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十八章
Ⅴ
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「う~~~ん。不安は残りますけど問題ないでしょう。先輩、早速『逆探知』を」
「なぁ、ルナ。ちょっといいか?」
「ほえ?」ときょとん顔が、迫真なものに。まさかこの魔法になにか? という不安を察したんだろう。俺の真剣なおもいつめ具合に。
「なにか気になるところでもあるのですか?」
「ああ。あるな。おおいに」
ある意味、すべてにおいて優先しなければいけない。ごくりんこ、と生唾を飲んで俺が口を開くのを今か今かと待っている。
「普段そっけない女の子に顔を舐められるのって、どんな意味がある?」
「先輩ふざけてます?」
失礼な。大まじめだ。ルウが帰り際にした行為のせいで、正直手がつかない。ルウのざわりとした舌とぬるっとした唾液の感触。好きな子に顔を舐められたという衝撃。そのまま嬉しい! 幸せ! というテンションに直結している。
「魔法陣の手直しをしているときだって手が震えまくってたし。集中できてなかったし」
「なんてことしてくれてんですか! よく私に大丈夫だ、どこにも失敗はないなんてキメ顔できてましたね!」
だってしょうがないだろ。お前だって好きな子に突然あんなことされてみろ。普通でいられるほうがどうかしている。
本当はあのときのルウの表情、行為の記憶を永遠にリプレイしていたから悶えそうになった。叫びだすのを舌を噛んでとめた。そこは褒めてほしい。
ああ、今でもおもいだせる。それだけでもう我慢できない。
「んんんんんんん!! ん――!! ん――!! んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」
「………うわぁ。ダメだこいつぅ……もう手遅れだぁ」
「舐められた舐められたああああああ!! ふひひひひひひひひいいいい!!」
陸に上がった魚のごとく、床をごろごろと転がって跳ねて足をじたばたとさせ発散している俺をゴミを見るような視線のルナ。
「はぁ、はぁ……。悪い。見苦しい姿を晒したな」
「ええ。本当に。だから所々ミミズみたいなかんじになってたんですね。そんな精神状態で創ってたら絶対欠陥あるでしょ。あのまま発動してたらどうするつもりだったんですか。変態、いえ先輩」
存分に発散させたからか、落ち着きを取り戻せて建設的な話に戻れる。
「なに言ってんだ。お前も確認してるだろ」
「だからこそたちが悪いんですよ! 怒るに怒れないじゃないですか!」
「で? どうおもう?」
最初はうきうきだったけど、今となればルウの意図を知りたくなってきた。
「知りませんよ! 本人に聞けばいいでしょうに!」
「そんなことするのこわいし。もし嬉しい理由だったら家が全焼するほど暴走するし。もし落ち込む理由だったら俺死んじゃうし」
「ありありと想像できちゃうから否定できませんけど! それどころじゃないでしょう!」
「そうだ。それどころじゃない。だからこそだ」
俺の感情と精神状態がまともじゃないから、エルフを捕らえるとき支障がでてしまう。ただでさえ相手はどんな魔法を使うか、呪いを使ってくるか把握できていない。このままだったら絶対に命を落とす。
「くそぅ。妙に冷静で客観的分析できてるところがむかつきます。鼻血垂らしてるほどの変態のくせに」
え? 鼻血? あ、まじだ。拭いておこう。
「じゃああの子が変態さんだから顔を舐めたってことでいいんじゃないですか? はい、結論出たので終わりです」
「お前ルウになんってこと言ってんだごら!」
ルウが変態だと? それはそれでギャップがあって大変興奮――――そんなルウも好きだけど。好きでいられる自信しかないけど。でも、そうじゃない。もっとついやっちゃったってかんじだった。
「じゃあ先輩の汚い顔を舐めるのが好きな変態さんとか」
「変態から一度離れろ!」
「じゃあウェアウルフだから人の顔を舐めたくなったからじゃないですか? 前から舐めてたからついとか」
「一度舐められたことはあるけど、そのときは傷のことがあったし」
「というかどんなシチュエーションですか!? 奴隷のウェアウルフが主の顔の傷を舐めるって! 理解できません! 前提からおかしいです! ガーラ様におっしゃってたこともあの奴隷ちゃんのことなんでしょう!?」
「まぁそのあと告白してフラれちまったのもいい思い出だ。へへ」
「なに照れてるんですか! 流れがおかしいです! そりゃあフラれますよ!」
「誰にも言うなよ?」
「どこで恥ずかしがってるんですか!」
「じゃあお前舐めたことないのか? 舐めたいとか」
「あるわけないでしょ!? 私をなんだとおもってんですか! ムキ―!」
ふむ。だとしたら女の子としての愛情表現じゃないのか。ちょっと残念。
少ししょぼんとするけど、だったらどういう意図が?
「失礼します」
控えめなノックとガーラ様の声。促されて入ってきたガーラ様は人としての姿だった。けど、表情は明るい。
「進捗状況を聞きにきたのですけれど。どうかしら?」
チラッと意味深気味に俺を見て、フッと笑いかけられた。意味を問う間もなく、ルナがガーラに説明する。
「ガーラ様~~。もう私いやですぅ~。この人おかしいですぅ~~。私は『逆探知』を早く発動して終わらせたいんですけど先輩が舐める舐めないのことで困ってるんですぅ~。助けてください~~」
「………はい? え? なめ? え?」
てめぇなに余計なことを。そんなことをガーラ様に話すなんて………。恥ずかしいじゃないか。
「この人が頭おかしくてすすめないんですよ~~。助けてください~~。このままじゃ私まで先輩の毒牙にかかっちゃいます~~。私に舐めたことないのかとか舐めたくないのかなんて聞いてきて~~。セクハラです~~。エルフより先にこの人どうにかしてください~~」
というかその言い方! 誤解される! ああ、ガーラ様が一歩下がった! 俺から距離をとった!
もう『逆探知』どころじゃない。エルフもルウのことも。俺は誤解を解くのに必死で、ガーラ様の心に線を引いた
冷ややかな視線を受けながら事情を説明した。
「なぁ、ルナ。ちょっといいか?」
「ほえ?」ときょとん顔が、迫真なものに。まさかこの魔法になにか? という不安を察したんだろう。俺の真剣なおもいつめ具合に。
「なにか気になるところでもあるのですか?」
「ああ。あるな。おおいに」
ある意味、すべてにおいて優先しなければいけない。ごくりんこ、と生唾を飲んで俺が口を開くのを今か今かと待っている。
「普段そっけない女の子に顔を舐められるのって、どんな意味がある?」
「先輩ふざけてます?」
失礼な。大まじめだ。ルウが帰り際にした行為のせいで、正直手がつかない。ルウのざわりとした舌とぬるっとした唾液の感触。好きな子に顔を舐められたという衝撃。そのまま嬉しい! 幸せ! というテンションに直結している。
「魔法陣の手直しをしているときだって手が震えまくってたし。集中できてなかったし」
「なんてことしてくれてんですか! よく私に大丈夫だ、どこにも失敗はないなんてキメ顔できてましたね!」
だってしょうがないだろ。お前だって好きな子に突然あんなことされてみろ。普通でいられるほうがどうかしている。
本当はあのときのルウの表情、行為の記憶を永遠にリプレイしていたから悶えそうになった。叫びだすのを舌を噛んでとめた。そこは褒めてほしい。
ああ、今でもおもいだせる。それだけでもう我慢できない。
「んんんんんんん!! ん――!! ん――!! んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」
「………うわぁ。ダメだこいつぅ……もう手遅れだぁ」
「舐められた舐められたああああああ!! ふひひひひひひひひいいいい!!」
陸に上がった魚のごとく、床をごろごろと転がって跳ねて足をじたばたとさせ発散している俺をゴミを見るような視線のルナ。
「はぁ、はぁ……。悪い。見苦しい姿を晒したな」
「ええ。本当に。だから所々ミミズみたいなかんじになってたんですね。そんな精神状態で創ってたら絶対欠陥あるでしょ。あのまま発動してたらどうするつもりだったんですか。変態、いえ先輩」
存分に発散させたからか、落ち着きを取り戻せて建設的な話に戻れる。
「なに言ってんだ。お前も確認してるだろ」
「だからこそたちが悪いんですよ! 怒るに怒れないじゃないですか!」
「で? どうおもう?」
最初はうきうきだったけど、今となればルウの意図を知りたくなってきた。
「知りませんよ! 本人に聞けばいいでしょうに!」
「そんなことするのこわいし。もし嬉しい理由だったら家が全焼するほど暴走するし。もし落ち込む理由だったら俺死んじゃうし」
「ありありと想像できちゃうから否定できませんけど! それどころじゃないでしょう!」
「そうだ。それどころじゃない。だからこそだ」
俺の感情と精神状態がまともじゃないから、エルフを捕らえるとき支障がでてしまう。ただでさえ相手はどんな魔法を使うか、呪いを使ってくるか把握できていない。このままだったら絶対に命を落とす。
「くそぅ。妙に冷静で客観的分析できてるところがむかつきます。鼻血垂らしてるほどの変態のくせに」
え? 鼻血? あ、まじだ。拭いておこう。
「じゃああの子が変態さんだから顔を舐めたってことでいいんじゃないですか? はい、結論出たので終わりです」
「お前ルウになんってこと言ってんだごら!」
ルウが変態だと? それはそれでギャップがあって大変興奮――――そんなルウも好きだけど。好きでいられる自信しかないけど。でも、そうじゃない。もっとついやっちゃったってかんじだった。
「じゃあ先輩の汚い顔を舐めるのが好きな変態さんとか」
「変態から一度離れろ!」
「じゃあウェアウルフだから人の顔を舐めたくなったからじゃないですか? 前から舐めてたからついとか」
「一度舐められたことはあるけど、そのときは傷のことがあったし」
「というかどんなシチュエーションですか!? 奴隷のウェアウルフが主の顔の傷を舐めるって! 理解できません! 前提からおかしいです! ガーラ様におっしゃってたこともあの奴隷ちゃんのことなんでしょう!?」
「まぁそのあと告白してフラれちまったのもいい思い出だ。へへ」
「なに照れてるんですか! 流れがおかしいです! そりゃあフラれますよ!」
「誰にも言うなよ?」
「どこで恥ずかしがってるんですか!」
「じゃあお前舐めたことないのか? 舐めたいとか」
「あるわけないでしょ!? 私をなんだとおもってんですか! ムキ―!」
ふむ。だとしたら女の子としての愛情表現じゃないのか。ちょっと残念。
少ししょぼんとするけど、だったらどういう意図が?
「失礼します」
控えめなノックとガーラ様の声。促されて入ってきたガーラ様は人としての姿だった。けど、表情は明るい。
「進捗状況を聞きにきたのですけれど。どうかしら?」
チラッと意味深気味に俺を見て、フッと笑いかけられた。意味を問う間もなく、ルナがガーラに説明する。
「ガーラ様~~。もう私いやですぅ~。この人おかしいですぅ~~。私は『逆探知』を早く発動して終わらせたいんですけど先輩が舐める舐めないのことで困ってるんですぅ~。助けてください~~」
「………はい? え? なめ? え?」
てめぇなに余計なことを。そんなことをガーラ様に話すなんて………。恥ずかしいじゃないか。
「この人が頭おかしくてすすめないんですよ~~。助けてください~~。このままじゃ私まで先輩の毒牙にかかっちゃいます~~。私に舐めたことないのかとか舐めたくないのかなんて聞いてきて~~。セクハラです~~。エルフより先にこの人どうにかしてください~~」
というかその言い方! 誤解される! ああ、ガーラ様が一歩下がった! 俺から距離をとった!
もう『逆探知』どころじゃない。エルフもルウのことも。俺は誤解を解くのに必死で、ガーラ様の心に線を引いた
冷ややかな視線を受けながら事情を説明した。
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