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6.母と殿下
しおりを挟む「侯爵様!第三皇子殿下がお見えです!!」
「侯爵様!奥様がお帰りです!!」
翌日、ゆっくり起きて、父と昼食を取っていると、家令のマルティネスと執事のターナーが同時に食堂に飛び込んで来た。
あまりに前のめりだった為、ターナーは父の足元に跪きそうだ。
「ぬっ、んぐぐっ!」
「お父様、お水、お水!!」
あまりに驚き、父は誤嚥で死に掛けている。
「んはぁー、死ぬかと思った!して、殿下とエリザベスが!?」
「はい、玄関先で立ち話をされています。」
「なんだと!?さっさと殿下をお連れしろ!応接間にお茶だ!!私は着替えて、直ぐ向かう!」
「「畏まりました!」」
マルティネスとターナーは、急ぎ足で食堂を出て行った。
「お父様、まさかお母様は…」
「リーチェ、嫌な想像をするでない。きっと大丈夫だ。リーチェも着替えてから応接間に来なさい。」
「分かりました。」
私は、慌てる侍女を宥めながらも、急いで着替え、応接間に向かったが、想像通りのことが起こっていた。
「お母様…クリストファー殿下…」
応接間で未だ立ち話中の母は、クリストファー殿下の手を握り、ぶんぶん振りながら、にこにこと話し掛けている。
「殿下、リーチェをよろしくお願いします!」
「ああ、もちろんです。幸せにします!」
肝心なところをすっ飛ばし、最早結末を迎えているような母とクリストファー殿下。
三歩引いた所で、父だけが真っ青な顔をしている。
「……えっと…こ、これは…?」
「あっ、リーチェ!もう、私が旅行居ない間にお婿さん見つけちゃったなんて!!しかも、こんな素敵なクリストファー殿下だなんて、孫が楽しみ過ぎて、お父様が禿げるわね!」
(何でお父様が禿げるんだよ…今正に禿げそうな顔してるじゃない…禿げさせる原因の九割はお母様よ…)
「でも、お母様、クリストファー殿下とはまだ知り合ったばかりで、テオナルド様との婚約破棄が、、、」
「婚約は無事に破棄されたぞ?浮気の代償として、慰謝料もぶん取るぞ?それに、陛下からリーチェと俺の結婚の許可も出た。」
「殿下、仕事早っ!!!」
クリストファー殿下は、本当にエドヴァルド帝国の第三皇子で、ミスリム皇帝の息子なのだと、私は実感した。
困惑する私を他所に、クリストファー殿下は、ふふふーんと艶やかに笑った。
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