養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
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第58話 離婚専門弁護士の心当たり②
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「⋯⋯あなたのことは気にしていましたよ。ヴィリバルト・トラウトマンと、先日図書館にいらしていましたよね。あなたは彼をとても頼っているようだった。声をかけるのが憚られて、遠目に見ておりましたが。」
「あの時図書館にいらしたのですか?」
「はい、私はあそこのカフェで休憩を取りつつ本を読んでいることが多いので。」
確かに、先日図書館で助けていただいた際も、図書館のカフェで本を読んでいらしたわね。その時にご覧になられたということね。
「⋯⋯私もあなたに頼っていただきたいと思いました。なぜ、ヴィリバルト・トラウトマンなのかと⋯⋯。私では助けになれないのかと⋯⋯。でもこうして私を訪ねて来て下さった。私はそのことがとても嬉しいのです。」
フィッツェンハーゲン侯爵令息の手が、カップをソーサーの上に置いた私の手に重ねられ、そのまま軽く握ってくる。
思わずドキドキしてしまう。
急に触れられたけれど、不思議と不快感はなかった。むしろ優しく包み込むその手が、私を本当に心配してくれていたのだ、ということを物語っているかのようだった。
「私はあなたの助けになりたい。あなたに1番に頼られる男でいたいのです。それだけは覚えておいていただければ嬉しく思います。」
「フィッツェンハーゲン侯爵令息⋯⋯。」
じっと目の奥を覗き込んでくる、フィッツェンハーゲン侯爵令息の目から、目線を逸らすことが出来ない。まるでクモの巣にとらえられた蝶のような気持ちだった。
フィッツェンハーゲン侯爵令息の甘い毒にとらわれて、そこから逃げ出せずにもがいているかのような。今すぐここから逃げ出したくなるような落ち着かなさを感じた。
駄目だわ、しっかりしなくては。お願いしたいことがあってここまで来たのだもの。
「あの⋯⋯それでお願いなのですが⋯⋯。」
「はい。」
「離婚に強い弁護士をご紹介いただきたいのです。出来れば貴族の離婚に強い方を。」
「弁護士⋯⋯ですか?」
「はい。以前ちらっとお話したかと思いますが、私は今の夫と離婚を考えています。だいぶ準備は整いましたが、相手は貴族です。私1人で立ち向かうには心もとなくて⋯⋯。」
「それで貴族の離婚に強い弁護士を、と。」
「はい。お心あたりがありますでしょうか?貴族の女性とたくさん親しくしていらっしゃるフィッツェンハーゲン侯爵令息であれば、そういったご相談を受けることもあるのではないかと思ったのですが⋯⋯。」
「確かに、そういったご相談をいただくことはままありますね。それに、弁護士にも2、3心当たりがあります。希望する方に紹介することもありますよ。」
「本当ですか!?」
「ええ。私の頼みということであれば、必ず対応してくれる弁護士も1人知っています。その方をご紹介いたしましょうか?」
「ええ、ぜひお願いいたします!あとは弁護士だけだったんです。とてもありがたいですわ。やはりフィッツェンハーゲン侯爵令息に相談してみて良かったです。」
「あなたにそう言っていただけるのが、私にとっても1番嬉しいことですよ。⋯⋯私があなたのお役に立てることがあってよかった。私にしか出来ないことがあると言われて、本当に嬉しかったのですよ。」
嬉しそうに目を細めて微笑んでくる。
それがあまりにも愛おしそうな眼差しで、私は何を言われたわけでもないのに、思わず目を合わせていられなくなって視線を落とした。な、なぜだかとても恥ずかしいわ⋯⋯。
「でも、本当に助かりましたわ。一度ヴィリにお願いしたのですが、紹介いただいたお相手がお忙しかったとかで、断られてしまって困っていたのです。」
「──それです。」
「それ?」
いったいなんのことかしら?
「あなたは図書館でも、ヴィリバルト・トラウトマンのことを、ヴィリと親しげに呼んでいらした。私のことはフィッツェンハーゲン侯爵令息と呼ばれるのに、です。」
「それは⋯⋯。貴族でいらっしゃいますし。ヴィリは周囲の方皆さまに、自分のことをヴィリと呼ぶようおっしゃっていたのです。」
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「あの時図書館にいらしたのですか?」
「はい、私はあそこのカフェで休憩を取りつつ本を読んでいることが多いので。」
確かに、先日図書館で助けていただいた際も、図書館のカフェで本を読んでいらしたわね。その時にご覧になられたということね。
「⋯⋯私もあなたに頼っていただきたいと思いました。なぜ、ヴィリバルト・トラウトマンなのかと⋯⋯。私では助けになれないのかと⋯⋯。でもこうして私を訪ねて来て下さった。私はそのことがとても嬉しいのです。」
フィッツェンハーゲン侯爵令息の手が、カップをソーサーの上に置いた私の手に重ねられ、そのまま軽く握ってくる。
思わずドキドキしてしまう。
急に触れられたけれど、不思議と不快感はなかった。むしろ優しく包み込むその手が、私を本当に心配してくれていたのだ、ということを物語っているかのようだった。
「私はあなたの助けになりたい。あなたに1番に頼られる男でいたいのです。それだけは覚えておいていただければ嬉しく思います。」
「フィッツェンハーゲン侯爵令息⋯⋯。」
じっと目の奥を覗き込んでくる、フィッツェンハーゲン侯爵令息の目から、目線を逸らすことが出来ない。まるでクモの巣にとらえられた蝶のような気持ちだった。
フィッツェンハーゲン侯爵令息の甘い毒にとらわれて、そこから逃げ出せずにもがいているかのような。今すぐここから逃げ出したくなるような落ち着かなさを感じた。
駄目だわ、しっかりしなくては。お願いしたいことがあってここまで来たのだもの。
「あの⋯⋯それでお願いなのですが⋯⋯。」
「はい。」
「離婚に強い弁護士をご紹介いただきたいのです。出来れば貴族の離婚に強い方を。」
「弁護士⋯⋯ですか?」
「はい。以前ちらっとお話したかと思いますが、私は今の夫と離婚を考えています。だいぶ準備は整いましたが、相手は貴族です。私1人で立ち向かうには心もとなくて⋯⋯。」
「それで貴族の離婚に強い弁護士を、と。」
「はい。お心あたりがありますでしょうか?貴族の女性とたくさん親しくしていらっしゃるフィッツェンハーゲン侯爵令息であれば、そういったご相談を受けることもあるのではないかと思ったのですが⋯⋯。」
「確かに、そういったご相談をいただくことはままありますね。それに、弁護士にも2、3心当たりがあります。希望する方に紹介することもありますよ。」
「本当ですか!?」
「ええ。私の頼みということであれば、必ず対応してくれる弁護士も1人知っています。その方をご紹介いたしましょうか?」
「ええ、ぜひお願いいたします!あとは弁護士だけだったんです。とてもありがたいですわ。やはりフィッツェンハーゲン侯爵令息に相談してみて良かったです。」
「あなたにそう言っていただけるのが、私にとっても1番嬉しいことですよ。⋯⋯私があなたのお役に立てることがあってよかった。私にしか出来ないことがあると言われて、本当に嬉しかったのですよ。」
嬉しそうに目を細めて微笑んでくる。
それがあまりにも愛おしそうな眼差しで、私は何を言われたわけでもないのに、思わず目を合わせていられなくなって視線を落とした。な、なぜだかとても恥ずかしいわ⋯⋯。
「でも、本当に助かりましたわ。一度ヴィリにお願いしたのですが、紹介いただいたお相手がお忙しかったとかで、断られてしまって困っていたのです。」
「──それです。」
「それ?」
いったいなんのことかしら?
「あなたは図書館でも、ヴィリバルト・トラウトマンのことを、ヴィリと親しげに呼んでいらした。私のことはフィッツェンハーゲン侯爵令息と呼ばれるのに、です。」
「それは⋯⋯。貴族でいらっしゃいますし。ヴィリは周囲の方皆さまに、自分のことをヴィリと呼ぶようおっしゃっていたのです。」
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