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17.名誉回復 ②
しおりを挟む「お集まりいただきました皆様、今宵は親睦を深める為と、我が家からの報告もあり、夜会を開かせていただきました。先ずは、我が家自慢のワインなどをお愉しみいただき、ごゆるりとお過ごしください。」
ポペス侯爵の簡単な挨拶から夜会はスタートした。
自慢のワインというだけあって、様々なワインが並び、香りや喉越しを褒め称える声が上がっていた。
(美味しそうだけど、私、お酒はお父様に止められてるのよねぇ…)
ワインをじっと見ている私に気付き、クリストファー殿下は少しだけ口の端を上げた。
(殿下ったら、こういう場では氷点下の表情管理が完璧だけど、絶対、心の中で笑ってる!)
私は、性格を完全掌握されたような気持ちになって、クリストファー殿下の脇腹を指で突いた。
んっ!?と一瞬声が漏れて、クリストファー殿下がくすぐったがりな気がして、私は自己完結で溜飲が下がり、ほくそ笑んだ。
そんなこんなで滞りなく夜会は進み、父や母は顔見知りを見つけては、挨拶回りをしていた。
クリストファー殿下は、面白がって地味な変装をして来た為、私と連れ立っていても誰も気付かない。
斯く言う私は、社交を疎かにしてきた所為で、立ち話をするような友人もいないことに、少し気落ちしていた。
「静かでいいじゃないか。俺も同じだ、社交など視線が剣のように突き刺さるだけだった。」
「そうですね、今日は殿下もいらっしゃるし、楽しいですよ?えへへ。」
「無理をするな。これからは、毎回俺が居る。リーチェの隣は誰にも渡さない。」
私の様子で察したクリストファー殿下は、隣で真顔で語る。
心を弾ませたデビュタント、婚約してからの悪評、僅かな時間で私の周囲は変わってしまった。
片や、生まれながら庶子として蔑まれてきたクリストファー殿下。
生まれ育った境遇や期間は違えど、周囲に対する不信感は、似た者同士なのかもしれない。
そんな時、ポペス侯爵が声を上げた。
「宴も酣ではございますが、ここで、我が娘ジェニファとチカプリオン伯爵家のテオナルドの婚約を発表させていただきます。ジェニファ、テオナルド、こちらへ。」
普通なら、歓声が上がるだろうこの瞬間、会場内は微妙な響めきが起こった。
ポペス侯爵の右手方向から現れた二人。
何を思っているのか分からない真顔のテオナルドと、満面の笑みのジェニファが立っている。
黒のタキシードのテオナルドと、真っ赤なドレスのジェニファは、見るからに対照的だ。
その時、私は気付いた。
ジェニファのドレスを見たポペス侯爵の表情に。
(もしかして、ジェニファったら勝手に赤いドレスで来ちゃったのかしら…)
「おい、あの女のドレス…」
「ですよね…あれは…」
小さな声で私に呟くクリストファー殿下は、眉間に皺を寄せた。
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