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第零章 プロローグ
第1話 さようなら地球、また会う日まで
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「世界一に俺はなる!」と行動指針を定めるまでの俺の人生は絶望そのものだった。
今だからこそ言えるが、俺の前世は不幸だった。
もっと不幸な人もいるし、誰が一番とか競える話ではないので、どれくらい不幸だったかを表現することは難しい。
もちろん、生まれた時からずっと不幸だったとは言わないが、不幸である時間が濃すぎて、幸せである時間を相殺してしまっている。
この世で一番不幸だなんて言う気はない。
でも、はっきり言える。
当時は、毎日、死ぬことだけを考えていた。
人生を終わらせることが最も幸せと考えるくらいには不幸だった。
まさか、こんなアディッショナルタイムがあるなんて考えてもいなかった。
☆
その日、俺は長年患っている心の病を治すため、精神科の病院へ向かっていた。
通院は電車でしていたため、予約時間通りに病院へ行けるように通勤ラッシュ時に駅のホームに立っていた。
乗り換えのための都市部の駅であったため、かなりの人口密度だった。
「・・・死にたい」
厨二病というわけではない。
心の病、うつ病だ。
本当に死にたい。
ただ、人が多いというだけで。
仕事に行く人を見ているだけで。
俺は、仕事を休職して「2週に1回通院しているだけマン」となっていた。
おそらく、休職明けは、職場の人間に白い目で見られ、それが嫌になり、また休職するというサイクルを繰り返すであろうことは目に見えている。
仕事は教員だ。小学校の先生だ。
いつもは「頑張りなさい」という立場の人間が頑張っていない。
年齢は42歳だ。いい年こいたオッサンだ。
妻もいる。子どもは2人だ。小4と小6だ。
2人とも中学受験をするらしい。
一見幸せそうだが、そうではない。
小学生は基本バカだ。
プロが言っているんだから間違いない。
どうバカかというと、相手の気持ちを押しはかることのできない子が大半だ。
もちろん、子ども同士ではうまくやっている子が大半だが、それが、家族相手となると、遠慮がなくなる。
子どもに病気のことはカミングアウトしていない。
妻と相談して決めた。
どうやら、子どもたちは「パパはよくわからんけど、病気で仕事を休んでる」という認識らしい。
無遠慮にモノを言われるたびに病状は悪化する。
妻は、大事なことは自分で決めない主義の人間だ。
精神障害者である俺に色々な選択を迫ってくる。
先を見通した視点での意見を求めてくる。
今にも死にたいと考えている俺に…。
「・・・死にたい」
2回目の「死にたい」を聞いて隣に並んでいる女性がギョっとした顔でこちらを見てくる。死にたい…。
そうこうしていると、電車が通過するというアナウンスが流れた。
俺はこのアナウンスをいつもドキドキしながら聞いている。
別にアナウンスの声に惚れているわけではない。
飛び込むかどうか、いつも迷うからだ。
でも、いつも飛び込めない。
痛いのが嫌だ。ぐちゃぐちゃになるのが嫌だ。
死にたいが、死ぬのは怖い。
怖いことはしたくない。
そして、死にたいのに死ねない、何かするわけでもない「病院へ行くだけマン」が誕生した。
すると、電車が見え出した。
いつも、飛び込むタイミングだけは練習している。
飛び込む勇気はないが…。
3・2・1・今だ。
しかし、今回も飛び込むことは出来なさそうだ。
誰か背中を押してくれたらいいのに、なんて考えていた時。
ドンッ!!
後ろから、背中を押された。絶妙のタイミング。
押した人わかってるね!!
って、考えながらも落ちていく。
迫る電車。
鳴る警笛。
騒ぐ人々。
痛いの嫌だな。
ぐちゃぐちゃになるのかな。
家族は悲しむだろうな。
でも、やっと死ねたな。
背中押してくれた人、ありがとう。
殺人だけど、罪に問わないであげて。
あれ?でも、そんな恨まれるようなことはしてないような。
恨まれるほど他人との関わりがなかったような。
キキィーー。ドンッ。グチャ。
こうして山下修ヤマシタシュウの人生は終わった。
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
ここまで読んでくれてありがとうございます。
感想はお気軽にどうぞ。
よかったら、しおりをつけてくれると嬉しいな♪
下の画像は次回以降のイメージ画像です。
今だからこそ言えるが、俺の前世は不幸だった。
もっと不幸な人もいるし、誰が一番とか競える話ではないので、どれくらい不幸だったかを表現することは難しい。
もちろん、生まれた時からずっと不幸だったとは言わないが、不幸である時間が濃すぎて、幸せである時間を相殺してしまっている。
この世で一番不幸だなんて言う気はない。
でも、はっきり言える。
当時は、毎日、死ぬことだけを考えていた。
人生を終わらせることが最も幸せと考えるくらいには不幸だった。
まさか、こんなアディッショナルタイムがあるなんて考えてもいなかった。
☆
その日、俺は長年患っている心の病を治すため、精神科の病院へ向かっていた。
通院は電車でしていたため、予約時間通りに病院へ行けるように通勤ラッシュ時に駅のホームに立っていた。
乗り換えのための都市部の駅であったため、かなりの人口密度だった。
「・・・死にたい」
厨二病というわけではない。
心の病、うつ病だ。
本当に死にたい。
ただ、人が多いというだけで。
仕事に行く人を見ているだけで。
俺は、仕事を休職して「2週に1回通院しているだけマン」となっていた。
おそらく、休職明けは、職場の人間に白い目で見られ、それが嫌になり、また休職するというサイクルを繰り返すであろうことは目に見えている。
仕事は教員だ。小学校の先生だ。
いつもは「頑張りなさい」という立場の人間が頑張っていない。
年齢は42歳だ。いい年こいたオッサンだ。
妻もいる。子どもは2人だ。小4と小6だ。
2人とも中学受験をするらしい。
一見幸せそうだが、そうではない。
小学生は基本バカだ。
プロが言っているんだから間違いない。
どうバカかというと、相手の気持ちを押しはかることのできない子が大半だ。
もちろん、子ども同士ではうまくやっている子が大半だが、それが、家族相手となると、遠慮がなくなる。
子どもに病気のことはカミングアウトしていない。
妻と相談して決めた。
どうやら、子どもたちは「パパはよくわからんけど、病気で仕事を休んでる」という認識らしい。
無遠慮にモノを言われるたびに病状は悪化する。
妻は、大事なことは自分で決めない主義の人間だ。
精神障害者である俺に色々な選択を迫ってくる。
先を見通した視点での意見を求めてくる。
今にも死にたいと考えている俺に…。
「・・・死にたい」
2回目の「死にたい」を聞いて隣に並んでいる女性がギョっとした顔でこちらを見てくる。死にたい…。
そうこうしていると、電車が通過するというアナウンスが流れた。
俺はこのアナウンスをいつもドキドキしながら聞いている。
別にアナウンスの声に惚れているわけではない。
飛び込むかどうか、いつも迷うからだ。
でも、いつも飛び込めない。
痛いのが嫌だ。ぐちゃぐちゃになるのが嫌だ。
死にたいが、死ぬのは怖い。
怖いことはしたくない。
そして、死にたいのに死ねない、何かするわけでもない「病院へ行くだけマン」が誕生した。
すると、電車が見え出した。
いつも、飛び込むタイミングだけは練習している。
飛び込む勇気はないが…。
3・2・1・今だ。
しかし、今回も飛び込むことは出来なさそうだ。
誰か背中を押してくれたらいいのに、なんて考えていた時。
ドンッ!!
後ろから、背中を押された。絶妙のタイミング。
押した人わかってるね!!
って、考えながらも落ちていく。
迫る電車。
鳴る警笛。
騒ぐ人々。
痛いの嫌だな。
ぐちゃぐちゃになるのかな。
家族は悲しむだろうな。
でも、やっと死ねたな。
背中押してくれた人、ありがとう。
殺人だけど、罪に問わないであげて。
あれ?でも、そんな恨まれるようなことはしてないような。
恨まれるほど他人との関わりがなかったような。
キキィーー。ドンッ。グチャ。
こうして山下修ヤマシタシュウの人生は終わった。
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
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