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22.お披露目パーティ ①
しおりを挟む結局、ヴェルハルトは、殆ど寝ずに朝を迎えたようだ。
途中で気絶した私も寝不足のまま、パーティを迎えることとなった。
「ヴェルハルト様!あなたはっ、加減というものを知らないのですかっ!?」
「すまない………自制心をどこかに置き忘れたようだ…」
しょぼんとしたヴェルハルトを見たら、これ以上は怒れない。
小さくなって、もじもじしているからだ。
「もう……あなたって人は………今日はカッコよく隣に立ってくださいね?」
「善処する!」
そして、クリフォードから贈られたドレスに着替えて、私は叫んだ。
「ちょっと!ヴェルハルト様!!これ、どうするのよっ!!!」
支度を手伝ってくれた侍女が赤面している。
胸や背中が開いたドレス、あちこちに吸い痕。
これでパーティに出ろというのか。
「あ…フィオリーナ、ショールがあるから大丈夫だよ…?」
ヴェルハルトは、大きな体を小さくして、ショールを私の肩に掛ける。
私はぷるぷるしながら、それを体に巻き付ける。
「ヴェルハルト様、ちょっと屈んで?」
「ん?………うわっ!!!」
ヴェルハルトの鎖骨に、くっきりと吸い痕を付けてやった。
二箇所、三箇所。この位でいいか。
「フィオリーナ!」
「夫婦ですから、恥ずかしさも分け合わないとね?でも、あなたはシャツのボタンを留めれば隠れるけど、私はショールは絶対外せないわ…」
真っ赤になったヴェルハルトが、今度はぷるぷるしている。
「そんなことされたら……続きがしたくなる…」
そっちなのかと思いつつ、もちろんそんな時間はない。
「朝まで、たくさんしたでしょう?もうそろそろ、パーティ会場に行きますよ?」
「そんなぁ………今夜…」
私は笑いながら、ヴェルハルトを大広間に引っ張って行った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
会場には、既にクリフォードが来ていた。
私のドレス姿を見て、にやりと笑っている。
もしや?と頭に閃くものがあったが、今はそれどころではない。
パーティに向けた最終確認をして、招待客を出迎えた。
「お兄様、結構な大物を招待したのね。これは気が抜けないわ。」
「だろ?でも、上手くいくさ。」
さあ、パーティの始まりだ。
ここから起こることに、私はわくわくしている。
これを機に、ヴェルハルトの社交界復帰も兼ねているからだ。
一石二鳥どころか何鳥も狙っている。
隣のヴェルハルトは、恐らく以前の姿を取り戻している。
私の知らない精悍な顔付きに、今更ながら惚れ直したのは、まだ秘密にしておこう。
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