40 / 61
40.結婚式
馬車はゆっくりと走り、カナルディア大聖堂に到着した。
ここは、エドヴァルド帝国最大で由緒ある大聖堂だ。
このような場所で結婚式を挙げられるのは、クリストファーが第三皇子というだけでなく、父ディーゼルの数々の功績のおかげでもある。
そして、そのカナルディア大聖堂に参列するのは皇族であるミスリム皇帝陛下、ビオレータ皇后陛下、カリスト第一皇子、コンラート第二皇子と、父ディーゼル・ヴァーミリアン侯爵、母エリザベスだけだ。
母は参列する為に、先に聖堂に入って行き、父とは入場する為に、控え室に一旦入った。
「お父様、肩の力を抜いてください。微妙に位置が高くて、私、ぶら下がっているみたいに見えてしまうわ。」
「あっ、そ、そうだな。すまない。」
「お父様が緊張したら、私も緊張しちゃうじゃない?花嫁の父は、どーんと構えていてくださいね。」
「ああ、頑張るよ。リーチェ、本当に綺麗だ。」
「お父様も素敵よ!」
こんな何気ない会話でも、父の表情は愛に溢れていて、私はこの人の娘に生まれて幸せだ。
「ご入場のお時間でございます。」
係の者が私と父を誘導し、笑顔で扉を開く。
真っ直ぐに延びたヴァージン・ロードの先に、クリストファーが笑顔で立っている。
一歩、また一歩、クリストファーに近付き、遂に父からクリストファーに私の手が引き渡された。
「娘を頼む。」
「はい、父上。」
(くぅーーー、何、このイケメン達!?)
父もクリストファーも、私が知り得る誰よりも素敵だった。
「リーチェ?もう始まってるから。」
私の脳内再生が口から出ていたようで、クリストファーは小さく笑い、司式者となる牧師がこほんと咳をした。
讃美歌斉唱し、牧師が聖書の中から一節を選んで朗読した後、神に祈りを捧げる。
厳かな雰囲気の中、式は進行し、誓いの言葉となった。
「新郎に問います。病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、死が二人を別つまで、貞操を守り、愛し敬い慈しむことを誓いますか?」
牧師はクリストファーを見る。
「はい、誓います。」
「では、新婦に問います。病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、死が二人を別つまで、貞操を守り、愛し敬い慈しむことを誓いますか?」
牧師は私を見る。
「はい、誓います。それと共に、クリストファー様を一生笑顔にすることも違います。」
隣でクリストファーがクククっと笑った。
「指輪の交換をしてください。」
牧師は只管真顔で進行する。
クリストファーと私は、お互いの左の薬指に指輪をはめた。
「誓いの口付けを。」
ヴェールを上げたクリストファーが、はっと息を飲む。
「リーチェ、綺麗だ。」
「クリストファー様も素敵!」
私達は笑顔で口付けを交わす。
参列者の席から、ひゅっと息を飲む気配がしたのは、きっと父だろう。
ぺしっと音がしたのは、きっと母が父の膝を叩いたのだ。
「これにて、お二人は夫婦となりましたことを、神の前で宣言致します。」
その瞬間、クリストファーは私を横抱きにし、頬に口付けた。
「やっと、リーチェは俺のものだ。愛してる!」
お互いの父も母も、皇子殿下達も笑っている。
皆に心から祝ってもらい、私はこの日、帝国一幸せな花嫁となった。
あなたにおすすめの小説
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
(完結)あなたの愛は諦めました (全5話)
青空一夏
恋愛
私はライラ・エト伯爵夫人と呼ばれるようになって3年経つ。子供は女の子が一人いる。子育てをナニーに任せっきりにする貴族も多いけれど、私は違う。はじめての子育ては夫と協力してしたかった。けれど、夫のエト伯爵は私の相談には全く乗ってくれない。彼は他人の相談に乗るので忙しいからよ。
これは自分の家庭を顧みず、他人にいい顔だけをしようとする男の末路を描いた作品です。
ショートショートの予定。
ゆるふわ設定。ご都合主義です。タグが増えるかもしれません。
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
【完結】旦那様、契約妻の私は放っておいてくださいませ
青空一夏
恋愛
※愛犬家おすすめ! こちらは以前書いたもののリメイク版です。「続きを書いて」と、希望する声があったので、いっそのこと最初から書き直すことにしました。アルファポリスの規約により旧作は非公開にします。
私はエルナン男爵家の長女のアイビーです。両親は人が良いだけで友人の保証人になって大借金を背負うお人好しです。今回もお父様は親友の保証人になってしまい大借金をつくりました。どうしたら良いもにかと悩んでいると、格上貴族が訪ねてきて私に契約を持ちかけるのでした。いわゆる契約妻というお仕事のお話でした。お金の為ですもの。私、頑張りますね!
これはお金が大好きで、綺麗な男性が苦手なヒロインが契約妻の仕事を引き受ける物語です。
ありがちなストーリーのコメディーです。
※作者独自の異世界恋愛物語。
※コメディです。
※途中でタグの変更・追加の可能性あり。
※最終話に子犬が登場します。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。