【3話完結】 数多と唯一

紬あおい

文字の大きさ
3 / 3

3.何だかんだ許してしまう妻


翌朝、目が覚めるとグレンの腕の中に居た。
しかも、私の下半身はぐちょぐちょになっていた。
一回や二回では、こうはならないだろうと想像出来る位に。

「目が覚めたのか?」

「はい…あのぅ…」

「何だ?」

「何回いたしましたの?」

「空っぽになるまでだ…」

やってしまった感ありありのグレンが可愛く見えてしまった。

「それで、どうして昨夜はあんなに偉そうな態度でしたのかしら?始まったら、急に可愛らしくなって。どちらが本当のグレン様なの?」

「どっちもだ。」

「女性との戯れが得意というのは嘘ですよね?」

グレンは、私の頭を自分の胸に押し付けて頷いた。

「あぁ…戯れという名の諜報活動だ。」

「はっ!?グレン様は、公爵様でしょう?何で!?」

「ノクリア公爵家は、代々勅命で裏の諜報活動を担ってきた。
父は、愛人に刺された訳ではなく、すっ転んで怪我をしたのを幸いに、俺に丸投げして田舎に引っ込んだんだ、最愛の母上と。
諜報活動には、女性からの証言も重要だから、母はいつも嫉妬していた。
だから、俺は結婚する気はなかったんだ。
でも、エレノアとまた出会ってしまったから…」

視線を外したグレンは、頬を染めていた。

「私と…いつ出会いましたっけ?」

「二年前のお互い十六歳の時だ。皇立学園で、同級生だったんだ。」

「はっ!?同級生?」

「そうだ…地味でダサダサな眼鏡男だった…」

私は記憶を辿る。

「まさか!?図書室の眼鏡くん!!!」

本が好きな私は、毎日図書室に行っていたが、いつも部屋の隅で本を読んでいた男子が居た。
たまたま読みたかった本を読んでいたので、いつ返却するのか聞いたことがあった。

「だって、その時しか話していないわ。なのに、たったそれだけのことで!?」

「ああ、そうだ。一目惚れだ。その後、パーティでも、そっと見つめていた…」

照れているのに、怒ったような顔のグレンに、私は動揺する。
全く表情管理がおかしな人なのだ。

「あなた、噂では数多の女性を相手にしてきた筈じゃない!何で、私?」

「だから、あれは仕事だ。ちょっと飲み物に自白剤を仕込んで、喋り倒すのを聞いていた。
大体の女は、口が軽くて家の秘密をペラペラ喋るからな。
散々喋らせて、喉が渇いただろう?と睡眠薬入りの酒を飲ませたら、その内容を陛下に報告して、俺の仕事は終わりだ。
それを繰り返していたら、帝国一の遊び人みたいになってしまった…」

私は、大きな体を小さくして話すグレンが、どんどん可愛く見えてきた。

「ちなみに、お父様はこのことを?」

「知っている。エレノアは変人で、気が強いから、その辺の男には扱えないだろうし、俺なら変わり種で興味を持つだろうと。」

「変人!?あの親父!!」

「あはははっ、そういうところか!変人て。
で、エレノアは俺に興味を持ってくれた?」

「ええ、大変興味を持ちましたわ。イケメン童貞のあなたに!」

「閨事は、これから慣れていくから、ご指導ご鞭撻の程、よろしく頼む。」

「ちょっと、そこはあなたが頑張りなさいよ!」

「あ…そうか…頑張る。君に愛してもらえるように。」

「今も嫌いではなくてよ?」

グレンは、はにかんで私を押し倒した。





こうして、数多の女性を相手にしてきた厚顔無恥だと思っていた夫は、唯一の妻の尻に敷かれまくる良き夫へと成長していくのだった。

そもそもの原因の諜報活動は、結婚してからも続いたが、妻の理解と夫の尽力で、帝国の不穏分子は一掃され、平和な日々を送れるようになった。

【完】





ーーーーーーー



現在2作公開中
『大切な人と愛する人』
上記のスピンオフ
『嫌われ悪女は俺の最愛』

よろしければ、そちらもご覧ください
╰(*´︶`*)╯♡





感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【短編完結】元聖女は聖騎士の執着から逃げられない 聖女を辞めた夜、幼馴染の聖騎士に初めてを奪われました

えびのおすし
恋愛
瘴気を祓う任務を終え、聖女の務めから解放されたミヤ。 同じく役目を終えた聖女たちと最後の女子会を開くことに。 聖女セレフィーナが王子との婚約を決めたと知り、彼女たちはお互いの新たな門出を祝い合う。 ミヤには、ずっと心に秘めていた想いがあった。 相手は、幼馴染であり専属聖騎士だったカイル。 けれど、その気持ちを告げるつもりはなかった。 女子会を終え、自室へ戻ったミヤを待っていたのはカイルだった。 いつも通り無邪気に振る舞うミヤに、彼は思いがけない熱を向けてくる。 ――きっとこれが、カイルと過ごす最後の夜になる。 彼の真意が分からないまま、ミヤはカイルを受け入れた。 元聖女と幼馴染聖騎士の、鈍感すれ違いラブ。

日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。 そんな彼に見事に捕まる主人公。 そんなお話です。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

【完結】女当主は義弟の手で花開く

はるみさ
恋愛
シャノンは若干25歳でありながら、プレスコット伯爵家の女当主。男勝りな彼女は、由緒ある伯爵家の当主として男性と互角に渡り合っていた。しかし、そんな彼女には結婚という大きな悩みが。伯爵家の血筋を残すためにも結婚しなくてはと思うが、全く相手が見つからない。途方に暮れていたその時……「義姉さん、それ僕でいいんじゃない?」昔拾ってあげた血の繋がりのない美しく成長した義弟からまさかの提案……!? 恋に臆病な姉と、一途に義姉を想い続けてきた義弟の大人の恋物語。 ※他サイトにも掲載しています。

高級娼婦×騎士

歌龍吟伶
恋愛
娼婦と騎士の、体から始まるお話。 全3話の短編です。 全話に性的な表現、性描写あり。 他所で知人限定公開していましたが、サービス終了との事でこちらに移しました。

【短編集】 白い結婚でしたよね? 〜人見知りな夫の過剰な愛〜

紬あおい
恋愛
「君とは白い結婚で、期間は二年だ。その後は俺の意思に従ってもらう。」 そう言ったのはあなたなのに。 その理由がまさかの◯◯◯◯って!? おかしな夫に振り回される妻のお話です。 短編として掲載したもの三話をまとめています。

【一話完結】極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい
恋愛
近衛騎士団長直々の依頼で自白剤を作ることになったリンネ。 極秘任務の筈が騎士団長は、切々と自分語りを始め、おかしなことに…?

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

優しい紳士はもう牙を隠さない

なかな悠桃
恋愛
密かに想いを寄せていた同僚の先輩にある出来事がきっかけで襲われてしまうヒロインの話です。