【完結】 その身が焼き切れるほどの嫉妬をあなたにあげる

紬あおい

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31.結婚式と我が家とメニュー

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レナリアとジークフリードは、セントマリアンナ教会で式を挙げた。
小さな教会だが、帝国では由緒ある教会の一つだ。

二人で入場し、神父様とたった三人での式となる。
厳かな雰囲気の中、神父様の聖書の朗読が始まる。

「神の考えでは、結婚はずっと続く絆です。結婚したおニ人は、生きている限り愛し合い、ずっと一緒にいることを約束します。神はその約束を守ってほしいと思っています。」

(ずっと一緒、ジークと共に。)

レナリアは、神父様の言葉の一言一言を噛み締めていた。
そして、結婚の誓約だ。

「この先、どんなことがあってもこの人を愛し、尊敬し、慰め、助け、生涯を通してその誓約を守ることを誓いますか?」

レナリアとジークフリードは、一瞬お互いに見つめ合って、はっきりと誓う。

「「はい、誓います。」」

「では、お二人の誓約の目に見える印として指輪を交換し、誓いの口付けを交わしてください。」

二人で決めたデザインとお互いの色の入った指輪を付け合い、そっと口付ける。

「ここに、お二人が夫婦となったことを宣言します。皇帝陛下から承認が下りた結婚証明書にサインをしてください。」

ジークフリードは冷静にサインしていたが、自分の名前を書くことを、こんなに緊張する日が来るとは思わず、レナリアは手に汗をかいた。

(はあ…緊張したー!!)

「これにて、お二人が結婚されたことが証明されました。どうか末永くお幸せにお過ごしください。」

「「はい、ありがとうございます。」」

神父様があたたかい眼差しで見守る中、二人は抱き締め合って、喜びを噛み締めた。

「さあ、レナリア、俺達の家に帰ろう!」

レナリアとジークフリードは、タキシードとドレスのまま、小さな二人の家に向かった。

馬車の中では隣同士で座り、肩を寄せ合って幸せに浸った。
ジークフリードは、馬車の中でいちゃいちゃしたかったが、せっかくのウェディングドレス姿を崩すのは勿体ないと、また鋼のメンタルを発動した。

レナリアは、そんなジークフリードの心に気付かず、二人の家に帰ったら何をしようかと考えていた。

「ジーク、今夜は何を食べようかしらね?」

「えっ!?そこ?」

「あら、食生活大事よ?」

「……っ……そ、そうだな、パ、パンでも焼くか!」

ジークフリードは、帰ったらすぐにでもレナリアが食べたいとは、とても言えなかった。

(先は長い。ゆっくり、ゆっくりだ、俺…はぁ…うちの妻、可愛過ぎだ。なかなかブレないしな…)

(あれ?この話の流れだと『君が食べたい』とか言うんじゃないの!?ジーク、結構真面目だわ!)

ジークフリードとレナリアは、お互いの思惑に気付かず、家に着くまで夕食のメニューの話を続けた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇



次の更新待ちの間に、短編を更新しますので、よろしければご覧ください。
2025.6.20  19時更新です。
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是非、よろしくお願い申し上げます。
いつもありがとうございます。☺️
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