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19.心からの謝罪
しおりを挟む「このような形で夜会を終えることとなり、申し訳ありません。本日は、ありがとうございました。」
ポペス侯爵の〆の言葉に、響めく会場の人々は、一人また一人と帰路に着く。
「ヴァーミリアン侯爵家の皆様、クリストファー殿下、別室にてお話させていただいても宜しいでしょうか。」
ポペス侯爵とチカプリオン伯爵が揃って声を掛けてきた。
「いいでしょう。」
父は短く了承し応接間に向かい、私と母、クリストファー殿下もそれに続いた。
応接間には、ジェニファ以外の関係者がソファに腰掛けた。
「改めまして…この度は申し訳ありませんでした。このひと月、息子のしたことを深く考え、周囲の状況も把握し、如何に愚かで情けないことを仕出かしたのかと、反省しきりでございました。リーチェ様にはお詫びのしようもございません。」
チカプリオン伯爵は、以前の話し合いの時の態度から一変し、平身低頭で許しを乞う姿勢に改まっていた。
「ジェニファには…失望しかありません。
大切に育ててきたつもりですが、あのような傲慢な娘になってしまい、人様にご迷惑をお掛けする事態となってしまいました。
ジェニファは、もしかしたら精神の病を患っているのではないかと疑ってもいます。
トラジック修道院へ送る前に、医師に見せようかとも思っています。
リーチェ様やヴァーミリアン侯爵家の皆様には二度とご迷惑をお掛けしないよう、厳重に対処致します。
最後の機会を与えていただき、ありがとうございました。
そして、それを生かせず、申し訳ありません。」
父は厳しい顔を崩さずに聞いていたが、私を見た。
「リーチェ、お前はどう思った?」
「その前に!!!」
テオナルドが割って入ってきた。
「どうか、どうか、私にもリーチェ様に謝罪させていただく機会を!」
テオナルドの表情を見て、私は頷く。
クリストファー殿下は、ちらりと私を見たが、大丈夫だと目配せした。
「テオナルド様、仰りたいことがございましたら、この場でどうぞ。」
「ありがとうございます。
先程も皆様の前で申し上げましたが、全て、私の浅はかな行いの所為です。
申し訳ありません。
リーチェ様との婚約が決まった時、私はリーチェ様に一目惚れしました。
可愛くて、おおらかで、時に大胆で。
自分とは真逆の輝く存在に見えたのです。
リーチェ様に抱くそれは、憧れに近い感情で、婚約者なのに手が届かない、そんな気持ちでした…
だから…ジェニファ様との気楽な関係に流されてしまいました。
卑屈な自分を認めたくなくて、嫌がらせに拍車が掛かっていることすら、気付いていませんでした。
いつかリーチェ様が、泣いて縋ってくれるだろうと、思い違いもしていました。
今更謝罪しても、時間も私に対する評価も取り戻すことは出来ませんが、本当に後悔しています。
申し訳ありませんでした。」
最後は目に涙が滲むテオナルドに、私はやっと終わるのだと思った。
「今後、一切関わらないでいただければ、テオナルド様の謝罪を受け入れます。
そして、ジェニファ様も同様に、ポペス侯爵様にお任せします。
病をお疑いならは何となく理解出来なくもないです。
常軌を逸した行動に恐れを抱きましたが、結果としては回避出来ましたし、無傷でしたので、今日のお約束を、必ず、守っていただけれは、私はそれで構いません。
今後の家同士のお話は、お父様に一任致します。」
「リーチェの気持ちは分かった。ポペス侯爵もチカプリオン伯爵も、それでいいだろうか。家同士の話は、また後日話そう。」
「「承知致しました。ありがとうございます。」」
「皆様、本日はありがとうございました。クリストファー殿下、少しお話しさせていただいても宜しいでしょうか?」
「ああ、いいだろう。リーチェ、少し待っていてくれないか?一緒に帰りたい。」
「承知しました。」
全ての話が終わり、皆が部屋を出て行く中、クリストファー殿下はポペス侯爵に引き止められ、挨拶を交わしていた。
私は、父や母と馬車を待ちながら、玄関まで先に行くことにした。
(これで、終わった…やっと…殿下の報告書がひらひらと舞わなくて良かったわ。)
私はどっと疲れがきて、早く家に帰ってゴロゴロしたかった。
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