亡国の老騎士と猫魔法士と吸血鬼の城と

お好みナッツ

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老騎士と船長と英雄と

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「ワシが奴隷じゃと?」

「そうだ、いいかジジイよ! お前はオレ達がマリナ・デル・ベーラで拾ったんだよクヒヒヒ」

「なあオイ、てめえら海賊は拾ったのではなく拐ってきたのではないか?」

 先程椅子に座っていた赤毛の男が立ち上がり船員達を睨み付けた。

「ああコイツら全員オレ達が拾ってきたんだよ」

 そこで奥に座っていた赤いロングコートを羽織った船長らしき黒髪の中年男性が立ち上がり、ズカズカと船員達の前に出る。

「どうだい人さらいってのはタダで拾って売ればタダで金が入る魅力的な商売だと思わねえか」

 赤毛の男は無言で船長を睨み出した。

「イーサン・ローグフェルドよ、アンタがセントラシア公国の英雄だって事は知っている。
 だがいいか!ここはオレ様の船だ。いいか例えコイツらが何と言おうとこのオレ様がルールだ」

「フーンそうかい、じゃ降りるか」

 イーサンは# 魔法袋____ マジックバッグ#から小舟を出した。

「この小舟でも10人は乗れる。どうするそこに残るか?、それともこちらに来るか?」

 拉致された者達は皆、小舟に乗り込んだ。
 最後に残ったヨハンは悩んだ末小舟に乗った。

「ではあとはお前達だけだな」

 イーサンは 剣技 ソードスキルを使って海賊達が乗っている船に穴を開けた。そこから海水が入り込み、船はゆっくりと沈み始めたので船員達はあわてて緊急用のボートを探しに駆け回った。










 小舟に乗り込んで約2時間が過ぎてようやく陸地が見えて来た。とりあえず一安心したのか海賊に捕まっていた2人の女性がイーサンに礼を言うと彼は2人が住む村の村長に頼まれてあの海賊船に乗り込み、2人を助け出すチャンスを伺っていた所、ヨハンの登場により、うまく便乗する事が出来たので礼なら彼に言うようにと言った。2人の女性がヨハンの手を握り礼を言うと彼は恥ずかしそうに首を横に振った。

「もしアンタがいなければ、オレ1人ではムリだったかもしれない。アンタがキッカケを作ってくれたおかげでオレはここにいるみんなを救えたんだよ
 ありがとう」

「そうだよ。ワタシ達、もう少しで奴隷にされる
 所だったのよ」

 ヨハンにとっては複雑な心境であった。
 聖教国では奴隷を蔑み、忌み嫌い、踏み躙ってきたそんな自分がこのように感謝される事になるとは

ヨハン達を遠目で見る亜人カップル

「なーんであのバカ爺が感謝されてるニャ?」

「きっとコイツらみんな頭がおかしいんだよ」

ヨハン達が陸地に着くと老人と2人の冒険者らしき男が手を振って待っていた。

「おや、ずいぶんと時間がかかりましたな」

「よお、イーサン待っていたぜ」

「すまないなもっと手際良く出来るかと思ったのだがなあ ハハッ!」

 彼ら2人はイーサンの仲間達であった。
 赤いマントを羽織り、鷹を模した杖を持っている
 中年の優男がジュロム、青い鎧を着込んでいるゴツい大男が重戦士ザードル、そして一緒にいる老人がこの近くにある村の村長だ。
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