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3.事情説明
しおりを挟む結局、私はパーティもそこそこに、クリストファー殿下に送られる羽目になった。
(これは、まずい…お父様に怒られる…)
「ほら、乗りなさい。」
クリストファー殿下は、背の小さい私の脇腹に手を掛け、ひょいと抱き上げるように馬車に乗せた。
「ひぃっ!」
「そんなに怯えるな。先程までの勇敢な姿はどうした?」
「いや、さっきは勢いで…今は、かっすかすですから…」
「あはははっ、ほんとにリーチェ嬢は面白い!」
クリストファー殿下は、ヴァーミリアン侯爵家に到着するまで、ずっとお腹を抱えて笑っていた。
馬車がヴァーミリアン侯爵家に到着すると、クリストファー殿下は先に降り、また私をひょいと抱いて下ろしてくれた。
お礼を言おうとクリストファー殿下の顔を見上げた瞬間、父のディーゼルの声がした。
「リーチェ、お前、何を!?」
「ヴァーミリアン侯爵、久しぶりだな。」
「で、で、で、殿下!?」
「リーチェ嬢を送り届けたんだが、ちょっと喉が乾いてなぁ…」
「お、お、お茶、お茶を、お、お召し上がりください!是非!!」
「では、お言葉に甘えようかな。」
エドヴァルド帝国の第三皇子クリストファー殿下を前に錯乱に近い父。
鮮やかに微笑むクリストファー殿下と、瀕死の父のやり取りを、私は呆然と見ていた。
「リーチェ嬢、案内して?」
「は、はい!こちらへどうぞ。」
何故か、また手を掴まれて、どちらが案内しているか分からない状態で、応接間にクリストファー殿下を連れて行った。
「夜遅く、すまないな。」
我が家自慢のアールグレイを優雅な所作で飲みながら、クリストファー殿下は微笑んだ。
「リーチェがご迷惑をお掛けしたようで?」
父はびくびくしながら、状況を把握しようとしている。
「迷惑なんか掛けられてはいない。寧ろ、人生で一番面白い夜だ。」
「はっ!?リーチェ、説明しなさい。」
父のこめかみがぴくぴくしているが、誤魔化しが利かないことは察したので、有りの儘に説明した。
「テオナルドめ!婚約は破棄し、奴の家の事業の融資も止める!!」
父のぴくぴくは、こめかみから全身に移行したようだ。
「で、リーチェ…テオナルドに貴様と言い放ち、まさか、殿下にも…その場面というか、何というか、アレを見せたのか…?」
「…………はぃ…証人が必要で…殿下とは気付かず…」
「このボケがぁぁぁぁぁ!!」
父は立ち上がって叫び、即座に土下座した。
「殿下、申し訳ございません!この子はちょっと阿呆でして…まさか、殿下にそのような破廉恥な場面を見せてしまうとは!!この子は修道院にぶち込みます!」
「おとーさまっっっ!!」
優雅にお茶を嗜んでいたクリストファー殿下は、遂に吹き出した。
「あはははははっ!ヴァーミリアン侯爵家は、皆面白いな!!」
「「で、殿下…?」」
突然笑い出すクリストファー殿下に、私も父も困惑する。
「ヴァーミリアン侯爵、提案があるんだ。」
やっと笑いが治まったクリストファー殿下は、急にきりりとした表情で父を見つめた。
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