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第1章 俺もチートキャラになりたいんですけど…
14話 準備
しおりを挟む「知らない天井だ。」
異世界生活三日目、俺は人生で一度は言ってみたいセリフを言って目を覚ました。
昨晩はミレイユさん達と別れた後、疲れていたため順番に風呂に入った後はすぐ寝てしまった。
それが理由か今日は割と早起きだ。
外はまだ少し暗く、早朝特有の青い空気をしている。
「さて、まだ皆は起きてないだろうしどうするかね。」
俺は風呂場で水をかぶり、顔を洗った後どう時間を潰すか考えていた。
一昨日の夜は風呂にも入れなかったため朝から体を拭えることがとても心地よく感じる。
「そうだな。素振りでもしてみるか。」
というわけで俺は静かに庭に出て素振りを始めることにした。
「うーん。振れなくはないがやっぱ重いな。」
一昨日見た土御門さんが倒した魔物を思い出しながら急所を狙うことをイメージして剣を振る。
手数よりも正確に急所を狙うことを意識したいな。
戦闘が長引けば魔物の攻撃もくらいやすくなる。
突き指より痛い怪我をしたことがない俺では痛みに耐えられなさそうだし短期決戦型の方が良いだろう。
「おはよう。朝から精が出るの。マイが朝食を用意しておる。風呂場で汗を落として食堂までこい。」
大分夢中になって剣を振るっていたようだ。いつの間にか朝日もしっかりと上り、汗だくになっていた。
「ああ、ありがとう。すぐいく。」
俺は鞘に剣を納め、ローズに投げ与えられたタオルで汗を吹きながら再び風呂場に向かった。
_______________________________________________
汗を流して食堂に辿りつくとパンの焼けた匂いとベーコンの香りが漂っていた。
「おはよう。土御門さん。朝ごはん用意して貰ちゃって悪いな。」
「おはよう高音くん。別に大したものは作ってないから気にしなくていいわ。」
「ほれ、いつまでも立ってないでさっさと座れ。」
「ああ、悪い。」
朝ごはんは昨日も食べた黒パンと、ベーコンと目玉焼き、それとサラダだ。
サラダにはオリーブオイルと塩コショウがかかっている。
シンプルだがうまそうな朝食だ。
食料も一週間分ぐらいは商人ギルドが用意してくれていた。
商人ギルド様々である。
もとはローズの金ではあるのだが。
「はい、それじゃあ。いただきます。」
「「いただきます。」」
朝から好きな女の子の手作り料理を食べれる。
なんて幸せなんだ。
うん、しっかりと美味い。
「それで今日はどうしようかしら?封魔結晶を探しに行く?」
「うむ。それなんじゃがどうも封魔結晶がダンジョンの中にありそうなんじゃ。」
「ダンジョンの中に?間違いじゃないのか?」
「うむ。昨日町中を歩いた感じからすると間違いないはずじゃ。」
「そうか。誰かが持ち込んだのか?」
「妾にもそこまでは分からぬ。じゃが、とりあえずは迷宮には潜ってみんと何とも言えんの。」
「別にそこまで深く考えなくても良いんじゃないかしら?ダンジョンにあるなら一石二鳥な訳だし、ないならないでまた探せば良いわ。」
「ふむ。それもそうじゃの。ではダンジョン攻略を取り敢えずするかの。レベルもあげんといかんしの。」
土御門さんのさっぱりした意見で俺たちの当分の方針が決まった。
「そうだな。俺もそれがいいと思うぞ。」
「では、防具などを買いに言ってから冒険者ギルドに寄って、ダンジョンに行くかの。」
_______________________________________________
朝食をとり家を出た後、俺達は防具から買いに行くことにした。
「ローズは防具屋も良いとこ知ってるのか?」
「いや、妾は特に攻撃を食らわんかったし防具の手入れも必要なかったからの。良い店も知らぬ。」
「あら、そうなの。それじゃあ商人ギルドに行ってみるのはどうかしら?昨日防具も扱っているのを見たわ。」
「なるほど、良いんじゃないか?それなら他の物も手に入るだろ。」
「うむ。そうじゃの、それでは商人ギルドに行ってみるか。」
商人ギルドは昨日と変わらず沢山の人がいた。
俺達が中に入ると俺達に気づいた受付のお兄さん改め、ジェイさんが近づいてきた。
昨晩ローズが名前を教えてくれた
『ようこそいらっしゃいました。ミレン様。本日はどういった御用件でしょうか?』
『うむ。三人分の防具とダンジョンに潜るための道具を用意してもらいたい。防具は初心者向けの皮鎧、道具は短期間の分でたのむ。』
『かしこまりました。予算等はございますが?』
『いや、特に要望はないが道具は標準のものでたのむ。こやつらがあまりよい道具に使いなれても困るからの。』
『かしこまりました。すぐに準備いたしますので、少々お待ちください。』
『うむ。よろしく頼んだぞ。』
ジェイさんが去った後、俺達は別のギルド職員さんに案内されて昨日と同じ談話室に入った。
ローズが話している間に他の人々を見ていたが、商人ギルドはそこそこの大きさの商談をする場所のようで実際に商品を売り買いをしている人はあまりいなかった。
今回の俺達は買うものが多かったので談話室に通されたのだろう。
「防具ってどんなのが良いんだ?」
「お主らの戦闘スタイル的に軽いものじゃな。弱点に高い火力で打ち込むイメージじゃの。」
良かった。
俺の朝の素振りはどうやら無駄ではなかったらしい。
「なるほど。それじゃあいずれ私は疾風の剣姫と呼ばれるのね。楽しみだわ。」
土御門さんは剣姫を目指すらしい。
俺は暗殺者やエージェントのようなスタイルを目指したい。
かっこいいよな。あれ。
隠密スキルとか覚えられるだろうか?気配を消すことを意識して生活してみよう。
「なんじゃ?自分の二つ名を考えたのか?」
「ええそうよ。かっこいいでしょう!?」
「ローズは二つ名とかあったのか?」
「うむ。妾は完全無欠と呼ばれておったの。」
「なんていうか、ローズっぽくないな。」
「そうね。」
「な、なんじゃと!?」
腰をあげて抗議の声を漏らすローズ。
いや、だってシャーロットさんに可愛がられて涙目になってたし、完全無欠っぽくはないよな。
仕返しされたら怖いから言わないけど。
「そうだな。今は差し詰め小さな賢者ってところじゃないか?」
「そうね。ローズちゃん物知りだしぴったりだわ。」
「ほほう。そうか?妾が賢者か。うむ。なかなかよいではないか!」
ふう。なんとか誤魔化せたか。
なんだかんだ誉められるとちょろいよな。
俺がそう油断しているとローズが穏やかな顔で口を開いた。
「お主らにつけてもらった二つ名じゃ。大事にせんとな。」
こういうこと言う時は凄い大人っぽい顔するんだよな。
なんだかむず痒い。
そんな感じで二つ名談義をしているとジェイさんと数人の職員さんが黒い皮の鎧や鎧下などの防具とリュックを持って部屋に入ってきた。
『お待たせ致しました、皆様。防具とその他道具をお持ち致しました。』
『うむ、すまんの。助かったぞ。』
『皮鎧は第18階層のブラックオークのものです。初心者用からは少し外れますが、皆様のような深い階層を目指す方なら長くお使い頂けると思います。』
『ほう、それはなかなか良いの。着てみてもよいか?』
『はい。どうぞお試しください。』
ローズ曰く試着しても良いそうなので、俺と土御門さんは手こずりもしたがなんとか皮製の鎧を着てみた。
皮鎧は上半身部分とひじ、膝のプロテクターのようなもので一セットになっており、動き安い構造をしている。
着てみた感じ、少しズシッときたが防御力がありそうな安心感のある重みだ。
「へー。なかなかいい感じの鎧ね。」
土御門さんがそう言いながら部屋に備え付けられていた姿見の前でくるくる回っている。
朝ごはんの時部屋着を来ていたが、今は長袖のシャツと厚手の黒いタイツにホットパンツを履き、長い髪は一つにくくられてお団子にされている。
ローズも同じ格好をしているので二人で決めた格好なのだろう。
スポーティーな女子二人だ。
「うむ。なかなか軽くて良い皮鎧じゃな。フウマはどうじゃ?」
「ああ。俺も問題ないな。結構いい感じだ。」
「そうか。それではこれを買うことにするかの。」
こうして俺達は鎧を試着した後、リュックの中もそのまま確認した。
リュックは小さめのもので冒険の邪魔にならないようになっており、ロープや包帯などの必要そうなものが入っていた。
俺達はそれぞれの分に不備がないか確認した後、ジェイさんにお礼を言って商人ギルドを後にした。
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