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転移者の苦悩

助けてもらいました。

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「う、暫く寝ていたか・・」
どのくらい寝ていたのだろう。俺は起き上がった。
ん?布団?確か俺は道の真ん中で倒れて意識を失ったはずだが・・・。
「えっ!?ここどこ?」
俺は何故だか家の中にいた。もちろん、自分の家ではない。
「あっ、目が覚めたみたいですね。」
若い女の人がちょうど部屋の中に入ってきた。
「あのーここは?」
「あ、ここは私の家。道端で倒れてたから危ないと思ってね。」
「わざわざありがとうございます。」
見ず知らずの人が倒れていたらわざわざ家まで連れて帰ってくれるとは・・いい人なんだな。

「ところで君はどこの生まれ?あんまり見ない髪色だし。」
詳しく聞いたところ、黒髪というのは珍しいらしい。
「自分、田舎の生まれでして。村を出たんですが迷って倒れちゃったらしいです。」
そう誤魔化すと彼女は信じてくれたようだ。
「そうなんだ~。まぁ、少しの間ならゆっくりしてってよ。私の名前はエリ、あなたは?」
「俺はタカフミ。よろしくお願いします。」
「まぁ、そんなかしこまらなくていいからさ。仲良くやっていこうよタカフミ。」
いきなり馴れ馴れしく呼んでくるので何か身構えてしまう。だが、彼女からはそんな悪意らしきものは感じなかった。
その日は異世界初の食事にありつけた。
味としては普通に美味しかった。

翌日から俺は彼女の手伝いをすることになった。と言っても畑仕事みたいなものだが。それにしても・・。
「フゥ~疲れた~。」
疲れるのだ!彼女はまだ余力が残っているように見える。
「お疲れ様、そんなんで疲れてたらまだまだだよ。」
「ごめんごめん、まだ慣れてなくてね。」
そう言った後、俺はあることが気になった。
「そう言えばここって冒険者ギルドってあるのか?もしあったら入ってみたいんだけど。」
異世界って言ったら冒険者ギルドだ!っという俺の個人的な考えなのだが。
「ん~あるけど。特に仕事はしてないね。私も一応入ってるよ。」
そう言って彼女はカードを見せた。
「へぇ~これが冒険者カードか。」
「これがあれば身分証明書にもなるしタカフミも入ってみたら。」

その後もいろいろと説明を聞いていたがやはりかなりの利点があるらしい。
「良かったら私のパーティーにでも入る?」
「えっ!パーティー組んでんの!?」
「そんな驚かなくても・・。一応5人構成だけど。ヒーラーがいないのよね。良かったらヒーラーやってくれない?」
むむむ・・戦闘系もやってみたいが・・ヒーラーも悪くはなさそうだしな。
「分かった、じゃあさっさと登録してくるね。」
そう言って走り出そうとした俺をエリは止めた。
「まずはこの仕事を終わらせようか?」
怖いです・・エリさん・・。
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