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二十三章
Ⅲ
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解放されてすっきりとした爽やかな気分。まるでスキップでもしてるふわふわとした心境だ。体中の重みがなくなって実に軽やかな足どり。
逆に付き添いであるはずのルウは主以上に心労と肉体的負担が酷かったのか。深刻首を回し手首足首を捻る。ゴキゴキバキバキとこちらが不安になる。
「大丈夫か? 俺が言えた義理じゃないけど」
「少し動かしたい気分です。帝都を飛びだして野原を駆け巡れば元に戻るかと」
「そうか、よしじゃあ帝都出るか」
「それかご主人様相手に体術で発散させれば――――」
「よし、いいよ」
「・・・・・・骨の二、三本じゃあすみませんよ? 私の体術舐めてます?」
ルウの実力は折り紙付きだ。その身体能力と体術で助かった場面は何度もある。だけど、尻尾も耳もぺたんと力なく倒れていて疲れた表情していたら・・・・・・そりゃあ婚約者としては黙っていられないさ。
「骨の二、三本ですむなら安いものだよ」
「・・・・・・最近ご主人様の愛が重いです」
? おかしなことを。好きな子のためなら全身の骨が折れようと大丈夫だろ? むしろそれで好きな子の助けになるんなら喜びだし。俺もハッピーでルウもハッピーでどっこいどっこいじゃあ?
「では私が例えば極限状態に陥って食べ物もないとき、どうされますか? ご主人様と二人きりで」
「俺を食べてもらう?」
味には自信ないけど。そんな状態だったらしょうがない。
ルウが一歩俺から離れた。
「では極寒の山で遭難して衣服が一組しかない場合、魔法も使えず全裸で過ごしたら即座に凍死するとしたら?」
「ルウに着させるよ?」
また離れた。
「では私が今から死んでくださいとお願いしたら?」
「まず刃物を扱っている店を探すかな」
「・・・・・・・・・」
「どこ行くの!? ちょ、待って! フラフラしてるじゃない危ないって!」
慌てて追いかけて肩を掴んでとめる。そのままフラッとよろけたので抱きかかえる。ほらみろ、いわんこっちゃない。
「どうする? 歩けるか?」
「頭おかしいことほざいた後に常識的な対応するなんてどういうおつもりですか?」
え、なんか怒られた? そのまま歩きだそうとしない。そして空腹を知らせる小気味よい音が鳴った。
「今のは放屁です」
「それ逆に恥ずかしくない?」
「ご主人様と二人でいることに比べたらマシです」
「・・・・・・なんだったらこのまま肩かして歩こうか?」
ピク、と。耳がそわそわしはじめた。尻尾はどうしようかな~~っと迷っていると示しているらしく、ゆら~りゆら~りと小さく揺れている。
そして、肯んじることにしたらしい。俺の胸元に頬を当てるほど密着して、ゆっくり歩きだした。
やってみてわかったけど、これはヤバい。今まで人前でルウとこんなに密着したことなんてあっただろうか? 女の子の香りと柔らかさ、旋毛ごしの小さい女の子が俺に体を預けて歩くなんて。焦れったい熱さ。ともすればまた感情が暴走して火柱が物理的に出るのを必死で抑えている。
生温い吐息が、顎に耳の毛が、こしょっとした感触で撫でるたびに悶えそうになって唇をぎゅっと噛んで堪える。
今までルウと密着したことは何度もあった。けどそれは二人っきりのとき。衆人環視の影響もあってか恥ずかしさと嬉しさに体内の臓器一切が過剰反応しそう。
「? ご主人様、なにやら生温かい水滴が頭に?」
「大丈夫。季節外れの酸雨だ。それより大丈夫か?」
鼻から逆流した血液が少しだけかかってしまった。ごまかしながら吹いて証拠隠滅。
「お腹が減りすぎてお腹の裏っ側と足の底がくっつきそうです」
よくわからんがともかく限界ってことか。
「あ、ついたぞルウ」
店から流れてくるほんわかとした美味しそうな香りに、耳がピン! と張ったようにいきり立った。過剰に分泌された涎が滝となってシャツを汚している。
「うう、ステーキ、お肉、ステーキ、お肉」
さっきよりも前のめりになったけど、いかんせん食欲に支配された心に体がついてきてない。せっせせっせとさっきよりも危ない足どりになってもつれそう。
「だぁぁかぁぁらあああ! ウチの店はダメだって言ってるだろうが!」
人垣で見えなかったけど、店先でなにか揉めている。近づくにつれて異質なシルエット達が雄叫びをあげ、今にも暴れだしそう。
トロル、ケルベロス、ガーゴイル、リヴァイアサン、ワイバーン、ヤテベオ。そしてそれらに囲まれている少女の衣装がちらっと見えた。
「よし。ルウごめん別の店にしよう」
くるりと反転した。
「殺生な。ご主人様は私に死ねと?」
ルウは飢餓にあるにはしては不思議な足捌きで反転させた。
「いやあそこはやばい穏やかに食えないルウと一緒に二人きりでゆっくり過ごせない絶対甘~~~~い空気になれない」
「私はお腹を膨れさせればそれでよいのです例えご主人様の死体を前にしてもご主人様のお葬式のときだろうとどこであろうと食べることを優先するので」
「俺関連の物騒な覚悟は別のときに発揮しよ!?」
「あららら~~~。困りました~~。でもどうしてこの子達はだめなのでありましょう~~?」
「だって絶対お店入れないでしょ! 他のお客さん困っちゃうでしょ!」
「ですがこの子達は皆良い子なんですのよ~~? お友達を越えてもはや家族でございます~~」
「そういうことじゃないの! ここは亜人族とか人間のお店なの! 魔物はお断りなの!」
「ですがこの子達からすれば貴方達も私も異種族、ただの生き物でございますよ~~? 神もおっしゃっております~~。汝、慈悲を持って心穏やかにと。怒りを鎮めなければお話あいはできませんことよ?」
「なんなのこの子! どこの子!? というかよく帝都入れたな!?」
あの子に関わったら絶対だめ。なんか人の話が通じてないし。というかあのおっさんも勇気あるな。あの子の後ろにいる魔物達めっちゃ睨んでんじゃん。今にも暴れだしそうじゃん。
「困りましたわ~~。私帝都というのは初めてでこれほど理不尽な人間がいるなんて~~」
そのままどうしてか、なにかに躓いて後頭部から地面に落っこちた。フラフラしてたもんだから危なげな手つきで店の段差に指をガン! とぶつけもんどり打ちそうになって自らの裾を踏んでしまったのか。店主の顎に勢いよく後頭部から突っ込んだ。
「ああっ」
咄嗟だったのか、店主のズボンと下着を掴んでしまい落下。「ひゃぶっ」という悲鳴とともにまた倒れた。通りかかった馬車に弾かれた石片、飛んできた洗濯物が次々と殺到する。
いや奇跡?
なに今の流れるような連鎖。あの子のドジが発端だけど、店主のおっさんもなにがおこっているのかわかっていないし。というかあの子生きてる?
「あ痛たたたた。見苦しいさまを――――きゃあああああ! どうして下半身を露出していらっしゃるのでございますかああああああ!」
「お前のせいじゃああああ!」
「あ~~~~れ~~~! 誰かお助けを~~~! 俗世の穢れが~~~~!」
うん、やっぱりだめだ。あの子には関わったらいけない。命が危ない。社会的に危ない。
「お願いですご主人様今夜私の尻尾をしゃぶってもよろしいです食べてもよろしいです純潔を奪ってもよろしいですどうかお慈悲を・・・・・・」
「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”・・・・・・!」
くそ、八方塞がりじゃねぇか、逃げるに逃げられねぇ!
「あれ~~? なにやら揉めているみたいですわよ?」
「おや? 本当だね。はは、少しの間だけ君達の側を離れる許可をくれるかい? マイ・プリンセス。騎士隊長としての役目を果たさないと」
「「「はぁ~~い!!」」」
ピタ。ギギギギ、と聞き覚えのある声のほうへ意識を。首が錆びた滑車のごとく動いてくれない。
見覚えのある桃色の髪のやつが、女の子の手の甲にキスをして、颯爽と俺の横をすり抜けていった。捉えられたのは残像だけ。
「やぁ、お嬢さん。なにかお困りですか? 僕にあなたをお助けするチャンスをもらいたいのですが?」
「あ、あなた様は?」
「シエナと申します。美しい神の申し子。ここはお任せを」
ウインクをしたあと、店主になにか耳元でボソボソと囁いた。怒り調子だった店主は穏やかな表情になって、すごすごと引き上げていく。
「やぁ、話は終わりました。きっとこれは神があなたの信心を試されたのですね。神に感謝しなければ」
「あ、ありがとうございます・・・・・」
「いえ、お礼を述べなければならないのはむしろ僕のほうです。何故なら神のおかげで僕はあなたに出会えた。かわいい人。どうか迷える主を失いし、騎士の懺悔を聞いてもらえまいか? そこのお店で友達と一緒に」
「ほほほほ。面白いお方」
いや、なにあいつ? なんで初対面の女の子ナチュラルに口説いてんの?
「ご主人様、なにやら幻聴が・・・・・・シエナ様のお声が・・・・・・体臭が」
「うん、幻聴だね。魔法だ。罠だ。ここにはとんでもない結界や呪いがあるみたいだ。早くここを離れよう」
「きゃああシエナ様~~~!」「かっこいい~~~!」「抱いて! 今晩こそ夜を共に~~!」と、おそらく連れの女性達は俺や他の人だかりにぶつかったりなんて気にしないでシエナの元へ殺到した。そのせいで逃げる機会を失った。
「さぁ子羊ちゃん達。一緒にってあれ? ユーグ! ユーグじゃないか!」
野次馬達が散るタイミングから取り残されて、ぽつねんとした俺達に気づいたのは自明の理だったのか。
「おや? あのお方は魔道士試験の」
「君も知っているのかい? 彼は僕の親友で――――」
「ご、ご主人様、早く、気持ちが悪くて吐き気がしてまいりました・・・・・・良い子にするので・・・・・・う、うぇっ」
嘔吐きだしたルウの背中を摩りながら賑やかすぎる食事時になりそうだ、と途方にくれた。
逆に付き添いであるはずのルウは主以上に心労と肉体的負担が酷かったのか。深刻首を回し手首足首を捻る。ゴキゴキバキバキとこちらが不安になる。
「大丈夫か? 俺が言えた義理じゃないけど」
「少し動かしたい気分です。帝都を飛びだして野原を駆け巡れば元に戻るかと」
「そうか、よしじゃあ帝都出るか」
「それかご主人様相手に体術で発散させれば――――」
「よし、いいよ」
「・・・・・・骨の二、三本じゃあすみませんよ? 私の体術舐めてます?」
ルウの実力は折り紙付きだ。その身体能力と体術で助かった場面は何度もある。だけど、尻尾も耳もぺたんと力なく倒れていて疲れた表情していたら・・・・・・そりゃあ婚約者としては黙っていられないさ。
「骨の二、三本ですむなら安いものだよ」
「・・・・・・最近ご主人様の愛が重いです」
? おかしなことを。好きな子のためなら全身の骨が折れようと大丈夫だろ? むしろそれで好きな子の助けになるんなら喜びだし。俺もハッピーでルウもハッピーでどっこいどっこいじゃあ?
「では私が例えば極限状態に陥って食べ物もないとき、どうされますか? ご主人様と二人きりで」
「俺を食べてもらう?」
味には自信ないけど。そんな状態だったらしょうがない。
ルウが一歩俺から離れた。
「では極寒の山で遭難して衣服が一組しかない場合、魔法も使えず全裸で過ごしたら即座に凍死するとしたら?」
「ルウに着させるよ?」
また離れた。
「では私が今から死んでくださいとお願いしたら?」
「まず刃物を扱っている店を探すかな」
「・・・・・・・・・」
「どこ行くの!? ちょ、待って! フラフラしてるじゃない危ないって!」
慌てて追いかけて肩を掴んでとめる。そのままフラッとよろけたので抱きかかえる。ほらみろ、いわんこっちゃない。
「どうする? 歩けるか?」
「頭おかしいことほざいた後に常識的な対応するなんてどういうおつもりですか?」
え、なんか怒られた? そのまま歩きだそうとしない。そして空腹を知らせる小気味よい音が鳴った。
「今のは放屁です」
「それ逆に恥ずかしくない?」
「ご主人様と二人でいることに比べたらマシです」
「・・・・・・なんだったらこのまま肩かして歩こうか?」
ピク、と。耳がそわそわしはじめた。尻尾はどうしようかな~~っと迷っていると示しているらしく、ゆら~りゆら~りと小さく揺れている。
そして、肯んじることにしたらしい。俺の胸元に頬を当てるほど密着して、ゆっくり歩きだした。
やってみてわかったけど、これはヤバい。今まで人前でルウとこんなに密着したことなんてあっただろうか? 女の子の香りと柔らかさ、旋毛ごしの小さい女の子が俺に体を預けて歩くなんて。焦れったい熱さ。ともすればまた感情が暴走して火柱が物理的に出るのを必死で抑えている。
生温い吐息が、顎に耳の毛が、こしょっとした感触で撫でるたびに悶えそうになって唇をぎゅっと噛んで堪える。
今までルウと密着したことは何度もあった。けどそれは二人っきりのとき。衆人環視の影響もあってか恥ずかしさと嬉しさに体内の臓器一切が過剰反応しそう。
「? ご主人様、なにやら生温かい水滴が頭に?」
「大丈夫。季節外れの酸雨だ。それより大丈夫か?」
鼻から逆流した血液が少しだけかかってしまった。ごまかしながら吹いて証拠隠滅。
「お腹が減りすぎてお腹の裏っ側と足の底がくっつきそうです」
よくわからんがともかく限界ってことか。
「あ、ついたぞルウ」
店から流れてくるほんわかとした美味しそうな香りに、耳がピン! と張ったようにいきり立った。過剰に分泌された涎が滝となってシャツを汚している。
「うう、ステーキ、お肉、ステーキ、お肉」
さっきよりも前のめりになったけど、いかんせん食欲に支配された心に体がついてきてない。せっせせっせとさっきよりも危ない足どりになってもつれそう。
「だぁぁかぁぁらあああ! ウチの店はダメだって言ってるだろうが!」
人垣で見えなかったけど、店先でなにか揉めている。近づくにつれて異質なシルエット達が雄叫びをあげ、今にも暴れだしそう。
トロル、ケルベロス、ガーゴイル、リヴァイアサン、ワイバーン、ヤテベオ。そしてそれらに囲まれている少女の衣装がちらっと見えた。
「よし。ルウごめん別の店にしよう」
くるりと反転した。
「殺生な。ご主人様は私に死ねと?」
ルウは飢餓にあるにはしては不思議な足捌きで反転させた。
「いやあそこはやばい穏やかに食えないルウと一緒に二人きりでゆっくり過ごせない絶対甘~~~~い空気になれない」
「私はお腹を膨れさせればそれでよいのです例えご主人様の死体を前にしてもご主人様のお葬式のときだろうとどこであろうと食べることを優先するので」
「俺関連の物騒な覚悟は別のときに発揮しよ!?」
「あららら~~~。困りました~~。でもどうしてこの子達はだめなのでありましょう~~?」
「だって絶対お店入れないでしょ! 他のお客さん困っちゃうでしょ!」
「ですがこの子達は皆良い子なんですのよ~~? お友達を越えてもはや家族でございます~~」
「そういうことじゃないの! ここは亜人族とか人間のお店なの! 魔物はお断りなの!」
「ですがこの子達からすれば貴方達も私も異種族、ただの生き物でございますよ~~? 神もおっしゃっております~~。汝、慈悲を持って心穏やかにと。怒りを鎮めなければお話あいはできませんことよ?」
「なんなのこの子! どこの子!? というかよく帝都入れたな!?」
あの子に関わったら絶対だめ。なんか人の話が通じてないし。というかあのおっさんも勇気あるな。あの子の後ろにいる魔物達めっちゃ睨んでんじゃん。今にも暴れだしそうじゃん。
「困りましたわ~~。私帝都というのは初めてでこれほど理不尽な人間がいるなんて~~」
そのままどうしてか、なにかに躓いて後頭部から地面に落っこちた。フラフラしてたもんだから危なげな手つきで店の段差に指をガン! とぶつけもんどり打ちそうになって自らの裾を踏んでしまったのか。店主の顎に勢いよく後頭部から突っ込んだ。
「ああっ」
咄嗟だったのか、店主のズボンと下着を掴んでしまい落下。「ひゃぶっ」という悲鳴とともにまた倒れた。通りかかった馬車に弾かれた石片、飛んできた洗濯物が次々と殺到する。
いや奇跡?
なに今の流れるような連鎖。あの子のドジが発端だけど、店主のおっさんもなにがおこっているのかわかっていないし。というかあの子生きてる?
「あ痛たたたた。見苦しいさまを――――きゃあああああ! どうして下半身を露出していらっしゃるのでございますかああああああ!」
「お前のせいじゃああああ!」
「あ~~~~れ~~~! 誰かお助けを~~~! 俗世の穢れが~~~~!」
うん、やっぱりだめだ。あの子には関わったらいけない。命が危ない。社会的に危ない。
「お願いですご主人様今夜私の尻尾をしゃぶってもよろしいです食べてもよろしいです純潔を奪ってもよろしいですどうかお慈悲を・・・・・・」
「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”・・・・・・!」
くそ、八方塞がりじゃねぇか、逃げるに逃げられねぇ!
「あれ~~? なにやら揉めているみたいですわよ?」
「おや? 本当だね。はは、少しの間だけ君達の側を離れる許可をくれるかい? マイ・プリンセス。騎士隊長としての役目を果たさないと」
「「「はぁ~~い!!」」」
ピタ。ギギギギ、と聞き覚えのある声のほうへ意識を。首が錆びた滑車のごとく動いてくれない。
見覚えのある桃色の髪のやつが、女の子の手の甲にキスをして、颯爽と俺の横をすり抜けていった。捉えられたのは残像だけ。
「やぁ、お嬢さん。なにかお困りですか? 僕にあなたをお助けするチャンスをもらいたいのですが?」
「あ、あなた様は?」
「シエナと申します。美しい神の申し子。ここはお任せを」
ウインクをしたあと、店主になにか耳元でボソボソと囁いた。怒り調子だった店主は穏やかな表情になって、すごすごと引き上げていく。
「やぁ、話は終わりました。きっとこれは神があなたの信心を試されたのですね。神に感謝しなければ」
「あ、ありがとうございます・・・・・」
「いえ、お礼を述べなければならないのはむしろ僕のほうです。何故なら神のおかげで僕はあなたに出会えた。かわいい人。どうか迷える主を失いし、騎士の懺悔を聞いてもらえまいか? そこのお店で友達と一緒に」
「ほほほほ。面白いお方」
いや、なにあいつ? なんで初対面の女の子ナチュラルに口説いてんの?
「ご主人様、なにやら幻聴が・・・・・・シエナ様のお声が・・・・・・体臭が」
「うん、幻聴だね。魔法だ。罠だ。ここにはとんでもない結界や呪いがあるみたいだ。早くここを離れよう」
「きゃああシエナ様~~~!」「かっこいい~~~!」「抱いて! 今晩こそ夜を共に~~!」と、おそらく連れの女性達は俺や他の人だかりにぶつかったりなんて気にしないでシエナの元へ殺到した。そのせいで逃げる機会を失った。
「さぁ子羊ちゃん達。一緒にってあれ? ユーグ! ユーグじゃないか!」
野次馬達が散るタイミングから取り残されて、ぽつねんとした俺達に気づいたのは自明の理だったのか。
「おや? あのお方は魔道士試験の」
「君も知っているのかい? 彼は僕の親友で――――」
「ご、ご主人様、早く、気持ちが悪くて吐き気がしてまいりました・・・・・・良い子にするので・・・・・・う、うぇっ」
嘔吐きだしたルウの背中を摩りながら賑やかすぎる食事時になりそうだ、と途方にくれた。
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