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本編
策士と悪魔の憂鬱なドライブ-2
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「でも、魔女と関わる限り、絶対にまともな人生なんて送れないしさ。巻き込めないからね。仮に子供ができたとしたらその将来まで決められちゃうわけだし」
「部長もセンセーも大変っスね」
圭斗は他人事だと笑う。
彼らは家単位で縛られているように見える。
「正直離れられたら……って思うよ。でも、逃げても地の果てまで追っかけてくる。そういう呪縛なんだよ。末代まで祟られるみたいな」
そうは言うものの、何も恩恵がないわけではないだろうと圭斗は思う。
一方的に与えられるものであって、望んだものではないのかもしれないが。
結局のところ、二人は魔女にとってなくてはならないツールでしかないのだろう。尚且つ増やしたがっている。
「そういうものに紗綾先輩や俺を巻き込むなんてひどいっスね」
「本当はさ、助けてほしいって言ったら、笑う?」
圭斗としては真実を告白するつもりはないが、笑えもしなかった。
「まあ、俺も人生縛られてるんで、わからないとは言えないっスけど」
「若いのに可愛そうに」
嵐は笑ったが、それは自分が若くないことを認めたようなものだ。
そして、圭斗は自分を可哀想だとは思わない。
諦めているということなのかもしれなかった。
否、確かに諦めていたのだ。つい先日まで、紗綾を見付けるまでは。
「サイキックって勝手な奴ばっかりだって思ってるんスよ」
「だったら、何でうちに来たの? しかも、残る気満々って感じで。ああ、月舘狙いだっけ?」
「まあ、サイキックに不幸にされた女知ってるんで。でも、救いたいなんて大層なことは思ってないんスよ。敢えて言うなら、見届けてやろうと思っただけで」
考えてみたところで、大した理由はない。
少なくとも、他人に言えるようなものではない。
「月舘を傷付けるようなことしたら命はないと思った方がいいと思うよ」
でしょうね、と圭斗は頷く。敵が多過ぎることは自覚していた。
「何か凄くお節介な先輩が来るんスよ、俺のところに」
「あぁ……もしかして、司馬?」
嵐は何でもお見通しのようだった。全ては簡単に推測できることだろう。
「あの人と部長って一方通行っスよね」
クラスメートであるものの、二人は友達というものではないようだ。
少なくとも将也の方はそうなりたがっているようだが、十夜が心を開くということもなかったようだ。
そして、将也が言うには、少しばかり文句を言うと、十夜はすぐに思い悩んで早退すると言う。
しかし、それは繊細というのではなく、精神面が脆弱だということだと圭斗も思う。
「まあ、司馬の兄貴の方はこっちでお世話してるんだけどね」
「将仁とか言う刑事っスよね?」
「ああ、もう会った?」
「この前、先輩と帰った日に」
将也と似てはいるが、くたびれた印象のある男だった。仕事で疲れているのだろうか。
「あの人、よく捜査中に変なもの視たって言って泣きついてくるから。要注意ね」
司馬将仁が視える人だということは圭斗も知っている。助けを求めてくるということも紗綾から聞いている。
刑事ともなれば人の生死や憎悪などの強い感情に触れることもあるだろう。
「しかも、彼女が女子高生でさ、二人して面倒なことに首突っ込もうとしちゃうから本当に要注意ね。仕事引き受ける時は賄賂貰わないと。その賄賂もすんなり受けとるとつけあがるし」
それが教師の台詞だろうかと思うものの、この男には無意味だということはもうわかっていた。
彼は普通の教師ではない。
「俺には関係ないっスから」
「でも、あっちはそうは思ってくれないかもしれないよね」
既に将仁にとって圭斗はオカ研の一員だろう。既成事実とも言えるかもしれない。
能力があろうと、なかろうと、本当に困った時には関係ないことだ。
溺れる者は藁をも掴むのだから。
「面倒臭い人間ばっかりっスね」
「そうそう、本当に嫌になっちゃうよ。月舘だけが俺の癒しだよ」
圭斗が溜め息を吐けば、嵐も頷いたらしかった。
「もう何も言う気になれなくなってきたっスよ」
九鬼嵐とはこういう男なのだと圭斗は悟っていた。
きっと構えば構うほど面倒臭くなる。適当に聞き流した方が利口だと。
「部長もセンセーも大変っスね」
圭斗は他人事だと笑う。
彼らは家単位で縛られているように見える。
「正直離れられたら……って思うよ。でも、逃げても地の果てまで追っかけてくる。そういう呪縛なんだよ。末代まで祟られるみたいな」
そうは言うものの、何も恩恵がないわけではないだろうと圭斗は思う。
一方的に与えられるものであって、望んだものではないのかもしれないが。
結局のところ、二人は魔女にとってなくてはならないツールでしかないのだろう。尚且つ増やしたがっている。
「そういうものに紗綾先輩や俺を巻き込むなんてひどいっスね」
「本当はさ、助けてほしいって言ったら、笑う?」
圭斗としては真実を告白するつもりはないが、笑えもしなかった。
「まあ、俺も人生縛られてるんで、わからないとは言えないっスけど」
「若いのに可愛そうに」
嵐は笑ったが、それは自分が若くないことを認めたようなものだ。
そして、圭斗は自分を可哀想だとは思わない。
諦めているということなのかもしれなかった。
否、確かに諦めていたのだ。つい先日まで、紗綾を見付けるまでは。
「サイキックって勝手な奴ばっかりだって思ってるんスよ」
「だったら、何でうちに来たの? しかも、残る気満々って感じで。ああ、月舘狙いだっけ?」
「まあ、サイキックに不幸にされた女知ってるんで。でも、救いたいなんて大層なことは思ってないんスよ。敢えて言うなら、見届けてやろうと思っただけで」
考えてみたところで、大した理由はない。
少なくとも、他人に言えるようなものではない。
「月舘を傷付けるようなことしたら命はないと思った方がいいと思うよ」
でしょうね、と圭斗は頷く。敵が多過ぎることは自覚していた。
「何か凄くお節介な先輩が来るんスよ、俺のところに」
「あぁ……もしかして、司馬?」
嵐は何でもお見通しのようだった。全ては簡単に推測できることだろう。
「あの人と部長って一方通行っスよね」
クラスメートであるものの、二人は友達というものではないようだ。
少なくとも将也の方はそうなりたがっているようだが、十夜が心を開くということもなかったようだ。
そして、将也が言うには、少しばかり文句を言うと、十夜はすぐに思い悩んで早退すると言う。
しかし、それは繊細というのではなく、精神面が脆弱だということだと圭斗も思う。
「まあ、司馬の兄貴の方はこっちでお世話してるんだけどね」
「将仁とか言う刑事っスよね?」
「ああ、もう会った?」
「この前、先輩と帰った日に」
将也と似てはいるが、くたびれた印象のある男だった。仕事で疲れているのだろうか。
「あの人、よく捜査中に変なもの視たって言って泣きついてくるから。要注意ね」
司馬将仁が視える人だということは圭斗も知っている。助けを求めてくるということも紗綾から聞いている。
刑事ともなれば人の生死や憎悪などの強い感情に触れることもあるだろう。
「しかも、彼女が女子高生でさ、二人して面倒なことに首突っ込もうとしちゃうから本当に要注意ね。仕事引き受ける時は賄賂貰わないと。その賄賂もすんなり受けとるとつけあがるし」
それが教師の台詞だろうかと思うものの、この男には無意味だということはもうわかっていた。
彼は普通の教師ではない。
「俺には関係ないっスから」
「でも、あっちはそうは思ってくれないかもしれないよね」
既に将仁にとって圭斗はオカ研の一員だろう。既成事実とも言えるかもしれない。
能力があろうと、なかろうと、本当に困った時には関係ないことだ。
溺れる者は藁をも掴むのだから。
「面倒臭い人間ばっかりっスね」
「そうそう、本当に嫌になっちゃうよ。月舘だけが俺の癒しだよ」
圭斗が溜め息を吐けば、嵐も頷いたらしかった。
「もう何も言う気になれなくなってきたっスよ」
九鬼嵐とはこういう男なのだと圭斗は悟っていた。
きっと構えば構うほど面倒臭くなる。適当に聞き流した方が利口だと。
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