僕はヒーローになった

Spooky K

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僕はヒーローになった

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ある日、夢を見た。
僕は真っ暗な空間にいて、目の前の空間に白く光る文字が浮かび上がってきた。
ああ、これは夢だ。
すぐにそれと分かるくらい、現実味の無い世界。
僕は白い文字を読む。

"貴方の過去の妄想は具現化し、具現化した妄想は人々を襲う。
其れを止められるのは貴方のみ。
警察も、軍隊も、はたまた正義感の強い一般人であれ、其れを止める事はできない。
貴方はヒーローになりたかった。
貴方はヒーローになった。
貴方はヒーローにならなければならない"

なんだこれ、うさんくせー。
僕はなんの面白みもないこの夢に、ものの五分もせずに飽きていた。
目の前の白い文字は徐々に薄くなっていき、そしてそれが消えるやいなや、僕は夢から覚めた。

暗い天井。
そしてカーテンの隙間から見える空はまだ薄暗い。
後4時間。
僕が本来起きなければならない時間まで、まだ映画ニ本分くらいはある。
僕の頭にはまだ、さっき見た奇妙な夢の事が残っていた。
僕はベッドからもそもそと這い出てキッチンに向かい、換気扇のスイッチを"強"にしてから煙草に火をつけた。本当は極力部屋では吸いたくないのだが、なんせ冬のベランダは"超"がつくほど寒い。
なるべく煙が換気扇に直接吸い込まれるよう気をつけながら煙草を吸う。
退去時の銭はなるべく安く抑えたいのだ。

煙草をもみ消した僕は再びベッドへともどり、携帯でニュースをチェックしたりYouTubeでプロレスを見たりして時間を潰した。

午前9時。
支度を済ませた僕は車のキーを手に取り、リュック片手に家をでた。
毎週日曜日は10時から英会話スクールに通っている。
成果はさっぱりだがまあ何もしないよりはマシだろうと思い、かれこれ半年くらい通っている。

車に乗り込みエンジンをかけて、お気に入りの曲を流しながら隣町にある英会話スクールへと向かう。
いつも通りの日曜日。
リュックの中にはトレーニングウェアと英会話の教科書、そしてプロテイン。
ここ最近の僕の日曜日は、英会話スクールに行ってジムに行くのが恒例なのだ。
彼女?もちろんそんなものいない。

9:30
僕はいつもより少し早く目的地に着いた。
いつもは大体50分に着く。
駅前のコインパーキングに車を停め、自販機でコーヒーを買って煙草を吸う。
街には沢山の人がいて、皆楽しそうに何処かへ歩いていく。
まだ時間はあるし、コンビニに寄るか。
そう思い煙草を消して歩き出す。
そしてそれは起こった。
うつむきがちで歩く僕のはるか前方から聞こえる女性の悲鳴。
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