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1.不安
しおりを挟む私には13歳の時に婚約した人が居る。
もちろん親同士が決めたものだ。
2歳、歳上らしい。
それから3年、未だに顔もよく分からない。
幼い頃に会ったきりで、会う機会が無かったのだ。
黒髪で金色に近い瞳が綺麗な男の子だったような記憶はあるが、正直あやふやである。
そんな状況でも、今私が16歳、彼が18歳で、1年後には結婚する予定だ。
アルベール公爵家の次女の私ベルナは、双子の兄姉と歳が8歳も離れた末っ子なので、家族に溺愛されて育った。
13歳での婚約も、兄カイロと姉シエルが猛反対していた位だ。
「お父様!ベルナの婚約はまだまだ早過ぎますわ!!」
「そうだ!父上や母上に何かあっても、小公爵の僕や侯爵夫人のシエルが居るんだから!!」
カイロ兄様とシエル姉様は結婚しており、お互い二男二女の父であり母なのである。
兄姉の家柄がしっかりしているので、私の心配は要らないと言いたいのだろう。
実際、結婚しなくても兄姉ならば私を養ってくれそうだ。
「しかし、たまたまお前達に良いご縁があったからと言って、ベルナにも同じようなご縁があるとは限らないだろう?父さんや母さんもベルナが心配なんだから。その点、あの子は大丈夫だと思うのだが…」
あの子とは、婚約者となったハインミュラー侯爵家の一人息子ルディガーのことだ。
私の両親ノーランとナタリー、ハインミュラー侯爵家のエドガー様やアマンダ夫人の4人は旧知の仲である為、お父様はその子どもなら大丈夫という刷り込みがあるのは仕方ない。
ただ、領地が離れている為、私とルディガーは滅多に会う機会がなく今に至る。
しかし、この春からルディガーが首都に来て、皇宮で皇太子の側近として働くこととなったので、そろそろ婚約式を取り行おうという話になったらしい。
「10日後にハインミュラー侯爵夫妻とルディガー殿を我が家にお迎えして、小ぢんまりと身内だけの婚約式をするから。」
お父様とお母様の中では決定事項だ。
3年も経ち、ルディガーの仕事振りや評判を聞いて、兄姉も今は反対していない。
寧ろ「なかなか良い青年みたいだ」と言うほどだ。
肝心の私は、相変わらずピンときていない。
兄姉にがっつりガードされて育ったので、男性と話す機会すらあまり無かった。
そんなんで婚約なんて大丈夫だろうか。
不安でいっぱいのまま、当日を迎えることとなった。
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