【完結】 私の全てを狂わせた暴君

紬あおい

文字の大きさ
12 / 43

12.煽る人

しおりを挟む

翌日、セドリックの着替えを準備し、身支度を整える手伝いをし、朝食も一緒に取った。
レオン陛下に関わる前の、今までと変わらない朝のようにセドリックは接してきた。

一緒に馬車に乗り、皇宮に着くとセドリックは言った。

「しばらくは、ここに常駐する。ノエル、気を付けるんだぞ………」

最後に「陛下に」と聞こえた気がしたが、聞き返す間もなく、セドリックは持ち場へと行ってしまった。

私は迎えに出て来てくれたヘリオスと共に、レオン陛下の元へ向かった。

「今日は使節団との会議があるので、俺の隣で出席してくれ。販売ルートの新たな経路を検討するんだ。国有地が該当する箇所があるのと関税の話で、俺とも話が必要らしい。当たり前だが、会議の内容については守秘義務があるから、まだセドリックにも話さないように。決定すれば、クリフト伯爵から話があるだろう。」

「はい、承知致しました。」

「ミレイユは、キースハルトと一緒に、ファーガソン侯爵やクリフト伯爵と合流して、サファイヤとダイヤモンドの採掘場と加工職人達を見学に行った。そちらの通訳は、クリフト伯爵が担当してくれる。」

「お父様が同行するなら、きっと私よりも安心ですね。」

「そんなに謙遜するな。伯爵家でも勉強していたと、セドリックから聞いている。期待しているよ。」

微笑んだレオン陛下に、ちょっとドキッとしつつ、私はこの役割をきちんと果たしたいと思った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


会議は夕方まで掛かり、使節団が退室した時は、流石にレオン陛下は疲れていたようだ。
その後、応接室に移動し、お茶を飲むことにした。

「ふわぁーっ、疲れた!ノエルもご苦労だった。スムーズに進行したのは、ノエルのおかげだな。ありがとう。」

「いえ、たいしてお役に立ってないような…?陛下、通訳無くても大丈夫じゃないですか。」

「まあ、何とか聞き取れたけど、こちらの意向がちゃんと伝わったのはノエルがいたからだぞ?助かったよ。」

「ありがとうございます。初めてまともに陛下と話している気がします。ふふ。」

「おい、不敬だな。全く…可愛い奴め。」

「…っ!?……また、揶揄って…」

レオン陛下と笑い合っているところに、セドリックが入ってきた。

「陛下、失礼します。晩餐は出席なさいますか?」

「今夜はやめておく。ノエルと夕食にするから。」

レオン陛下は、セドリックの目を真っ直ぐに見つめて言った。

「承知しました。」

セドリックは、そのまま応接室を出て行ったが、その顔は無表情だった。

「陛下、夕食のお約束はしていませんが?」

「まあ、いいじゃないか。俺だって、たまにはのんびり食事を楽しみたいのだから、付き合えよ。」

「分かりました。」

私は腑に落ちない気分だったが、空腹には勝てなかった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~

marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」 「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」 私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。 暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。 彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。 それなのに……。 やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。 ※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。 ※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

処理中です...