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本編
2.驚きの提案
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「あ、あの。今年のお祭りですが、その日は一緒にお出かけできませんか?」
通例のグレン様とのお茶会で、私は思い切って提案してみた。
「お祭りですか。・・・わかりました。いいですよ」
グレンは一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつものように目を細めて頷いた。今日は、メイティーラの自宅でのお茶会だったので、思い切って手作りのお菓子も用意していた。
「あと、これは私が焼いてみました。」
「え、このクッキーですか。―――貴方は、お菓子を焼くことも出来るのですね」
「はい、以前はよく手作りをして、幼馴染にも喜んでもらっていました。グレン様にも、喜んでもらえると嬉しいと思って」
「幼馴染、とは、あのフィルパラウ伯爵の家の者ですか?」
「はい、リーバイとは昔から仲良くしています」
グレン様にしては珍しく、会話が続いている。クッキーを焼いてみて良かった。
「君は・・・リーバイと呼んでいるのか?」
「はい、もう小さな頃から、一緒に遊んでいましたので」
「では、このクッキーも、彼は食べたのか?」
なぜだろう、リーバイの話をすると、グレン様はいつもちょっとだけ、不機嫌になるような気がする。
「え、あ、はい。昨日、たまたまクラスで一緒でしたので、味見してもらいました」
「・・・そうか」
そして沈黙が続く。せっかく、一緒にお祭りに行けると思って、嬉しい気持ちが、しぼんでしまった。これだけ沈黙が続くと、やはりグレン様は私のことが気に入らないのかもしれない。―――父も、その点を不安視していた。
「メイティーラ、グレン君の様子はどうかね。上手くいっているかい?」
「父さま、今度、一緒にお祭りに行く約束をしました。」
「そうかい、それならいいけれど。―――あまり無碍な態度が続くようなら、婚約も考え直すから、無理はしないように。」
父は私を殊の外可愛がってくれている。無口なグレン様の態度をみて、娘の私の将来の結婚生活を、不安に思っているところがある。家格で言えば、相手の方が高いが、理由があるのでこちらから婚約破棄を申し込めなくもない、と言っていた。
私ももうすぐ18歳になる。万一、婚約破棄となれば、次の相手を選べる年齢ではなくなってくる。父は、そのことも考えているようだった。
今年のお祭りでは、何としてもグレン様からパンツを贈ってもらいたい。でなければ、父が婚約破棄へと舵を切ってしまうかもしれない。私は焦りを覚えた。
◇ ◇ ◇
「リーバイ、私、どうしたらグレン様から、パンツを贈ってもらえるかしら」
こんなことを相談できる相手は、彼しかいなかった。お祭りを次の日に迎え、学園の放課後にリーバイをつかまえて話をした。
「メイ、それを僕に相談するの?まいったなぁ」
「そんなこと言わないで、あなたしか相談できないのよ、こんなこと」
「でも、どうしてそんなに焦っているの?」
「今年、パンツをもらえなかったら、父さまのことだから、娘に誠実でない、とか何とか言って、婚約破棄してしまいそうなのよ」
焦っていた私は、リーバイが小さな声で「やった」、と言う声を聞いていなかった。
「メイ、僕にいい考えがあるよ。明日はワンピースを着るよね。その時、わざとパンツを履かないで過ごすんだ」
「え?」
「パンツを履かないで、一日過ごす」
リーバイはとんでもない提案をしてきた。パンツを履かないなんて、とんでもない。
「む、無理よ・・・おしりがスース―しちゃう」
「だからだよ、それをグレンが察して、ああ、パンツを贈らないと、と思ってくれるから」
「そんな、上手くいくかしら」
「それは、それとなく伝えるんだよ。パンツがないって」
「無理よ」
「じゃぁ、パンツください、って、声を出して言えるかい?」
「・・・それも無理」
「じゃぁ、決まりだね。いいかい、出かける朝から、履かないでいくんだよ」
無茶苦茶な話だが、他に良い方法も思いつかない。メイティーラは悩んだ挙句、パンツを履かないで出かけることに決めた。
通例のグレン様とのお茶会で、私は思い切って提案してみた。
「お祭りですか。・・・わかりました。いいですよ」
グレンは一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつものように目を細めて頷いた。今日は、メイティーラの自宅でのお茶会だったので、思い切って手作りのお菓子も用意していた。
「あと、これは私が焼いてみました。」
「え、このクッキーですか。―――貴方は、お菓子を焼くことも出来るのですね」
「はい、以前はよく手作りをして、幼馴染にも喜んでもらっていました。グレン様にも、喜んでもらえると嬉しいと思って」
「幼馴染、とは、あのフィルパラウ伯爵の家の者ですか?」
「はい、リーバイとは昔から仲良くしています」
グレン様にしては珍しく、会話が続いている。クッキーを焼いてみて良かった。
「君は・・・リーバイと呼んでいるのか?」
「はい、もう小さな頃から、一緒に遊んでいましたので」
「では、このクッキーも、彼は食べたのか?」
なぜだろう、リーバイの話をすると、グレン様はいつもちょっとだけ、不機嫌になるような気がする。
「え、あ、はい。昨日、たまたまクラスで一緒でしたので、味見してもらいました」
「・・・そうか」
そして沈黙が続く。せっかく、一緒にお祭りに行けると思って、嬉しい気持ちが、しぼんでしまった。これだけ沈黙が続くと、やはりグレン様は私のことが気に入らないのかもしれない。―――父も、その点を不安視していた。
「メイティーラ、グレン君の様子はどうかね。上手くいっているかい?」
「父さま、今度、一緒にお祭りに行く約束をしました。」
「そうかい、それならいいけれど。―――あまり無碍な態度が続くようなら、婚約も考え直すから、無理はしないように。」
父は私を殊の外可愛がってくれている。無口なグレン様の態度をみて、娘の私の将来の結婚生活を、不安に思っているところがある。家格で言えば、相手の方が高いが、理由があるのでこちらから婚約破棄を申し込めなくもない、と言っていた。
私ももうすぐ18歳になる。万一、婚約破棄となれば、次の相手を選べる年齢ではなくなってくる。父は、そのことも考えているようだった。
今年のお祭りでは、何としてもグレン様からパンツを贈ってもらいたい。でなければ、父が婚約破棄へと舵を切ってしまうかもしれない。私は焦りを覚えた。
◇ ◇ ◇
「リーバイ、私、どうしたらグレン様から、パンツを贈ってもらえるかしら」
こんなことを相談できる相手は、彼しかいなかった。お祭りを次の日に迎え、学園の放課後にリーバイをつかまえて話をした。
「メイ、それを僕に相談するの?まいったなぁ」
「そんなこと言わないで、あなたしか相談できないのよ、こんなこと」
「でも、どうしてそんなに焦っているの?」
「今年、パンツをもらえなかったら、父さまのことだから、娘に誠実でない、とか何とか言って、婚約破棄してしまいそうなのよ」
焦っていた私は、リーバイが小さな声で「やった」、と言う声を聞いていなかった。
「メイ、僕にいい考えがあるよ。明日はワンピースを着るよね。その時、わざとパンツを履かないで過ごすんだ」
「え?」
「パンツを履かないで、一日過ごす」
リーバイはとんでもない提案をしてきた。パンツを履かないなんて、とんでもない。
「む、無理よ・・・おしりがスース―しちゃう」
「だからだよ、それをグレンが察して、ああ、パンツを贈らないと、と思ってくれるから」
「そんな、上手くいくかしら」
「それは、それとなく伝えるんだよ。パンツがないって」
「無理よ」
「じゃぁ、パンツください、って、声を出して言えるかい?」
「・・・それも無理」
「じゃぁ、決まりだね。いいかい、出かける朝から、履かないでいくんだよ」
無茶苦茶な話だが、他に良い方法も思いつかない。メイティーラは悩んだ挙句、パンツを履かないで出かけることに決めた。
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