クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

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第2章 やっぱり俺の仲間が優秀なんですけど…

18話 初めての共闘

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「さて、マイムの方はどうかね…って後3人か。」

 俺とシルビアさんの方がひと段落付いたので舞の方に顔を向けてみると舞の前に立っている冒険者は既に3人しかいなかった。

「すげぇ。あの子何人も吹っ飛ばしたのももちろんすげぇが、Bランク2人とCランク1人を一気に相手してやがる。」
「ええ。それにまだまだ余裕があるみたいだわ。」

 舞の戦闘を見ていたらしき冒険者と職員がそんな感想を漏らしていた。
 舞ばっかり活躍してずるいし、俺も戦おっと。
 そう考えた俺は舞の真後ろへ剣を構えて背中合わせに転移した。

「折角だし手伝わせてくれ。」
「あら、フーマくんと共闘できるなんて最高だわ。」
「足は引っ張らない様にするからよろしく頼む!」
「ええ、任せてちょうだい。それじゃあ行くわよ!」

 こうして俺と舞の初めての共闘が幕を開けた。

 相手は3人。
 俺が現れたのを見て舞の横に立っていた二人の男が俺の正面寄りに少し体をずらした。
 ローズのアドバイスを思い出せ。
 視野を広く保って敵の動きを見逃すな。

 俺の右前に立つのは剣と盾を持ったオーソドックスな前衛風の男。
 俺が転移魔法を使って現れても動揺せずに武器を構えて隙を伺っている。
 それなりにできる奴なのだろう。

 二人目は槍を持った大柄な男。
 飄々とした笑みを浮かべつつ舌なめずりをしている。
 獲物を前に舌なめずりは三流のする事らしいが、こういう奴はどんなからめ手を使ってくるか想像しづらい。
 こいつからは注意をそらさない方が良いだろう。

 3人目は舞の正面に立っている両手剣を持った男だ。
 今は舞を間を挟んで俺は背を向けているためどう動くかは分からないが、舞と同じスタイルで戦うのをついさっき確認した。
 こういう正統派が一番強かったりするんだよな。

 俺が短時間で敵の情報を確認し終わったその時、舞が正面に立つ男に斬りかかるところから戦闘が始まった。
 そう簡単に舞が負けるとは思えないし、後ろは任せておけば心配はない。
 俺は2人を抑える事だけを意識しよう。

「ファイアーボール!」
「なに!?」

 俺はまず剣と盾を持つ男に向かって俺特有の、詠唱時間の短さの割にはかなり大きいファイアーボールを放った。
 男はファイアーボールを盾で防ぐが、爆炎と盾によって視界を遮られている。
 俺はその隙をついて槍を持つ男の真後ろに向かって転移し、槍の石突を掴みながら剣を振り下ろした。
 完全に格上の相手だという事は判っているので剣術スキルを使うことも忘れない。

 槍を持った男はまさか自分の方へ攻撃を仕掛けて来るとは思わなかったのか、反応が少し遅れて俺に背中を斬りつけられた。
 ただ、それでもわずかに攻撃を避けようとしたためか致命傷には至らない。

「まあ、それでも十分なんだけどな。」

 俺は男の槍を持って再び舞の背後に戻った。

「お前!何をした!」

 槍を奪われた男が俺が槍を持っているのを見てそう叫ぶ。

「何ってお前が槍を持つ手を緩めたから奪っただけだぞ?なんだっけ、無刀取りの槍バージョンだから無槍取りか?」
「ふざけるな!」

 勿論俺がそんな高尚な技が使える訳もなくただの転移魔法だ。
 本来、転移魔法で跳ぶ時に俺が触れているものも一緒に転移できるが、何か別の物に密着している場合は一緒に跳ぶことができない。
 しかし、今俺の前に立つこの男は俺の攻撃を石突を掴まれた状態で避けようとしたことと、背中への衝撃により槍を持つ手を緩めていた。
 まぁ、その状態だったら奪うよね。普通。

「さて、この槍は先生が没収します。」
「そうね。校則違反はいけないわ。」

 俺がそう言いながらアイテムボックスに男から奪った槍をしまっていると、舞が俺の横に並んでそう言った。
 あ、もう一人倒し終わったんですか。
 流石っすね。

「くそっ!出し惜しみは無しだ!」

 槍を取られた男が懐から悪魔の祝福と薄っすらと光る短剣を取り出して、口に悪魔の祝福を放り込みながら俺の事を睨みつける。
 剣と盾を持った男も腰につけていたポーチから悪魔の祝福を取り出して飲んでいた。

「マイム。あれ多分魔剣だ。効果も分らないから振る前に倒すぞ。盾持ってるやつはこの際後回しでも構わない。」
「ええ。わかったわ!」

 舞がそう返事をした直後、短剣を持った元槍使いの男の腕が飛んでいた。
 しかし男は痛みを感じていないのかそのまま残った拳を舞に向かって振りかぶる。

「背中ががら空き。」

 俺は片腕を無くした男の真後ろに転移して再び背中を斬りつけた。
 男はハイになっていて今度は俺の攻撃に気づかなかったのか、俺の攻撃を避けようともせずに受けてそのまま倒れた。
 舞がいなくなった時には男の背後に跳んでおいて正解だったな。

「おい、見えてるぞ。」

 俺は舞の手首を軽く掴み、舞の背後に忍び寄っていた盾と剣を持つ男の背後に二人揃って転移した。
 そして、俺が舞の手首をぱっと離すと舞はそのまま剣で斜めに斬り上げて盾と剣を使う男を吹っ飛ばした。

「安心しなさい。刃打ちよ。」
「それって、峰でやんないと意味ないんじゃね?」

 俺はそう言葉を漏らしながら床に落ちていた男の片腕から光る短剣を回収してアイテムボックスに入れて、ついでに立ち上がろうとしていた元槍使いの頭を剣で殴って今度こそ確実に気絶させておいた。
 多分、魔剣ゲットだぜ!

「そんなことないわ。引き斬ってないから死んではいないはずよ。まぁ、流石に気絶させるつもりで攻撃したんだけど…なんで立てるのかしら?」
「悪魔の祝福で痛みを感じにくいんだろ。」

 俺と舞がそう言いながら吹っ飛ばされた男を眺めていると、吹っ飛ばされた男が悪魔の祝福を追加で飲みながらゆらゆらと立ち上がって剣を両手で構えた。
 盾は地面に転がったままだし防御は捨てたのかもしれない。
 男が目を血走らせて俺達を睨みながら声を上げた。

「グフッ!。殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロス、コロスゥ!!」

 男がそう言って剣を振りかぶったかと思った瞬間、いつの間にか舞と鍔迫り合いをしていた。

「あ、危なかったわ。見切りを覚えていなかったらやられていたかも。」

 舞は男の剣を上手くいなして距離をとるとそう声を漏らした。

「縮地か。」
「ええ、どうやらそのようね。」

 俺と舞は油断なく剣を構えながら最後の一人を相手に集中を深める。
 俺ではこいつの動きは全く見えなかった。
 先手を取らないと間違いなくやられる。
 だが、転移前と転移後の僅かな隙に飛び込むだけのスピードが相手にはある為迂闊には動けない。

 舞も俺に気を配って自由に動けないし、手詰まりか。
 そう考えていたその時、視界の隅で俺の頼りになる仲間が動き出したのが見えた。
 それに気づいた俺と舞は互いに示し合わせるでもなく決着に向けて動き始める。

 先ずは俺が手を挙げて魔法を唱えた。

「ファイアーボール!」

 俺が手を挙げ始めた瞬間には俺の目の前に迫っていた男の攻撃を舞が受け止め、俺の魔法は舞の頭の横を通って男の顔面に直撃する。
 流石に顔面を焼かれるのは堪えるのか思わず距離を取ろうとしたが、もう遅い。

「やっちまえ!」

 俺は男の後ろに走り込んで剣を振りかぶっていたシルビアさんに向かって声を張り上げた。

「でりゃぁぁぁ!!!」

 シルビアさんの気迫十分の会心の一撃が吸い込まれるかの様に男の脳天を打ち抜く。
 視界を炎に遮られていた男は避けることができずに、シルビアさんの攻撃をしっかりくらって今度こそ倒れ伏した。

 男がもう立ち上がらないの確認してから俺と舞は武器を持っている右手を同時に挙げる。
 シルビアさんも俺達のその様子を見て、少し遅れて右手を挙げた。

「「「「う、うおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 そして冒険者ギルドの真ん中でそうして佇む俺達を見て、僅かな沈黙の後、冒険者ギルドは大歓声に包まれた。

「すげぇよ!あんな戦い初めて見た!」
「Eランク3人で、Bランクも数人いるやつらを全員倒しちまった!」
「なぁ、あの両手剣を持った嬢ちゃん凄かったな!縮地を初見で止めたみたいだったぞ!」
「馬鹿野郎!それを言うならあの小僧の方だ。あいつの移動が全く見えなかった。まるで転移魔法を使ってるみたいだったぜ!」

 俺達の一部始終を見守ってくれていた冒険者やギルド職員達が口々に俺達を称賛してくれる。

「ああ、最高ね。とてもいい気分だわ!」

 舞が満面の笑みで俺とシルビアさんを見てそう言った。

「そうだな。こいつは癖になりそうだ。」
「ええ。とても清々しい気持ちです。」

 俺とシルビアさんもそう言って3人で笑い合った。

「それにしても、お二人の連携はすごかったですね。まるで何年も共に戦ってきたパートナーみたいでした。」
「ふふん!そうよ、何せ私とフーマくんは心の深い所で通じ合っているソウルメイトですもの!」

 舞がそう言ってドヤ顔で胸を張った。
 舞が俺の転移魔法を見慣れていたのもあるだろうが、最後の局面は初めての試みにも関わらずよくぶっつけ本番で互いの息を合わせられたなと今更ながらに思う。

「そうだな。ってそれよりもシルビアさんの最後の攻撃は中々凄かったぞ!」
「ありがとうございます。フーマ様達の戦いを見ていたらいつの間にか身体が動いていたんです。」
「私達だけでは手詰まりだったから本当に助かったわ。ありがとうシルビアさん!」

 実際舞が一人で戦っていたら特に問題なく決着が付いていた気がしなくもないが、結果的に勝てた訳だしまぁ良いだろ。
 愛と正義と友情の勝利なのだ。
 俺達がそんな感じで笑いながら話しているとミレイユさんが俺達の元へ笑顔でやってきた。

「皆さんお疲れ様でした。人的被害はほぼ無いですし、作戦成功ですね!」
「ふふふ。ありがとうミレイユさん!」
「ひゃっ、ひゃうぅ!?」

 舞が俺達を労ってくれたミレイユさんに抱きついて耳をモフり始めた。
 確かにミレイユさんの言う通り人的被害は無いようで、伸びている悪魔の叡智のメンバーはガンビルドさんが次々と縛りあげている。
 ここは一件落着という事で良いだろう。

「さて、それじゃあ俺達は一旦帰るわ。まだやる事があるしな。」
「そうね。私達の戦いはこれからよ!」

 舞がミレイユさんに抱きしめたまま片手を挙げて打ち切り漫画の最終回みたいなセリフを言った。
 俺達はこれからソレイドにいる悪魔の叡智のボスを倒しに行かなくてはならない。
 もしかすると黒幕は次々と悪魔の叡智のメンバーが捕まっている事を既に知っていて逃げ初めている可能性もあるし、早く居場所を掴んで俺達も動き始める必要があるだろう。

「そうですか。私は事態の収拾の為にここでやる事があるので力になれませんが、頑張ってくださいね!」

 ミレイユさんの応援を受けた俺達は縛られているゲードをガンビルドさんから借りてきて、転移魔法で家に帰った。
 家ではローズとボタンさんが待っているだろうし、早く帰って俺達の完全勝利を報告しに行こう。
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