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半龍人シャロン
お友達ですわ
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屋敷の外に出たシャロンは、呆然と立っていた。
「わたくし、本当に自由になれましたの……?」
「ココン。おめでとう」
「あの男、話の分かるやつだったな」
「あわわ……これからどうしたらいいのか分かりませんわ」
いきなり自由になってまだ理解が追いつかないシャロンが、慌てふためいていると、リサが後ろから肩をぽんと叩いた。
「おまたせ♡ おじょーの護衛依頼を引き受けたよ。おじょーも何していいか分かんないなら、俺たちと一緒に過ごそうよ♡」
「まぁ!! それなら安心ですわね。よろしくお願いしますわ!!」
半龍人《ドラゴニュート》のシャロンが、リサ御一行に加わった。
「それじゃ、買い物に行こっか♡」
フーゴに言われてリサも気づいたが、自分はかわいいのに素材の良さに甘えていてはいけない。
身なりを整えて、より自分に興奮できるようにならないと♡
そんなわけでシャロンのおすすめの店で自分磨きをすることになる。
「いらっしゃいませ、シャロンお嬢様。本日はどのような――」
「今日はわたくしの友人たちをお願いしますわ。みなさん、まずは髪ですわね。希望はありますの?」
「俺は生徒会長系ビッチになりたいな♡」
「コンはとくにない。髪もそんなに長くないから」
「私は騎士だからな。仰々しいおしゃれは不要だ。今のままでいい」
しかしシャロン、各々の言い分をスルー。
店員に耳打ちして別の指示を出した。
しばらくして、出来上がった姿は……。
「まずはリサさんですわね。いかがかしら?」
「わぉ♡ とってもエッチだ♡」
リサの黒髪は、透明感のあるネイビーブルーに染められた。
前髪は横にまっすぐ切りそろえられたが、いくつかに分かれてまとまりがある。カッチリとしたイメージを出しつつ、重さを感じさせない。
ただ伸ばしていただけの後ろ髪はきれいに整えられた。
「コンさんは、よく手入れがされていたから、上質なトリートメントを使って髪質をより美しく見せるようにしましたわ。もちろん、尻尾もね。あとは櫛も買いましたわ」
「ココン。いい油。ありがとう」
茶色のショートから変更はないものの、光沢が違う。
毛並みを重視する獣人の考えをよく知っているシャロンの配慮だった。
「最後はレアさんですわね。男社会に生きたからって、女を捨ててはだめですわ。男が文武両道を求めるように、あなたは才色兼備を目指さないと」
「むぅ、耳が痛い話だ。しかし、この髪型は編むのが大変そうだ」
「正装だと思いなさい。必要なときは、わたくしがして差し上げますわよ」
レアの金髪は充分に美しい。長すぎた髪を整え、サイドを編み込んだ。
お姫様度はさらに増し、天界の変態どもが鼻血を出して倒れていることだろう。
髪を整えたら、私服を選ぶ。
こちらもシャロンにおまかせだが、リサだけは自分の性癖で選んだ。
「見てみて? とってもエッチでしょ♡」
「少し過激すぎるのではなくって?」
「コンはいいと思う。大胆な格好は、自信の現れ。強い」
「女の私から見ても、その、ドキドキしてしまうな♡」
リサの格好は、思いっきりビッチだ♡
黒のキャミソールと白いシャツで思いっきり肩が見える♡
大きめのベルトでごまかしているが、黒いスカートは際どい短さで、艶めかしい太ももがこれでもかと目に入る♡
パンツはもちろん紐パン♡ 角度によっては紐の先端が見えそうだ♡
横髪をかき分けると、片耳に付けた長いピアスに視線が向いてしまい、黒のチョーカーと合わさってその首筋に吸い付きたくなる♡
「コンさんは、少しおとなしすぎるのではなくって? もう少しおしゃれしてもいいと思うのだけれど」
「コンは常在戦場。冒険に役立つのがいい」
「おニューの巫女っぽい服もかわいい♡ 好き♡ 黒いローブも似合ってる♡」
「コン殿の心がけは素晴らしいな。私もそうでありたい」
白い巫女っぽい服に変更は少ないが、アラクネの糸で編まれた最高級の防具だ。
黒のローブは、不死王の素材で作られたもので、魔術師としても死霊術師としても最高の防具が揃っている。
フードで隠れた横顔を斜め45度から覗き込むと、歴戦の死霊術師感が漂う。実力は定かではない。
「レアも防具ですの? 少しはおしゃれをしなさいな」
「気持ちは嬉しいが、私は騎士だ。リサに貰った装備も壊れてしまったので、新調するいい機会になったよ。それに、安物だが魔剣も買えたしな。うぇへへへへ」
「レアも喋らなければ姫騎士なんだよね」
「危ない目をしてる。通報したい」
レアも見た目に変更は少ないが、鋼からミスリル製の装備になった。
頬ずりする魔剣の鞘から覗く刃は、ぼんやりと白く発光している。
ほんのりと光属性の力が宿った魔法剣だ。
装備を整えたリサたちは、さっそく冒険者ギルドに向かった。
シャロンが『乙女と槍隊』に加わったので、その手続きが目的だった。
「あぎゃー。また混んでる」
「ココン……お腹減ったしご飯にする」
「もうそんな時間ですわね。あっ、ここ空いてますわよーっ!!」
「あっ、そこは……」
混み合ったギルドで、空いている場所と言えば……。
「臭ぇ!! 臭ぇなぁ!! 獣人は臭くてたまらねぇ――おぶべっ」
チンピラが絡んだと同時に、シャロンは腹に正拳突きを叩き込んでしまった。
壁にめり込んだチンピラに、シャロンが語りかける。
「コンさんはわたくしの友人ですわ。コンさんに喧嘩を売るということは、わたくしに喧嘩を売るも同じ。覚えておきなさい」
「ななな、何の騒ぎですかー!? ま、またあなたたちですか!? スキルの使用は禁止ですってばー!!」
「あら、わたくしはスキルなんて使ってなくってよ?」
「そうだよ。ちょっと腹パンしただけだよねー」
「えっ、ノースキルであの威力ですか? うぅん、規則上は問題ないですね!!」
騒ぎに駆けつけてきた受付嬢を諭しながら、リサとシャロンは微笑んだ。
リサは破天荒なシャロンとうまくやれるのか、ぶっちゃけ不安だったが、その心配はなくなった。
似た者同士、仲良くするだろう。
「わたくし、本当に自由になれましたの……?」
「ココン。おめでとう」
「あの男、話の分かるやつだったな」
「あわわ……これからどうしたらいいのか分かりませんわ」
いきなり自由になってまだ理解が追いつかないシャロンが、慌てふためいていると、リサが後ろから肩をぽんと叩いた。
「おまたせ♡ おじょーの護衛依頼を引き受けたよ。おじょーも何していいか分かんないなら、俺たちと一緒に過ごそうよ♡」
「まぁ!! それなら安心ですわね。よろしくお願いしますわ!!」
半龍人《ドラゴニュート》のシャロンが、リサ御一行に加わった。
「それじゃ、買い物に行こっか♡」
フーゴに言われてリサも気づいたが、自分はかわいいのに素材の良さに甘えていてはいけない。
身なりを整えて、より自分に興奮できるようにならないと♡
そんなわけでシャロンのおすすめの店で自分磨きをすることになる。
「いらっしゃいませ、シャロンお嬢様。本日はどのような――」
「今日はわたくしの友人たちをお願いしますわ。みなさん、まずは髪ですわね。希望はありますの?」
「俺は生徒会長系ビッチになりたいな♡」
「コンはとくにない。髪もそんなに長くないから」
「私は騎士だからな。仰々しいおしゃれは不要だ。今のままでいい」
しかしシャロン、各々の言い分をスルー。
店員に耳打ちして別の指示を出した。
しばらくして、出来上がった姿は……。
「まずはリサさんですわね。いかがかしら?」
「わぉ♡ とってもエッチだ♡」
リサの黒髪は、透明感のあるネイビーブルーに染められた。
前髪は横にまっすぐ切りそろえられたが、いくつかに分かれてまとまりがある。カッチリとしたイメージを出しつつ、重さを感じさせない。
ただ伸ばしていただけの後ろ髪はきれいに整えられた。
「コンさんは、よく手入れがされていたから、上質なトリートメントを使って髪質をより美しく見せるようにしましたわ。もちろん、尻尾もね。あとは櫛も買いましたわ」
「ココン。いい油。ありがとう」
茶色のショートから変更はないものの、光沢が違う。
毛並みを重視する獣人の考えをよく知っているシャロンの配慮だった。
「最後はレアさんですわね。男社会に生きたからって、女を捨ててはだめですわ。男が文武両道を求めるように、あなたは才色兼備を目指さないと」
「むぅ、耳が痛い話だ。しかし、この髪型は編むのが大変そうだ」
「正装だと思いなさい。必要なときは、わたくしがして差し上げますわよ」
レアの金髪は充分に美しい。長すぎた髪を整え、サイドを編み込んだ。
お姫様度はさらに増し、天界の変態どもが鼻血を出して倒れていることだろう。
髪を整えたら、私服を選ぶ。
こちらもシャロンにおまかせだが、リサだけは自分の性癖で選んだ。
「見てみて? とってもエッチでしょ♡」
「少し過激すぎるのではなくって?」
「コンはいいと思う。大胆な格好は、自信の現れ。強い」
「女の私から見ても、その、ドキドキしてしまうな♡」
リサの格好は、思いっきりビッチだ♡
黒のキャミソールと白いシャツで思いっきり肩が見える♡
大きめのベルトでごまかしているが、黒いスカートは際どい短さで、艶めかしい太ももがこれでもかと目に入る♡
パンツはもちろん紐パン♡ 角度によっては紐の先端が見えそうだ♡
横髪をかき分けると、片耳に付けた長いピアスに視線が向いてしまい、黒のチョーカーと合わさってその首筋に吸い付きたくなる♡
「コンさんは、少しおとなしすぎるのではなくって? もう少しおしゃれしてもいいと思うのだけれど」
「コンは常在戦場。冒険に役立つのがいい」
「おニューの巫女っぽい服もかわいい♡ 好き♡ 黒いローブも似合ってる♡」
「コン殿の心がけは素晴らしいな。私もそうでありたい」
白い巫女っぽい服に変更は少ないが、アラクネの糸で編まれた最高級の防具だ。
黒のローブは、不死王の素材で作られたもので、魔術師としても死霊術師としても最高の防具が揃っている。
フードで隠れた横顔を斜め45度から覗き込むと、歴戦の死霊術師感が漂う。実力は定かではない。
「レアも防具ですの? 少しはおしゃれをしなさいな」
「気持ちは嬉しいが、私は騎士だ。リサに貰った装備も壊れてしまったので、新調するいい機会になったよ。それに、安物だが魔剣も買えたしな。うぇへへへへ」
「レアも喋らなければ姫騎士なんだよね」
「危ない目をしてる。通報したい」
レアも見た目に変更は少ないが、鋼からミスリル製の装備になった。
頬ずりする魔剣の鞘から覗く刃は、ぼんやりと白く発光している。
ほんのりと光属性の力が宿った魔法剣だ。
装備を整えたリサたちは、さっそく冒険者ギルドに向かった。
シャロンが『乙女と槍隊』に加わったので、その手続きが目的だった。
「あぎゃー。また混んでる」
「ココン……お腹減ったしご飯にする」
「もうそんな時間ですわね。あっ、ここ空いてますわよーっ!!」
「あっ、そこは……」
混み合ったギルドで、空いている場所と言えば……。
「臭ぇ!! 臭ぇなぁ!! 獣人は臭くてたまらねぇ――おぶべっ」
チンピラが絡んだと同時に、シャロンは腹に正拳突きを叩き込んでしまった。
壁にめり込んだチンピラに、シャロンが語りかける。
「コンさんはわたくしの友人ですわ。コンさんに喧嘩を売るということは、わたくしに喧嘩を売るも同じ。覚えておきなさい」
「ななな、何の騒ぎですかー!? ま、またあなたたちですか!? スキルの使用は禁止ですってばー!!」
「あら、わたくしはスキルなんて使ってなくってよ?」
「そうだよ。ちょっと腹パンしただけだよねー」
「えっ、ノースキルであの威力ですか? うぅん、規則上は問題ないですね!!」
騒ぎに駆けつけてきた受付嬢を諭しながら、リサとシャロンは微笑んだ。
リサは破天荒なシャロンとうまくやれるのか、ぶっちゃけ不安だったが、その心配はなくなった。
似た者同士、仲良くするだろう。
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