昨日見た夢の話をしようか〜たまに予知夢が見られる令嬢ですけど、私は聖女ではありませんよ?〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

文字の大きさ
12 / 44

第12話 改めましてのプロポーズ

しおりを挟む
「貴族と違って、たとえ王族と言えども、君に結婚の強制は出来ない。聖女さまとの結婚の義務があるのは、王族側だけだからな。」

「じゃ、じゃあ、私、この結婚、断ってもいいんですね!やったあ!」
 思わず両手を上げて喜んでしまう私を、ランベール侯爵令息がギロリと睨む。

「王子、話さなければ知らなかったのでは?
 このまま必要なこととして、結婚をすすめてしまえばよろしかったのです。」

 なんてこと言うのよ!この人でなし!
「あなたまさか……、ハーネット令嬢がアドリアン殿下とくっつかないように、私をあてがおうって言うんじゃないでしょうね?」

 そう指摘すると、ランベール侯爵令息は下唇を噛んで、ふいっとソッポを向いた。
 そういうことなんじゃない!

「……まさか私と結婚しなくていいことを、両手を上げて喜ばれるとは思わなかった。
 自分で言うのもなんだが、私と結婚したがる令嬢は多いと思うんだが。」

 アドリアン王子は、少し目を丸くしつつ、半分口元を隠すみたいに顎に手をやった。
「ご、ごめんなさい。」

「だが残念だな。そんなに君に嫌われていたとは。この間のデートが楽しかったのは、どうやら私だけだと見える。」
「デッ……!?」

 少し寂しそうにクスリと微笑むアドリアン王子。だけどその後すぐに、唇の端がちょっとニヤリとつり上がってるのが見えて、からかわれてる!と感じて恥ずかしくなる。

「おや、デートのつもりだったのだが、君にとっては違ったのかな?」
「聖女鑑定の為に、教会に行っただけですよね!?ランベール侯爵令息も一緒に!」

「だがその後の町の散策は2人きりだった。
 私は実に楽しかったのだが。」
「ふえっ?へっ!?」
 なんか変な声出たし。

「聞こえなかったのか?君と過ごした時間が楽しかった、と言っている。」
「そ、それは何よりです……。」

「君のように素直でコロコロと表情の変わる女性は初めてだ。こんなことがなかったら知り合うこともなかったと思うと、私は君のうかつさに感謝したいとすら思っているよ。」

「は、はひっ!?」
 目を細めて見つめられて、私は顔が真っ赤になっていくのを感じた。

「ラーバント令嬢。
 君は恋愛結婚がしたいと言った。君が私の求婚を断る理由は、それだけかな?」
「そ、そうですけど……。」

「正直、断られて傷付いたよ。だがそれにより確信した。私は、君に嫌われたくない。
 ……というよりも、君に好かれたいのだということをね。」

「う、あ、え……?」
「隣りで笑っていて欲しい。笑わせたい。誰より近くでそれを見ていたい。私は、君に、好かれたいんだ。これでは伝わらないか?」

「えと、その……。それって……。」
「どうやら君に、一目惚れみたいだ。」
「あ……、え……?う……。」
 最早なんと言っていいかわからない。

「おや、このことは夢に見なかったのかな?
 そんな反応をされるとは予想外だ。」
「そんな未来、知りません!」

「そうか。なら君に私の気持ちは筒抜けではなかったということだな。おかげでまたひとつ、君の見たことがない反応が見れた。」
 ニッコリと微笑むアドリアン王子。

「恋愛結婚じゃないと、嫌なんだろう?
 私は君のことが好きだ。
 君の言う恋愛結婚とは、君自身が相手を同じくらい好きじゃないと駄目なのかな?」

「だ、駄目ではないですけど……。」
「なら、なんの障害もないということだね。
 他に、問題は?もしもないのであれば。」

 アドリアン王子は私の前にゆっくり歩み寄ると、ひざまずいて右手を差し出してくる。
 それがとてもさまになっていてキレイだ。

「王子だろうと、個人を見るあなたに惹かれました。改めて私と、結婚していただけませんか。ラーバント令嬢。」

 そう言って私を見つめ上げた。
「問題……、ありません……。」
 私は真っ赤になりながら、かじろうてそう答えるので精一杯だった。

 アドリアン王子にたくされた国王さまの手紙は、その日のうちにお父様が開封して、了解の返信を早馬で届けていた。私は恥ずかしくなりながら家族と夕食をとっていた。

「アデルもついに結婚なのね……。
 感慨深いわあ……。」
 お母さまが頬に手を当てて、嬉しそうにワインの入ったグラスを揺らしている。

「やはりあれはアプローチだったのだね。
 アデルときたら、アドリアン王子の気持ちにまるで気付いていないんだからね、端で見ていてヒヤヒヤしたよ。」

「あの時までは別に、私のことが好きだったわけじゃないと思うんだけど……。」
 だってそんなそぶり、まるでなかったし。

「だが、当家は子爵家だ。王家に望まれて断れる筈もないが、第2王子とはいえ、不釣り合いだと思う貴族も多いだろう。親戚中に声をかけて、協力をとりつけなくてはな。」

 お父様のその言葉にドキッとする。いずれ私が聖女と公表されたら、子爵かどうかなんてどうでもよくなるのだ。だけどまだ両親には内緒にするように言われているから、秘密を抱えていることに心苦しくなった。

────────────────────

少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援を押していただけたら幸いです。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。

大森 樹
恋愛
【短編】 公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。 「アメリア様、ご無事ですか!」 真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。 助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。 穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで…… あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。 ★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

処理中です...