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序
しおりを挟む「あ」
声が出た。
いつもの帰り道、ふと見上げると、桜の蕾が膨らんでいたのに気付いたからだ。
感慨にふけることも、愛でることもなく、じ、と見つめたまま。
ただ思う。
(そうか、また歳をとるのか)
別に悲しいわけではない。ひとつの事実として思うのだ。
この蕾が咲ききるころ、自分はまた歳を重ねる。
「・・・おっと、ご飯が冷めてしまう」
夕飯は、仕事終わりに立ち寄った、いつもの弁当屋。いつもの生姜焼き弁当ひとつ。
半透明の袋越しにある弁当を見つめると、慣れ親しんだ味を想像して、食欲がかきたてられる。
(ああ、お腹がすいた。帰ろう)
そうして、止めていた足を帰路に向けて進める。
男ひとりと弁当ひとつ。
寂しくなんかない。
これが、自分の人生。
ずっと変わらない
敷かれた長くまっすぐなレールが目の前にあるだけ。
これから死ぬまで、その平坦な道を進み続けるのだ。
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何かわびしい感じでこの作品なんか好きです。続き気になったのでお気に入り登録しました。
文章もわかりやすいし、他にはない作品になる予感がします♪♪
良かった私の作品も見てくださいね(^^)/