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38.粛清 ②
しおりを挟む二階の廊下は静かだが、一階とくらべものにならない程に、空気は黒く淀んでいた。
「シス、一旦魔力を放ちますか?」
「リシェの体力は消耗していないか?大丈夫そうなら頼む。」
こんな時まで私の体力を心配するなんてと思いつつ、治癒の魔力を放つ。
あちこちの部屋のドアの向こうから、人が倒れる音がして、騒つく気配がする。
「ここからは俺が前に立つ。ロドルフォ、リシェを頼むぞ!」
ドアが開き、ラギラレア王国の者達が、何事だ?言わんばかりに、次々と廊下に出て来る。
目にも止まらぬ速さで、システイン様は黒魔法に操られた者達を粛清していく。
廊下が炭となった者達でいっぱいになる中、ロクサリア王女の姿は見えない。
「王女が見当たりませんね?」
ロドルフォが言った瞬間、私の体が黒い霧に包まれ、傍の部屋に引き摺り込まれた。
「シス!」
叫ぶのがやっとだった。
ドアは締まり、ロクサリア皇女と二人きりになった。
黒い霧に囚われている為、魔力が使えない。
「あなたがシステインの妻なの?生涯妻だけとか言うから、近くで見たらどんな美女かと思ったら、やっぱり大したことないわね。」
ニヤニヤと嫌な笑顔を浮かべる。
部屋の外では、システイン様が私の名前を呼びながら、何とか部屋に入ろうとしている。
「あなたをどうしたら、システインが困るかしらねぇ。」
ロクサリア王女は首をひねり考える。
「あ!好きな女が他の男と戯れてたら、さすがのシステインも嫌気がさすわよねー!」
「やめて!そんなことしてもシスはあなたのものにはならないわ!!」
「それでもいいわよ。システインが吠え面かくなら!」
ロクサリア王女が楽しそうな顔をして、ブツブツと呪文を唱え始めると、私の周りに見知らぬ男が3人現れ、体を触り始める。
「そろそろシステインだけ中に入れてあげるわ!さすがに、弟に姉の痴態を見せるのは可哀想でしょう?わたくし、優しいからね!」
ロクサリア王女は私にウィンクをして、ドアを一瞬開ける。
すかさずシステイン様が飛び込んだところでドアが閉まった。
中に入り、私の状態を見たシステイン様が助けようとした時、黒い霧で拘束された。
「やめろっ!リシェに触るな!!」
「あらあら、愛する妻は男とお楽しみ中なんだから邪魔しないの!」
揶揄うロクサリア王女を睨みつけるシステイン様。
私は男三人には到底敵わず、着ていた騎士服を脱がされ、下着姿となっていた。
男達の手が素肌を弄る。
このままシステイン様の前で犯される位なら死んだ方がマシだ。
覚悟を決めて、舌を噛んだ。
「ぐふっ!ごぼっっ!!」
私は音を立てて血を吐いた。
口から大量の血を流し、意識がだんだん薄れていく。痛いのかも分からない。
目からも大量の涙が出ていただろう。
もう声は出ないので、システイン様に目で合図する。
(ごめんなさい…)
それを見たシステイン様の体は、剣と同じ金色に輝き、体を拘束する黒い霧が消え去った。
それは、怒りに満ちた金色のオーラだった。
「何で!?」
叫ぶロクサリア皇女の首を刎ね、体を滅多刺しにしているシステイン様を見ながら、私の意識は無くなった。
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