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第1章 俺もチートキャラになりたいんですけど…
11話 老舗の武器屋
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俺達は商人ギルドを後にした後ローズに先ほどの串焼きを買って貰って道の端でそれを食べていた。
串焼きは鳥のモモ肉のような食感で甘辛いタレがかかっていて癖になる味だ。
「なあ、結局いくらくらいになったんだ?」
「大金貨5,200枚くらいじゃの。」
「うわ、52億かよ。物凄い大金だな。」
「うむ。そこそこの金額になったの。」
「そこそこって金額じゃない気がするのは私だけかしら。」
どうやら魔王の金銭感覚についていけないのは俺だけではないらしい。
お嬢様である土御門さんが言うくらいなのだから、一庶民に過ぎない俺には言わずもがなだ。
「それで、この後は家を買いに行くのかしら?」
「いや、家は先程手配してきた。夕刻の鐘がなる頃には準備が出来るそうじゃからそれまでブラブラしてたらいいじゃろ。」
「家を手配したって、いつの間に間取りとか相談したんだ?さっきはそこまで話し込んでいる様には見えなかったが。」
「間取りとかは特に相談してないぞ?予算は決めたが他は全て任せておる。」
「そんな適当でいいのかしら?」
「まあ、どうせ仮の拠点にすぎんのじゃし構わんじゃろう。それに気に食わなければ増築するなり立て替えたりしたらよい。」
魔王様は買い物の仕方も豪勢だった。
「それじゃあ、当分は暇なわけか。夕方まで時間はあるだろうしどうするかな。」
「それじゃあ私、武器屋に行きたいわ!魔剣とかあるかしら?」
「ふむ。それじゃあ武器屋に行ってみるかの。」
俺達は気になる屋台があったら買い食いをしつつ、ローズにおススメの武器屋に案内してもらった。
今向かっている武器屋はローズがS級だった時代には、ソレイド一の武器屋だったらしい。
因みに屋台料理はパンに紫の野菜と焼いたカエルを挟んだものが見た目に反して美味かった。
ソラッツという料理らしい。
「おかしいのう。ここのあたりだったと思うのじゃが。」
「もう潰れたんじゃないのか?ローズがソレイドの街に来たのは大分前なんだろ?」
「いや、そんなはずはないと思うのだが。」
俺とローズがそんな話をしていると土御門さんが何かに気付いたようだ。
「ねえ、ここじゃないかしら?何か金槌のような音もするし。ほら、あそこの煙突煙出てるわよ。」
土御門さんが指差したのは看板も出ておらず木窓も開いていない建物だった。
ソレイドの街は看板がなければわからないくらい同じような建物が並んでいるし、このような状態ではローズが見つけられなかったのも納得がいく。
「どうだ、ローズ?ここであってるか?」
「うむ。言われてみれば見覚えがある建物じゃな。おそらくここじゃろう。」
「それじゃあ早速入ってみましょう。あら、鍵も開いてるわね。」
相変わらず行動の早い土御門さんの後に続いて中に入るとたくさんの武器がずらりと並んでいた。
長剣やトマホーク、杖やメイス、果てはモーニングスターまで置いてある。
中々の品揃えだ。
『いらっしゃい。』
奥の机に座るドワーフっぽいおっさんから無愛想な声が飛んできた。
その奥からはカンカンと金槌の小気味良い音が聞こえてくる。
「どうやら、店はやっているようね。」
「うむ。あそこに座っておる奴が店主じゃな。見覚えがある。」
「へー長生きな店主なんだな。」
「ドワーフは人間に比べれば長命じゃからな。それにそこそこレベルも高いはずじゃ。寿命も伸びてるじゃろ。」
なんと、異世界ではレベルを上げれば寿命も伸びるらしい。
これは是が非でもレベルを上げていきたいな。
「私、魔剣とか使ってみたいわ。」
「たわけ、あまり最初から性能のいい武器を使うもんでもないぞ。それに、どのような武器でも使いこなせてこそ達人じゃ。硬い敵には柔い剣をというくらいじゃしの。」
「そう。それなら仕方ないわね。」
異世界の諺だろうか。
魔剣を欲しがった土御門さんにローズが待ったをかける。
魔剣とか絶対に高いだろうしやめておいた方が良いと俺も思うぞ。
俺と土御門さんは出世払いで武器代を返すとローズと約束した。
ローズは気にしなくて良いと言っていたが、こういうのはきっちりしておいた方が円満な関係を築けるってもんだ。
勿論先程の屋台での食事代も返すつもりだ。
「それでお主ら武術の心得はあるかの?」
「私は剣道と合気道、槍と弓を習ったことがあるわね。あ、空手も出来るわ。」
土御門さん色々出来るんすね。
武道の経験のない俺では元の世界でも土御門には敵いそうもなさそうだ。
「空手とはなんじゃ?」
「徒手格闘術よ。私的には剣道が一番得意だから刀がいいわね。」
「いや、刀は曲がりやすいし切れ味も落ちやすいから連戦には向かぬ。お主が並ぶもののいない剣士ならば刀を使った方が強いやもしれんが、それまでは両手剣がいいじゃろうな。お主は攻撃力と敏捷性の伸びが良いようじゃしの。」
「そう。わかったわ。じゃあそれにするわ。」
おや、意外にも土御門さんの聞き分けが良い。
まあ、魔王は戦闘のスペシャリストだろうし言っていることが正論である。
特に反対する理由もないか。
「フウマの方はどうじゃ?それとお主は転移魔法にステータスポイントをいくつ使ったんじゃ?」
「ああ、俺は武術はなんもやったことないな。それと使ったポイントは確か2000くらいだ。」
「なんと、何もやったことがないのか?」
「ああ。俺達が住む世界は平和だからな。土御門さんみたいに武術の心得がある方が珍しいと思うぞ。」
「そうね。私はお家柄色々習っているだけだし、普通に生きていくだけならまず必要ないものだったものね。」
「なるほどのう。それならば魔法適正も高いようだし取り回しも楽な片手剣が良いかのう。」
「魔法適正が高いってなんでわかるんだ?」
「お主のステータスポイントの消費が少ないからじゃな。才能や適正があるものほど、習得の際に必要なポイントが少なくなるのじゃ。勿論ポイントを使わずに修行をして習得する際も短い時間できるぞ。確かなことは言えんがお主には妾と同等かそれ以上の魔法への才能がありそうじゃな。事実、転移魔法だけなら妾よりも格段に上の才能があると思うぞ。」
「さすが高音くんね!!」
土御門さんの中で俺の評価が高すぎる気がしなくもないが、魔王と同等の才能か。
これは鍛えていくのが楽しみだな。
「ん?魔法の才能があるならなんで杖とかじゃないんだ?」
「杖やワンドは魔法の発動を助けるものじゃ。魔法を極めれば極めるほど、必要なくなってくる。それならば初めから近接戦も鍛えて遠近両方で戦えるようにした方がいいじゃろうな。」
「なるほど、高音くんは魔法剣士になるって訳ね。最強だわ!」
「おお、夢が広がるな。」
店に入る前は槍とか使ってみたいと思っていたが。
良いじゃないか、魔法剣士。
なんかすごいかっこよさそうだ。
「まあ、器用貧乏にならんように修行は大変じゃがの。」
「頑張って高音くん!あなたならきっとできるわ!」
「ああ、まあ。頑張ってみるよ。」
「うむ。決まりじゃな。」
まじかよ。修行大変なのか。
いや、でも土御門さんが最強って言ってくれたし出来るだけやってみるか。
俺がそんな事を考えているとローズが座っているおっさんに声をかけた。
『この二人に鉄製の片手剣と両手剣を見繕って欲しい。出来るだけ癖がないものを頼む。』
『おう。少し待ってろ。』
おっさんが店を回りながら両手剣と片手剣を数本集めている。
俺たちのために選んでくれているようだ。
どうやら頑固オヤジって訳ではないらしい。
「ふふふ。楽しみね高音くん。」
「ああ、武器を持つなんて初めてだからな。なんかちょっと緊張してる。」
かくして待つこと暫し。
俺たちの目の前の机の上には数本の片手剣と両手剣が並んだ。
『こんなところだな。』
『うむ。すまんの。』
ドワーフのおっさんはローズに無愛想に何かいうと元の座っていた位置に戻っていった。
「ほれ、お主ら。手に持って確かめてみるがよい。」
「わかったわ。」「あいよ。」
おっさんが持って来てくれた片手剣は全部で三本ある。
俺は早速一番右にある片手剣を手に取り少し離れて振ってみる。
おお、結構重たいな。
剣ってこんなに重たいのか。
爺ちゃん家で持った薪割り用の小さい斧より重いぞ。
これは片手で降るには結構きついな。
ブンッ!!
俺が自分が持った片手剣を眺めていると土御門さんの方から風を切り裂く音が聴こえてきた。
剣道の形だろうか。
俺の素人目には流麗な剣術に見える。
「ううん。重心の位置が少し気になるけど、こんなもんかしらね。」
「ほへー土御門さん凄いな。」
「ほれ、お主も呆けてないでさっさと決めい。」
「ん。ああ。けれど俺にはどれも重たいんだよな。」
3本とも試してみたが俺の腕力は元の世界の時から変わっていないのでどれも等しく重く感じる。
「なに、どうせ鍛えるんじゃ。手に持ってみて一番馴染むのを選べばよい。」
「そうか。それならこれにするかな。」
俺はそう言って三本の中で一番細身の他よりも長い片刃の剣を手にとった。
「うむ。良いと思うぞ。お主は戦闘はからっきしのようじゃし少しでも長い方が安心するじゃろ。」
「あら、高音くんも決まったのね。私はこれにするわ。」
高音さんは両手剣の2択のうち、もう一本の方よりは短い方を選んだ。
「うむ。マイの方も選べたようじゃの。それじゃあ会計をするから少し待っとれ。」
ローズはそう言うとおっさんの下まで歩いて行った。
「土御門さんは短い方にしたんだな。」
「ええ、こっちの方が竹刀の長さに近かったからね。」
土御門さんがそう言って見せる剣は120センチちょいある両刃の剣だ。
「なるほどな。それにしても、さっきの形凄かったな。」
「あれくらい練習したらすぐ出来るようになるわ。」
「なあ、もう一回見せてくれよ。」
「ええ、良いわよ。」
俺はローズが会計をしている間土御門さんの演舞をじっと見ていた。
いや、まじかっこいいんだって。
それにセーラー服に両手剣ってなんかグッとくるんだよ。
_______________________________________________
「あの二人が持っているものを頼む。」
「ああ、合わせて金貨8枚だ。」
「うむ。」
二人とも初めての武器に気分が高揚しておるようじゃ。
確かに妾も初めて得物を持った時は気分が高まった。
うむうむ。微笑ましいのう。
本当は武器の持つ力を教えねばならんが、今それを言うのは野暮じゃろう。
そのようなことは後々教えていけばよい。
妾がそう考えていると店主のドワーフから声がかかった。
「なあ、嬢ちゃん。フラム・レッドの弟子かなんかか?」
「む?どういうことじゃ?」
「いや、嬢ちゃんの立ち振る舞いが武人として洗練されたものだったからな。ここまでの奴は俺は今までフラム・レッド以外に見たことない。」
「ふむ。」
ほう。こやつもさすがじゃな。
妾の立ち振る舞いだけで実力を見抜くか。
腕は落ちてないようじゃの。
「悪い。変なこと言ったな。俺はフラム・レッドを見た事があるが、ブルっちまうほどの美人でこれぞ孤高って感じな人だった。嬢ちゃんみたいな可愛いやつがフラム・レッドと知り合いなわけねえか。」
「何、気にせんでよい。」
ふむ。こやつなかなか言うようになったではないか。
以前は妾に怯えておるだけのひよっこだと思っておったのじゃが。
おお、そうじゃった。
「のう、妾も一つ聞いてよいか?」
「ん?なんだ?」
「どうして外に看板も出しておらんのじゃ?」
「ああ、あまり客が来すぎても困るからな。俺は別に金儲けがしたいわけじゃなくて、武器を作りたいだけだからこのくらいが丁度いいんだ。」
「なるほどのう。実力がありすぎるのも考えものじゃな。」
「まあ。客が来すぎて困るなんて他所じゃ言えないがな。」
「それもそうじゃの。」
妾と店主は初めての武器にはしゃぐ2人を見ながら笑い合った。
串焼きは鳥のモモ肉のような食感で甘辛いタレがかかっていて癖になる味だ。
「なあ、結局いくらくらいになったんだ?」
「大金貨5,200枚くらいじゃの。」
「うわ、52億かよ。物凄い大金だな。」
「うむ。そこそこの金額になったの。」
「そこそこって金額じゃない気がするのは私だけかしら。」
どうやら魔王の金銭感覚についていけないのは俺だけではないらしい。
お嬢様である土御門さんが言うくらいなのだから、一庶民に過ぎない俺には言わずもがなだ。
「それで、この後は家を買いに行くのかしら?」
「いや、家は先程手配してきた。夕刻の鐘がなる頃には準備が出来るそうじゃからそれまでブラブラしてたらいいじゃろ。」
「家を手配したって、いつの間に間取りとか相談したんだ?さっきはそこまで話し込んでいる様には見えなかったが。」
「間取りとかは特に相談してないぞ?予算は決めたが他は全て任せておる。」
「そんな適当でいいのかしら?」
「まあ、どうせ仮の拠点にすぎんのじゃし構わんじゃろう。それに気に食わなければ増築するなり立て替えたりしたらよい。」
魔王様は買い物の仕方も豪勢だった。
「それじゃあ、当分は暇なわけか。夕方まで時間はあるだろうしどうするかな。」
「それじゃあ私、武器屋に行きたいわ!魔剣とかあるかしら?」
「ふむ。それじゃあ武器屋に行ってみるかの。」
俺達は気になる屋台があったら買い食いをしつつ、ローズにおススメの武器屋に案内してもらった。
今向かっている武器屋はローズがS級だった時代には、ソレイド一の武器屋だったらしい。
因みに屋台料理はパンに紫の野菜と焼いたカエルを挟んだものが見た目に反して美味かった。
ソラッツという料理らしい。
「おかしいのう。ここのあたりだったと思うのじゃが。」
「もう潰れたんじゃないのか?ローズがソレイドの街に来たのは大分前なんだろ?」
「いや、そんなはずはないと思うのだが。」
俺とローズがそんな話をしていると土御門さんが何かに気付いたようだ。
「ねえ、ここじゃないかしら?何か金槌のような音もするし。ほら、あそこの煙突煙出てるわよ。」
土御門さんが指差したのは看板も出ておらず木窓も開いていない建物だった。
ソレイドの街は看板がなければわからないくらい同じような建物が並んでいるし、このような状態ではローズが見つけられなかったのも納得がいく。
「どうだ、ローズ?ここであってるか?」
「うむ。言われてみれば見覚えがある建物じゃな。おそらくここじゃろう。」
「それじゃあ早速入ってみましょう。あら、鍵も開いてるわね。」
相変わらず行動の早い土御門さんの後に続いて中に入るとたくさんの武器がずらりと並んでいた。
長剣やトマホーク、杖やメイス、果てはモーニングスターまで置いてある。
中々の品揃えだ。
『いらっしゃい。』
奥の机に座るドワーフっぽいおっさんから無愛想な声が飛んできた。
その奥からはカンカンと金槌の小気味良い音が聞こえてくる。
「どうやら、店はやっているようね。」
「うむ。あそこに座っておる奴が店主じゃな。見覚えがある。」
「へー長生きな店主なんだな。」
「ドワーフは人間に比べれば長命じゃからな。それにそこそこレベルも高いはずじゃ。寿命も伸びてるじゃろ。」
なんと、異世界ではレベルを上げれば寿命も伸びるらしい。
これは是が非でもレベルを上げていきたいな。
「私、魔剣とか使ってみたいわ。」
「たわけ、あまり最初から性能のいい武器を使うもんでもないぞ。それに、どのような武器でも使いこなせてこそ達人じゃ。硬い敵には柔い剣をというくらいじゃしの。」
「そう。それなら仕方ないわね。」
異世界の諺だろうか。
魔剣を欲しがった土御門さんにローズが待ったをかける。
魔剣とか絶対に高いだろうしやめておいた方が良いと俺も思うぞ。
俺と土御門さんは出世払いで武器代を返すとローズと約束した。
ローズは気にしなくて良いと言っていたが、こういうのはきっちりしておいた方が円満な関係を築けるってもんだ。
勿論先程の屋台での食事代も返すつもりだ。
「それでお主ら武術の心得はあるかの?」
「私は剣道と合気道、槍と弓を習ったことがあるわね。あ、空手も出来るわ。」
土御門さん色々出来るんすね。
武道の経験のない俺では元の世界でも土御門には敵いそうもなさそうだ。
「空手とはなんじゃ?」
「徒手格闘術よ。私的には剣道が一番得意だから刀がいいわね。」
「いや、刀は曲がりやすいし切れ味も落ちやすいから連戦には向かぬ。お主が並ぶもののいない剣士ならば刀を使った方が強いやもしれんが、それまでは両手剣がいいじゃろうな。お主は攻撃力と敏捷性の伸びが良いようじゃしの。」
「そう。わかったわ。じゃあそれにするわ。」
おや、意外にも土御門さんの聞き分けが良い。
まあ、魔王は戦闘のスペシャリストだろうし言っていることが正論である。
特に反対する理由もないか。
「フウマの方はどうじゃ?それとお主は転移魔法にステータスポイントをいくつ使ったんじゃ?」
「ああ、俺は武術はなんもやったことないな。それと使ったポイントは確か2000くらいだ。」
「なんと、何もやったことがないのか?」
「ああ。俺達が住む世界は平和だからな。土御門さんみたいに武術の心得がある方が珍しいと思うぞ。」
「そうね。私はお家柄色々習っているだけだし、普通に生きていくだけならまず必要ないものだったものね。」
「なるほどのう。それならば魔法適正も高いようだし取り回しも楽な片手剣が良いかのう。」
「魔法適正が高いってなんでわかるんだ?」
「お主のステータスポイントの消費が少ないからじゃな。才能や適正があるものほど、習得の際に必要なポイントが少なくなるのじゃ。勿論ポイントを使わずに修行をして習得する際も短い時間できるぞ。確かなことは言えんがお主には妾と同等かそれ以上の魔法への才能がありそうじゃな。事実、転移魔法だけなら妾よりも格段に上の才能があると思うぞ。」
「さすが高音くんね!!」
土御門さんの中で俺の評価が高すぎる気がしなくもないが、魔王と同等の才能か。
これは鍛えていくのが楽しみだな。
「ん?魔法の才能があるならなんで杖とかじゃないんだ?」
「杖やワンドは魔法の発動を助けるものじゃ。魔法を極めれば極めるほど、必要なくなってくる。それならば初めから近接戦も鍛えて遠近両方で戦えるようにした方がいいじゃろうな。」
「なるほど、高音くんは魔法剣士になるって訳ね。最強だわ!」
「おお、夢が広がるな。」
店に入る前は槍とか使ってみたいと思っていたが。
良いじゃないか、魔法剣士。
なんかすごいかっこよさそうだ。
「まあ、器用貧乏にならんように修行は大変じゃがの。」
「頑張って高音くん!あなたならきっとできるわ!」
「ああ、まあ。頑張ってみるよ。」
「うむ。決まりじゃな。」
まじかよ。修行大変なのか。
いや、でも土御門さんが最強って言ってくれたし出来るだけやってみるか。
俺がそんな事を考えているとローズが座っているおっさんに声をかけた。
『この二人に鉄製の片手剣と両手剣を見繕って欲しい。出来るだけ癖がないものを頼む。』
『おう。少し待ってろ。』
おっさんが店を回りながら両手剣と片手剣を数本集めている。
俺たちのために選んでくれているようだ。
どうやら頑固オヤジって訳ではないらしい。
「ふふふ。楽しみね高音くん。」
「ああ、武器を持つなんて初めてだからな。なんかちょっと緊張してる。」
かくして待つこと暫し。
俺たちの目の前の机の上には数本の片手剣と両手剣が並んだ。
『こんなところだな。』
『うむ。すまんの。』
ドワーフのおっさんはローズに無愛想に何かいうと元の座っていた位置に戻っていった。
「ほれ、お主ら。手に持って確かめてみるがよい。」
「わかったわ。」「あいよ。」
おっさんが持って来てくれた片手剣は全部で三本ある。
俺は早速一番右にある片手剣を手に取り少し離れて振ってみる。
おお、結構重たいな。
剣ってこんなに重たいのか。
爺ちゃん家で持った薪割り用の小さい斧より重いぞ。
これは片手で降るには結構きついな。
ブンッ!!
俺が自分が持った片手剣を眺めていると土御門さんの方から風を切り裂く音が聴こえてきた。
剣道の形だろうか。
俺の素人目には流麗な剣術に見える。
「ううん。重心の位置が少し気になるけど、こんなもんかしらね。」
「ほへー土御門さん凄いな。」
「ほれ、お主も呆けてないでさっさと決めい。」
「ん。ああ。けれど俺にはどれも重たいんだよな。」
3本とも試してみたが俺の腕力は元の世界の時から変わっていないのでどれも等しく重く感じる。
「なに、どうせ鍛えるんじゃ。手に持ってみて一番馴染むのを選べばよい。」
「そうか。それならこれにするかな。」
俺はそう言って三本の中で一番細身の他よりも長い片刃の剣を手にとった。
「うむ。良いと思うぞ。お主は戦闘はからっきしのようじゃし少しでも長い方が安心するじゃろ。」
「あら、高音くんも決まったのね。私はこれにするわ。」
高音さんは両手剣の2択のうち、もう一本の方よりは短い方を選んだ。
「うむ。マイの方も選べたようじゃの。それじゃあ会計をするから少し待っとれ。」
ローズはそう言うとおっさんの下まで歩いて行った。
「土御門さんは短い方にしたんだな。」
「ええ、こっちの方が竹刀の長さに近かったからね。」
土御門さんがそう言って見せる剣は120センチちょいある両刃の剣だ。
「なるほどな。それにしても、さっきの形凄かったな。」
「あれくらい練習したらすぐ出来るようになるわ。」
「なあ、もう一回見せてくれよ。」
「ええ、良いわよ。」
俺はローズが会計をしている間土御門さんの演舞をじっと見ていた。
いや、まじかっこいいんだって。
それにセーラー服に両手剣ってなんかグッとくるんだよ。
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「あの二人が持っているものを頼む。」
「ああ、合わせて金貨8枚だ。」
「うむ。」
二人とも初めての武器に気分が高揚しておるようじゃ。
確かに妾も初めて得物を持った時は気分が高まった。
うむうむ。微笑ましいのう。
本当は武器の持つ力を教えねばならんが、今それを言うのは野暮じゃろう。
そのようなことは後々教えていけばよい。
妾がそう考えていると店主のドワーフから声がかかった。
「なあ、嬢ちゃん。フラム・レッドの弟子かなんかか?」
「む?どういうことじゃ?」
「いや、嬢ちゃんの立ち振る舞いが武人として洗練されたものだったからな。ここまでの奴は俺は今までフラム・レッド以外に見たことない。」
「ふむ。」
ほう。こやつもさすがじゃな。
妾の立ち振る舞いだけで実力を見抜くか。
腕は落ちてないようじゃの。
「悪い。変なこと言ったな。俺はフラム・レッドを見た事があるが、ブルっちまうほどの美人でこれぞ孤高って感じな人だった。嬢ちゃんみたいな可愛いやつがフラム・レッドと知り合いなわけねえか。」
「何、気にせんでよい。」
ふむ。こやつなかなか言うようになったではないか。
以前は妾に怯えておるだけのひよっこだと思っておったのじゃが。
おお、そうじゃった。
「のう、妾も一つ聞いてよいか?」
「ん?なんだ?」
「どうして外に看板も出しておらんのじゃ?」
「ああ、あまり客が来すぎても困るからな。俺は別に金儲けがしたいわけじゃなくて、武器を作りたいだけだからこのくらいが丁度いいんだ。」
「なるほどのう。実力がありすぎるのも考えものじゃな。」
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ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
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