10 / 44
第10話 王子からの再度の呼び出し
しおりを挟む
だけど、本当に王族側から結婚を申し込まれたら、そういうわけにもいかない。
どうしよう……。
「……まあでも、夢が必ず当たるとも限らないものね。私が聖教会から聖女と言われただけじゃ足りないと、アドリアン王子も言っていたし。夢が当たらなければいいだけよ。」
聖女を聖女たらしめるもの。それは奇跡。それを目の前でおこすことが出来なければ、聖女として認められないのだと言う。
奇跡なんて簡単にはおこないから、奇跡と呼ぶのだと思うけれど、聖女さまの場合は必ずおこせるもの。奇跡の御業と呼ばれる、それぞれが持つ特殊能力のひとつなのだ。
私の場合は予知夢だから、実際に予知が実現するところを見せなくてはならない。
アドリアン王子は私が星読みの聖女であると、国に進言すると言った。
後からならいくらでも取り繕うことが出来るから、事前に報告の必要がある。
だからアドリアン王子は、報告した予知夢が現実におきるのを待っているのだ。
なぜそんな面倒なことをするのか。それは過去に聖教会の中の悪い人が、偽の聖女を連れて来て混乱させた過去があることから、聖教会に対する王家の信頼が落ちたらしい。
数値をはかる器具はごまかせるんだって。
だからあくまで数値は、高い魔力保持者の目安として使用するだけのもの。
数値をはかっただけでは信用せず、実際に奇跡をおこさせてはじめて聖女と認める。
そういう流れが出来たらしい。
それでも聖教会に連れて行くのは、聖教会が自分たちで聖女判定を出したいからに他ならない。権威主義のひとつよね。
過去のことがあるとはいえ、今も聖教会は各国に対し力を持っているから。王族としても、聖教会を無視は出来ない。だから顔を立てる為に判定させるというわけだ。
「夢?なんでございますか?アデルさま。」
私の髪の毛を洗ってくれながら、メイドのリナがたずねてくる。
「ううん、ちょっとね……。」
リナのシャンプーとヘッドマッサージが気持ちが良すぎて、ちょっとウトウトしながら考え事をしていたのが良くなかったみたい。
おもわず考えが口にでてしまっていた。
夢の話は親友のエミリア以外には話していないことだ。まあ、今回アドリアン王子と、ランベール侯爵令息にはバレたけど、あれは不可抗力というものだし。
それに、ただの子爵令嬢である私が、簡単に王族の婚約者になるなんてことはないだろう。いくらそのほうが、ハーネット令嬢の野望を阻止できるとは言っても。
だってポッと出の聖女が簡単に信用されないからこそ、夢が現実に起こると信用させようとしてるくらいだもの。
それに予知夢の中にも、必ず毎回起こるものと、そうでないものがある。
こうすればこうなるという、──ルート。
そう、まるで定められたルートが有るかのように、こうなった場合はこう、と、必ず発生するものと、そうでないものが。
トリスタン王太子がハーネット令嬢の手を取った場合、必ずイェールランド公爵令嬢が断罪されて国外追放になるように。
その逆もまたしかりで、アドリアン王子がハーネット令嬢の手を取る場合は、イェールランド公爵令嬢の断罪は発生しない。
また、どちらの手を取る場合でも、共通して発生する出来事というのもあるけれど、この場合はそうではないのよね。
ホップホッパーの事件が、どちらのルートであれば必ず発生するものであるのか。
そこまでは私にはわからないのだ。
なぜなら単独で見た夢のひとつだから。
だからハーネット令嬢の狙いがアドリアン王子であった場合に、ホップホッパーの事件が起こるのかは、その日になるまで謎だ。
考えるだけ無駄ね。せっかく楽しいところに連れて行ってくれたんだもの。楽しい気持ちで1日を終えよう。そう思った私は何も考えずに、ぐっすりと寝たのだった。
2日間の休みを終えて、スペルミシア学園に行く頃には、私はアドリアン王子と話した内容など、すっかり忘れてしまっていた。
そしてその昼休み。
いつものように、エミリアと裏庭でランチを食べようと、教室で準備をしていると、ランベール侯爵令息が、苦虫を噛み潰したような表情で教室に入って来る。
ランベール侯爵令息も、見た目だけなら格好いい人なので、教室の女生徒たちが、どなたにご用事なのかしら?とザワザワしながらランベール侯爵令息を見つめている。
「ラーバント令嬢。」
「はい?」
「放課後、生徒会室に来るように。」
「は、はあ……。」
それだけ言ってランベール侯爵令息が帰って行く。エミリアが、だいじょうぶなの?先週に引き続きのお呼び出しじゃない!と心配してくれたのに対し、たぶん、と答える私。
おそらく夢の結果について話し合うつもりなのだろう。面倒くさいなあ……と思いつつも、生徒会長かつ王族からの呼び出しだ。
当然応じないわけにはいかなかった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援を押していただけたら幸いです。
どうしよう……。
「……まあでも、夢が必ず当たるとも限らないものね。私が聖教会から聖女と言われただけじゃ足りないと、アドリアン王子も言っていたし。夢が当たらなければいいだけよ。」
聖女を聖女たらしめるもの。それは奇跡。それを目の前でおこすことが出来なければ、聖女として認められないのだと言う。
奇跡なんて簡単にはおこないから、奇跡と呼ぶのだと思うけれど、聖女さまの場合は必ずおこせるもの。奇跡の御業と呼ばれる、それぞれが持つ特殊能力のひとつなのだ。
私の場合は予知夢だから、実際に予知が実現するところを見せなくてはならない。
アドリアン王子は私が星読みの聖女であると、国に進言すると言った。
後からならいくらでも取り繕うことが出来るから、事前に報告の必要がある。
だからアドリアン王子は、報告した予知夢が現実におきるのを待っているのだ。
なぜそんな面倒なことをするのか。それは過去に聖教会の中の悪い人が、偽の聖女を連れて来て混乱させた過去があることから、聖教会に対する王家の信頼が落ちたらしい。
数値をはかる器具はごまかせるんだって。
だからあくまで数値は、高い魔力保持者の目安として使用するだけのもの。
数値をはかっただけでは信用せず、実際に奇跡をおこさせてはじめて聖女と認める。
そういう流れが出来たらしい。
それでも聖教会に連れて行くのは、聖教会が自分たちで聖女判定を出したいからに他ならない。権威主義のひとつよね。
過去のことがあるとはいえ、今も聖教会は各国に対し力を持っているから。王族としても、聖教会を無視は出来ない。だから顔を立てる為に判定させるというわけだ。
「夢?なんでございますか?アデルさま。」
私の髪の毛を洗ってくれながら、メイドのリナがたずねてくる。
「ううん、ちょっとね……。」
リナのシャンプーとヘッドマッサージが気持ちが良すぎて、ちょっとウトウトしながら考え事をしていたのが良くなかったみたい。
おもわず考えが口にでてしまっていた。
夢の話は親友のエミリア以外には話していないことだ。まあ、今回アドリアン王子と、ランベール侯爵令息にはバレたけど、あれは不可抗力というものだし。
それに、ただの子爵令嬢である私が、簡単に王族の婚約者になるなんてことはないだろう。いくらそのほうが、ハーネット令嬢の野望を阻止できるとは言っても。
だってポッと出の聖女が簡単に信用されないからこそ、夢が現実に起こると信用させようとしてるくらいだもの。
それに予知夢の中にも、必ず毎回起こるものと、そうでないものがある。
こうすればこうなるという、──ルート。
そう、まるで定められたルートが有るかのように、こうなった場合はこう、と、必ず発生するものと、そうでないものが。
トリスタン王太子がハーネット令嬢の手を取った場合、必ずイェールランド公爵令嬢が断罪されて国外追放になるように。
その逆もまたしかりで、アドリアン王子がハーネット令嬢の手を取る場合は、イェールランド公爵令嬢の断罪は発生しない。
また、どちらの手を取る場合でも、共通して発生する出来事というのもあるけれど、この場合はそうではないのよね。
ホップホッパーの事件が、どちらのルートであれば必ず発生するものであるのか。
そこまでは私にはわからないのだ。
なぜなら単独で見た夢のひとつだから。
だからハーネット令嬢の狙いがアドリアン王子であった場合に、ホップホッパーの事件が起こるのかは、その日になるまで謎だ。
考えるだけ無駄ね。せっかく楽しいところに連れて行ってくれたんだもの。楽しい気持ちで1日を終えよう。そう思った私は何も考えずに、ぐっすりと寝たのだった。
2日間の休みを終えて、スペルミシア学園に行く頃には、私はアドリアン王子と話した内容など、すっかり忘れてしまっていた。
そしてその昼休み。
いつものように、エミリアと裏庭でランチを食べようと、教室で準備をしていると、ランベール侯爵令息が、苦虫を噛み潰したような表情で教室に入って来る。
ランベール侯爵令息も、見た目だけなら格好いい人なので、教室の女生徒たちが、どなたにご用事なのかしら?とザワザワしながらランベール侯爵令息を見つめている。
「ラーバント令嬢。」
「はい?」
「放課後、生徒会室に来るように。」
「は、はあ……。」
それだけ言ってランベール侯爵令息が帰って行く。エミリアが、だいじょうぶなの?先週に引き続きのお呼び出しじゃない!と心配してくれたのに対し、たぶん、と答える私。
おそらく夢の結果について話し合うつもりなのだろう。面倒くさいなあ……と思いつつも、生徒会長かつ王族からの呼び出しだ。
当然応じないわけにはいかなかった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援を押していただけたら幸いです。
710
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる