【完結】 元婚約者の浮気相手の元婚約者が溺愛してくるってどういうことですか!?

紬あおい

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17.罠 ②


朧げな意識の中、湿った手が体を触っていることに気付く。
不快な手に鳥肌が立つ。

(……イザークかしら…?いや、違う。イザークは、こんなふうに触らない。)

頭では分かっていても、体が思うように動かない。
意識を集中すると、見知らぬ男がドレスを脱がそうとしていた。

「やめてっ!あなた、誰なの!?」

「うるさい!大人しくしろ!!」

口にハンカチのような布を突っ込まれ、声が出せなくなる。

「んんんーっーー!」

「黙れって言ってんだろ!」

ゴンっと顔を殴られて、意識は更に朦朧とする。

(イザーク…助けて…イザーク…)

ソファに倒れ込んだところを、馬乗りになって押さえ付けられ、ドレスを脱がされ、コルセットの紐を外しにかかっている。
力の差とぼんやりとした意識で、体が思うように動かない。
側から見れば従順になっているように見えてしまうかもしれない。

(イザーク、ごめんね…ここで待っててと言われたのに…イザーク…こんな男に触られて…嫌、絶対に嫌だ!)

男は私を横向きにし、コルセットを外し、シュミーズとドロワーズだけの私を見て、舌舐めずりをした。

「いい体してんじゃん。」

男は、私の脚を持って、頬擦りした。
ふくらはぎに口付けし、陶酔しているところを見ると、脚が好きなのだろうか。
ぼんやりと見ていたら、私は気持ちが悪くなってきて、吐きそうになる。
でも、その吐き気のおかげで、意識がはっきりしてきた。

何とか体をずらして、ソファから転げ落ち、床を這って逃げようとしたら、髪を掴まれた。

「大人しくしろって言ってんだろ?言うこと聞かねえと、顔に傷付けるぞ?」

手が自由になったので、口のハンカチを引き抜き、私はイザークの名前を叫ぶ。

「イザーク!助けて!イザークっ!!」

「うるさいっ!黙れっ!!」

「イザーク!イザーク!!」

「黙れって言ってんだろうがっ!!」

暴れる私の髪を掴み、後ろから首を絞める男に、殺されると思った瞬間、ガチャリとドアが開き「うっ!」という呻き声とともに体は解放された。

「メイ!メイ、しっかりしろ!俺だ、もう大丈夫だ!!」

倒れる私をイザークが抱き止めた。
振り返ると、怒ったような泣きそうなイザークの顔が見えた。

「ああ…イザーク…イザーク…」

安心した私は、意識を手放した。
消えゆく意識の中で、イザークが泣いているように見えた。

「メイ、帰ろう…すまない…メイ…」
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