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3.何だかんだ許してしまう妻
翌朝、目が覚めるとグレンの腕の中に居た。
しかも、私の下半身はぐちょぐちょになっていた。
一回や二回では、こうはならないだろうと想像出来る位に。
「目が覚めたのか?」
「はい…あのぅ…」
「何だ?」
「何回いたしましたの?」
「空っぽになるまでだ…」
やってしまった感ありありのグレンが可愛く見えてしまった。
「それで、どうして昨夜はあんなに偉そうな態度でしたのかしら?始まったら、急に可愛らしくなって。どちらが本当のグレン様なの?」
「どっちもだ。」
「女性との戯れが得意というのは嘘ですよね?」
グレンは、私の頭を自分の胸に押し付けて頷いた。
「あぁ…戯れという名の諜報活動だ。」
「はっ!?グレン様は、公爵様でしょう?何で!?」
「ノクリア公爵家は、代々勅命で裏の諜報活動を担ってきた。
父は、愛人に刺された訳ではなく、すっ転んで怪我をしたのを幸いに、俺に丸投げして田舎に引っ込んだんだ、最愛の妻と。
諜報活動には、女性からの証言も重要だから、母はいつも嫉妬していた。
だから、俺は結婚する気はなかったんだ。
でも、エレノアとまた出会ってしまったから…」
視線を外したグレンは、頬を染めていた。
「私と…いつ出会いましたっけ?」
「二年前のお互い十六歳の時だ。皇立学園で、同級生だったんだ。」
「はっ!?同級生?」
「そうだ…地味でダサダサな眼鏡男だった…」
私は記憶を辿る。
「まさか!?図書室の眼鏡くん!!!」
本が好きな私は、毎日図書室に行っていたが、いつも部屋の隅で本を読んでいた男子が居た。
たまたま読みたかった本を読んでいたので、いつ返却するのか聞いたことがあった。
「だって、その時しか話していないわ。なのに、たったそれだけのことで!?」
「ああ、そうだ。一目惚れだ。その後、パーティでも、そっと見つめていた…」
照れているのに、怒ったような顔のグレンに、私は動揺する。
全く表情管理がおかしな人なのだ。
「あなた、噂では数多の女性を相手にしてきた筈じゃない!何で、私?」
「だから、あれは仕事だ。ちょっと飲み物に自白剤を仕込んで、喋り倒すのを聞いていた。
大体の女は、口が軽くて家の秘密をペラペラ喋るからな。
散々喋らせて、喉が渇いただろう?と睡眠薬入りの酒を飲ませたら、その内容を陛下に報告して、俺の仕事は終わりだ。
それを繰り返していたら、帝国一の遊び人みたいになってしまった…」
私は、大きな体を小さくして話すグレンが、どんどん可愛く見えてきた。
「ちなみに、お父様はこのことを?」
「知っている。エレノアは変人で、気が強いから、その辺の男には扱えないだろうし、俺なら変わり種で興味を持つだろうと。」
「変人!?あの親父!!」
「あはははっ、そういうところか!変人て。
で、エレノアは俺に興味を持ってくれた?」
「ええ、大変興味を持ちましたわ。イケメン童貞のあなたに!」
「閨事は、これから慣れていくから、ご指導ご鞭撻の程、よろしく頼む。」
「ちょっと、そこはあなたが頑張りなさいよ!」
「あ…そうか…頑張る。君に愛してもらえるように。」
「今も嫌いではなくてよ?」
グレンは、はにかんで私を押し倒した。
こうして、数多の女性を相手にしてきた厚顔無恥だと思っていた夫は、唯一の妻の尻に敷かれまくる良き夫へと成長していくのだった。
そもそもの原因の諜報活動は、結婚してからも続いたが、妻の理解と夫の尽力で、帝国の不穏分子は一掃され、平和な日々を送れるようになった。
【完】
ーーーーーーー
現在2作公開中
『大切な人と愛する人』
上記のスピンオフ
『嫌われ悪女は俺の最愛』
よろしければ、そちらもご覧ください
╰(*´︶`*)╯♡
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