。
だからどうか勇者様を許してあげて下さい!」
「あなたがそう言うならまぁいいわよ。それじゃあ勇者ちゃん達に1つ条件をつけるわ」
「そっ…それは何でしょうか?」
「メアリーちゃんとアタシにアンタの自慢の料理をご馳走するってのはどうかしら♪」
「そっ…そんな事でよろしければ是非とも!ボクは恩人であるメアリーさん、そして聖獣様からお金なんて取りませんので是非食べにロッペンハイマーの店へ来て頂きたいです。」
「えっ聖獣様だけじゃなく私も勇者様の作った料理を頂けるのですか??」
「良かったわねメアリーちゃん!」
せっかくなので勇者イ・ミンジュンと付き人のカイラにこの近くの町や首都についてなどこの国の事を教えてもらったわ。やっぱり情報収集しておかないとね♪
彼等は去って行き、アタシ達はその後ろ姿を見送った。
ゴロゴロ…ピカピカッ!ドドーン!
突然、空が裂けるかと思う程の音を立てて雷が鳴り響き、ザーッと大雨が降って来た。
アタシは念力で木と葉っぱの傘を作り、メアリーに渡した。
「うわぁ神さまが怒ってる?」
「違うの、これは自然現象なのよ」
雷の発生する原理を説明したんだけど
メアリーにとってはチンプンカンプンだったみたい
「あの、聖獣様はお一人で旅をされているのですか?もしよかったら私もお供に連れて行って下さいませんか?」
「えっ!何でよ??」
「実は私、家がなくて納屋で寝泊まりしていまして……その何処か住み込みで働かせてもらえる所を探したいのですが」
うーんまぁ考える余地はあるわね~ そりゃ彼女は勇者の称号は持っているし何よりこの世界の事を少しでも知っている人が一緒にいると今後は色々と助かるだろうしね。
あとさっきの勇者達から色々と聞いたんだけどまずこの異世界には、人間に近い知性を持った異種族が多数存在するらしい。そして、魔物と呼ばれる、人に害をなすものも存在しているって……知ってるわよだってアタシこそがまさにそうじゃないのよ!
次に今アタシ達がいる場所なんだけどシルヴェニア王国って国の領域内でここから30キロ程南西にロッペンハイマーという町があって彼等はそこへ行く途中だそうよ。
そこはこの国で王都の次に人口の多い町でこの辺りの領主様もそこに住んでいるらしい。しかも貴族にしては珍しくとても市民から尊敬されている人格者なのだとか爵位は男爵で名前はノイエ・フォン・ヴァイツゼッカーだって
あと、意外だったのが人々のスキル保持数が少ないこと。ほとんどの人が持っていないかもしくは自分の作業用スキルだとか
そしてファンタジーの定番である魔法なんだけど
コレも残念ながらみんながドンパチ魔法が使えるわけでも無いらしく神官や魔法使いくらいで一般の人は使えてもせいぜい生活魔法といった所だそうだ。
勇者イ・ミンジュンと騎士服姿のその仲間は後ろから聞こえた声により振り返ってあたりを見回すが誰もいない……
「ちょっと~アンタ達どこ見てんのよ」
「出たな魔物め、いくよカイラ」
「おう、ファイアボール」
ちょっと~いきなり何よ。カイラと呼ばれた騎士服姿の若者は手のひらから火の玉を放ち、勇者も勢いよく斬りかかって来たのでアタシもスキルで応戦するわ
「硬化!」
身体を硬質化させてカキンっと火の玉を弾き返し、更に剣も折ってやったわ
何なのかしらもうびっくりしたじゃないのさ
「バカな勇者の剣が折れただと? 何なんだよカイラ、コイツは一体何なんだろう」
「浮いてる魚なんて初めてみる。得体の知れない化け物め?」
「何よ~ 化け物だなんて失礼ね! アタシは少し話を聞きたいだけなのよ。アンタ達、そこの子供に何をしたのさ??」
カイラとかいう勇者の付き人が勇者を庇うようにして前に立った。若くて真面目そうな騎士って感じね
「い…いや実は彼、勇者として国が召喚したんですがどうしても他にやりたい事があるらしく勇者の立場を捨てたいと言い出したので何度も話し合った結果、我々も仕方なくこの村の村長に誰か相応しい方をお願いしたら彼女を連れて来たのだよ」
コイツ貴族か何かなのかちょっと上から目線な口調ね。 それに下らない勝手な理由だわ!!そんなのアンタらの勝手じゃないのさ!
それにあの子供が勇者の力を持ってしまうという事はアタシみたいな魔物がまた勇者の特別な力を感知して攻めて来るかもしれない
じゃないのよ!
彼女のあのステータスで一体どうしろっていうのよ
「だからといって押し付けはさすがにダメよね、しかも幼い少女に」
「いやっボク達は……」
念力で2人を宙に浮かべ、逃げられないようにした。
そして炎念力を使おうとしたその時、先程魔法陣の中で眠っていた火傷顔の少女メアリーが足を引きずりながら勇者達とアタシの間に入って来た。
「待ってください。勇者様達を許してあげて下さい」
少女メアリーはアタシの事をジーッと見て不思議そうに驚いた顔をした。
「あの…貴方はもしかして伝説の聖獣様ですか?」
「性獣ですって?…う~んまぁ確かにそんな感じなのかしら、伝説になった覚えはないけど」
伝説の性獣ってどんなのよ一体???
とりあえず念力を解除すると
勇者達が駆け寄り、アタシの前で跪きだし頭を下げてきた。
何よコレ!意味がわからないじゃないのよ?
「偉大なるこの地を統べる聖獣殿…
オレはカイラ・フォン・ヒンデンブルクと申す。どうかオレ達の話を聞いて頂けないだろうか?」
そこへ勇者達の元へメアリーが駆け寄り
「勇者様とそこの貴族の方は何も悪くありませんよ。勇者様から顔の火傷と膝の治療費を頂けるという事なので私も承諾してやった事なんです。まぁ…確かに村長さんからは強引に押し付けられましたけど」
「メアリーさん……ありがとう」
あまり感情を表に出すのが得意ではないのか、控えめに微笑むメアリーを勇者は優しげな眼差しで見つめている
「ボクっ元の世界ではレストランで修行していたんです。いつか自分の店が持つ事が夢だったんです。
だからこっちに勇者として召喚されてもやっぱり夢を諦めたくなくて……
カイラもボクの夢に出資してくれるって言ってくれているのでボクは挑戦してみたい!自分の店の味をここの世界の人達にも食べてもらいたいんです。
あと、いつか店が成功したらメアリーさんにお礼がしたい」
ふ~ん青っちろい夢ね!コイツ本当に勇者なのかしら? こんなニコニコした優男が……
「あの聖獣様?私、勇者様の夢の話を聞いて何か協力出来たらと思ったので むしろ少しでもお手伝いが出来て嬉しいです。
だからどうか勇者様を許してあげて下さい!」
「あなたがそう言うならまぁいいわよ。それじゃあ勇者ちゃん達に1つ条件をつけるわ」
「そっ…それは何でしょうか?」
「メアリーちゃんとアタシにアンタの自慢の料理をご馳走するってのはどうかしら♪」
「そっ…そんな事でよろしければ是非とも!ボクは恩人であるメアリーさん、そして聖獣様からお金なんて取りませんので是非食べにロッペンハイマーの店へ来て頂きたいです。」
「えっ聖獣様だけじゃなく私も勇者様の作った料理を頂けるのですか??」
「良かったわねメアリーちゃん!」
せっかくなので勇者イ・ミンジュンと付き人のカイラにこの近くの町や首都についてなどこの国の事を教えてもらったわ。やっぱり情報収集しておかないとね♪
彼等は去って行き、アタシ達はその後ろ姿を見送った。
ゴロゴロ…ピカピカッ!ドドーン!
突然、空が裂けるかと思う程の音を立てて雷が鳴り響き、ザーッと大雨が降って来た。
アタシは念力で木と葉っぱの傘を作り、メアリーに渡した。
「うわぁ神さまが怒ってる?」
「違うの、これは自然現象なのよ」
雷の発生する原理を説明したんだけど
メアリーにとってはチンプンカンプンだったみたい
「あの、聖獣様はお一人で旅をされているのですか?もしよかったら私もお供に連れて行って下さいませんか?」
「えっ!何でよ??」
「実は私、家がなくて納屋で寝泊まりしていまして……その何処か住み込みで働かせてもらえる所を探したいのですが」
うーんまぁ考える余地はあるわね~ そりゃ彼女は勇者の称号は持っているし何よりこの世界の事を少しでも知っている人が一緒にいると今後は色々と助かるだろうしね。
あとさっきの勇者達から色々と聞いたんだけどまずこの異世界には、人間に近い知性を持った異種族が多数存在するらしい。そして、魔物と呼ばれる、人に害をなすものも存在しているって……知ってるわよだってアタシこそがまさにそうじゃないのよ!
次に今アタシ達がいる場所なんだけどシルヴェニア王国って国の領域内でここから30キロ程南西にロッペンハイマーという町があって彼等はそこへ行く途中だそうよ。
そこはこの国で王都の次に人口の多い町でこの辺りの領主様もそこに住んでいるらしい。しかも貴族にしては珍しくとても市民から尊敬されている人格者なのだとか爵位は男爵で名前はノイエ・フォン・ヴァイツゼッカーだって
あと、意外だったのが人々のスキル保持数が少ないこと。ほとんどの人が持っていないかもしくは自分の作業用スキルだとか
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コレも残念ながらみんながドンパチ魔法が使えるわけでも無いらしく神官や魔法使いくらいで一般の人は使えてもせいぜい生活魔法といった所だそうだ。
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