世界一になるって決めた!〜お隣の似た宇宙に転生してました〜

ahootaa

文字の大きさ
1 / 76
第零章 プロローグ

第1話 さようなら地球、また会う日まで

しおりを挟む
 「世界一に俺はなる!」と行動指針を定めるまでの俺の人生は絶望そのものだった。

 今だからこそ言えるが、俺の前世は不幸だった。
 もっと不幸な人もいるし、誰が一番とか競える話ではないので、どれくらい不幸だったかを表現することは難しい。
 もちろん、生まれた時からずっと不幸だったとは言わないが、不幸である時間が濃すぎて、幸せである時間を相殺してしまっている。
 この世で一番不幸だなんて言う気はない。
 でも、はっきり言える。

 当時は、毎日、死ぬことだけを考えていた。
 人生を終わらせることが最も幸せと考えるくらいには不幸だった。

 まさか、こんなアディッショナルタイムがあるなんて考えてもいなかった。

  ☆

 その日、俺は長年患っている心の病を治すため、精神科の病院へ向かっていた。
 通院は電車でしていたため、予約時間通りに病院へ行けるように通勤ラッシュ時に駅のホームに立っていた。
 乗り換えのための都市部の駅であったため、かなりの人口密度だった。

「・・・死にたい」

 厨二病というわけではない。
 心の病、うつ病だ。
 本当に死にたい。
 ただ、人が多いというだけで。
 仕事に行く人を見ているだけで。

 俺は、仕事を休職して「2週に1回通院しているだけマン」となっていた。

 おそらく、休職明けは、職場の人間に白い目で見られ、それが嫌になり、また休職するというサイクルを繰り返すであろうことは目に見えている。

 仕事は教員だ。小学校の先生だ。
いつもは「頑張りなさい」という立場の人間が頑張っていない。

 年齢は42歳だ。いい年こいたオッサンだ。
 妻もいる。子どもは2人だ。小4と小6だ。
 2人とも中学受験をするらしい。
 一見幸せそうだが、そうではない。

 小学生は基本バカだ。

 プロが言っているんだから間違いない。
 どうバカかというと、相手の気持ちを押しはかることのできない子が大半だ。
 もちろん、子ども同士ではうまくやっている子が大半だが、それが、家族相手となると、遠慮がなくなる。
 子どもに病気のことはカミングアウトしていない。

 妻と相談して決めた。
 どうやら、子どもたちは「パパはよくわからんけど、病気で仕事を休んでる」という認識らしい。
 無遠慮にモノを言われるたびに病状は悪化する。

 妻は、大事なことは自分で決めない主義の人間だ。
 精神障害者である俺に色々な選択を迫ってくる。
 先を見通した視点での意見を求めてくる。
 今にも死にたいと考えている俺に…。

「・・・死にたい」

 2回目の「死にたい」を聞いて隣に並んでいる女性がギョっとした顔でこちらを見てくる。死にたい…。

 そうこうしていると、電車が通過するというアナウンスが流れた。
 俺はこのアナウンスをいつもドキドキしながら聞いている。
 別にアナウンスの声に惚れているわけではない。
 飛び込むかどうか、いつも迷うからだ。

 でも、いつも飛び込めない。
 痛いのが嫌だ。ぐちゃぐちゃになるのが嫌だ。
 死にたいが、死ぬのは怖い。
 怖いことはしたくない。

 そして、死にたいのに死ねない、何かするわけでもない「病院へ行くだけマン」が誕生した。

 すると、電車が見え出した。
 いつも、飛び込むタイミングだけは練習している。
 飛び込む勇気はないが…。

 3・2・1・今だ。

 しかし、今回も飛び込むことは出来なさそうだ。
 誰か背中を押してくれたらいいのに、なんて考えていた時。

 ドンッ!!

 後ろから、背中を押された。絶妙のタイミング。
 押した人わかってるね!!
 って、考えながらも落ちていく。
 迫る電車。
 鳴る警笛。
 騒ぐ人々。
 痛いの嫌だな。
 ぐちゃぐちゃになるのかな。
 家族は悲しむだろうな。
 でも、やっと死ねたな。
 背中押してくれた人、ありがとう。
 殺人だけど、罪に問わないであげて。
 あれ?でも、そんな恨まれるようなことはしてないような。
 恨まれるほど他人との関わりがなかったような。

 キキィーー。ドンッ。グチャ。

 こうして山下修ヤマシタシュウの人生は終わった。


ーーーーーーーーーーーー

あとがき

ここまで読んでくれてありがとうございます。

感想はお気軽にどうぞ。

よかったら、しおりをつけてくれると嬉しいな♪

下の画像は次回以降のイメージ画像です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...